府田確

府田確です。神大短歌会所属。短歌とたまに別のことを書きます。

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  • 水位

    毎週水曜日つくっていた短歌7首連作(2023/01〜2024/03)

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府田確|発表作品・プロフィール

機関誌・同人誌・ネットプリント等 「風速」(15首)※2 2020/04/01 ネットプリント『風速 1m/s』 「デザートとスコール」(15首)※2 2020/08/20 ネットプリント『風速 2m/s』 「夜明けの順序」(15首) 「第二」(15首) 2021/01/17 機関誌『神大短歌 vol.7』 「The 3rd Baby Boomer」(15首)※2 2021/10/13 ネットプリント『風速 3m/s』 「三学期/光ファイバー/直線」(15首) 「不

    • 【政治論考①】2020年代における「民主党」

      10/27投開票 第50回衆議院議員総選挙に際して  かつて存在し、政権を担った「民主党」は、2012年の政権陥落以降、瓦解した。最大で衆院308議席を占める大勢力だった民主党は、その後つねに衆院で1/3に満たない議席しか確保できていない。今日において、「民主党」はどのように存在しているのだろうか。 「民主党」の歴史  2024年現在、民主党系の政党としては議席数順に「立憲民主党」「日本維新の会」「国民民主党」の3党を挙げることができる。この3党について概観する前に、そ

      • 『適温度』 -芒川良・府田確・榊隆太

        2024年3月29日にネットプリントにて発行した、芒川良・府田確・榊隆太による合同30首連作『適温度』のPDFデータを公開します。

        • 『白飛び』(短歌7首連作)

          白飛び まっさらに残さない足の跡しろく荒野を抜けるわずかな晴れ間 積みあがる塔の煉瓦を積みあげる才能に溢れて港町は 弓を構えた兵士のレリーフはこちらを狙い続けていて動かない 確実に存在するまでわからないチューブの色が出てくる絵の具 待ち合わせはひとりでするもの 道なりにどれだけの人とすれ違っても なだらかに崩れて土は海面の波いっぱいに平たく冷えた ばらばらに出ていく船の行き先も時刻も書いている新聞紙

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        • 水位
          40本

        記事

          『フリル』(短歌7首連作)

          フリル 塩のふる静かな朝に水筒を洗えば心変わりもしつつ エレガントな桂馬がすべて持っている攻撃や守備その他はフリル その脚の長さの、遠くに組むような脚に真昼の影は短く 次々とカメラは切り替わり場面は 切り替わらないコーヒーカップ サコッシュに入れたボールが右へ揺れ私は右に少し近づく 全速力を持ち上げて高いコースターのゆらめくように速い失神 林檎青林檎のように透明な舟は緋色をだんだん帯びる

          『フリル』(短歌7首連作)

          『ジュブナイル』(短歌7首連作)

          ジュブナイル クロールをしたことがない平たい目あふれるばかり昼の切り裂き 攻守交代 膝を伸ばして友人に膝を伸ばしてスタートと言う 桟橋の激突の音けたたましくやがて浮かんだ桟橋の音 それは白・黒に写った水紋の写真で鳥のまばたきの様 ひとりでに歩いてゆくと少年の奥に少女のひとりで歩く 内窓に貼りつく蝶をかえりみてその場しのぎの本当のこと 自然だといいな 電車を降りてから雪を見るまで広げた時間

          『ジュブナイル』(短歌7首連作)

          『毎食後』(短歌7首連作)

          毎食後 春らしくCDラックに倒れこむヤモリの影のような僕の背 テーブルの左の谷へさまざまな形式のさまざまな用紙サイズ そんなにも長いかと思う 封蝋を開けて手紙を開けて歩廊は 長い指にありあまる髪の短くそして短く会話は区切れ 湯気の立つ主菜の皿のまだ冷たさ 食事にはただ二つの間取り 毎食後 ずっと不幸な朝刊の一面は剥き出しで置いてあり 映画ごと眠ると夜はいつもよりささやかでお互いの命まで

          『毎食後』(短歌7首連作)

          『線引き』(短歌7首連作)

          線引き カマキリが陣を構えたまま死んでそれから月極駐車場は外 オリジンのピンクのロゴに目が慣れて夜はひとりでもひとりでいい 水滴の多さ 立ちこめる気配や座りこむ気配を通り去り 巧妙な詐欺の手口を学んだらジャケットの袖、ジャケットの襟 破れているミランダ・カーのポスターと、破れないミランダ・カーのすてきな笑顔 高校生を見て恋愛と思うほど甘くはないな僕もルールも 着脱をできればしたい橋の下 くぐり 上から順に理解する

          『線引き』(短歌7首連作)

          『自転車などが』(短歌7首連作)

          自転車などが 装飾のされない駅に降り立つと折り返しの列車はかなり白 泣くほど 広かった市民ホールもようやく暗くなりつつ叫ぶ 山なりに飛ばす声ゆるやかに墜ちて自転車などが北へ流れる 川沿いに敷地が長い 声の中 ベストな場所が愛おしくなる 脚の交差を見つめて受話器までとどく廊下の唐突な曲がり角 当然、雪の解けるときには足早にみんな返り討ちにあっている 自転車の漕ぎ出し方のそれぞれを少なくとも見る 歩道のへりで

          『自転車などが』(短歌7首連作)

          『水七輪』(短歌7首連作)

          水七輪 かくされた駐輪場で延期のニュースを知った だから戻った 古美術にさわったところ白々とふやけて腑に落ちて会話術 ストリート・ピアノを弾いていたころの漁村の記憶 道に交わして 廃寺では手首のつけ根重たくてそのさきの冷たい五つの頂点 遠くより七輪の影近づいて愛は有形 七輪の影 飛び級の高校生が頭から飛びこむ池の水ふりかかる デモ隊のうしろの君が振り向いてデモ隊は東大寺に消えていく

          『水七輪』(短歌7首連作)

          『手荷物』(短歌7首連作)

          手荷物 好意的に見てトンネルを出るとき眩しい顔にすこしなってた 銀杏並木と街灯並木の美しい道に傾くあざやかな日々 庇から落ちて子猫はすぐに医者へ連れて行かれて 連れても行った ときに優雅 占い師の手つきから本当にしなければ僕はしなければ 髪のゆく先へ暗がりの灯台へ風に曳かれてしばしば走る 隣国の潮風ぬるくバカンスは二階を抜ける 着の身着のまま 客船を遠くに見て遠くに酷な生徒の面影がある

          『手荷物』(短歌7首連作)

          『共有の君へ』(短歌7首連作)

          共有の君へ 明るさにひたる間もなく素晴らしい空は共有される 共有の君へ 真顔にて乗りかえ駅の乗りかえの普通電車に乗りこむまでを 点滅の不規則なリズムを泣きそうなくらいに予想した予想した予想した 役割へと傾いてゆくファミレスの配膳ロボットの氏族たち ドアとドア 失火のように欠けてゆく月と欠けてゆく扇風機 秋の船すべて置き去る嘆息を缶のくらいに小さくついて 読みかけの本を持つ手に余りある穀倉地帯 赤く波打つ

          『共有の君へ』(短歌7首連作)

          『会戦場』(短歌7首連作)

          会戦場 石舞台古墳の上で窮屈な踊りの果てを自負していたい 南から流れる川を地図上で確認してから行く石舞台 安全ピン 3秒もとい4秒の危険をかいくぐり名を馳せる 名高い高僧が来てどよめきは戦のように眠っていった 赤帽や白帽を被り、被ることは一枚の絵画に見せること 月の満ちるも欠けるもやや終わって 刺客のあとの立つ瀬に刺客 すすき野にしずかに光る盟約の懐中電灯 すすきを抜けて

          『会戦場』(短歌7首連作)

          『地に足を曳いて』(短歌7首連作)

          地に足を曳いて 長かった話を終えてトンネルに差しかかるとき断続的に スロープから外れるような語彙や語彙 蟻一匹も殺さないまま 地方紙に丸め込まれている夏の果物そこに冷たい果実 飾られた花の顔より穏やかな朧夜の慣れない針仕事 凄惨に過ごすしかない キャラメルの箱を二、三機持ち上げながら プレートの動きを示す端的な動画のさきへ裸足をぬいで 山頂の三角点に流し目に最寄りの母から父までのこと

          『地に足を曳いて』(短歌7首連作)

          『by the way,』(短歌7首連作)

          by the way, 先見の明がたゆたう駅前に剥がれた貼り紙を読んでいる 天使にも存在があるらしいことを天使について考えながら 幽体のひどくうなされる夜・夜は信じ抜くまで起き上がれない グランド・セフト・オートが危険視されたころ度外視されていた墓の世話 目がさめたら朝は近くてby the way, 近畿地方が近づいていた 松任谷由実と言うとき人生の半分くらい過ぎた気がした 準決勝と準優勝は似てるけど遠いんだろう鉄柵越える

          『by the way,』(短歌7首連作)

          『秘密裏』(短歌7首連作)

          秘密裏 勢いを殺して入るカラオケの店員はすでに幸福から遠そうで 感じ方がとぎれ、とぎれに小刻みに述べられていく接触事故 君の青い車で海へ行こう スピッツは行ってしまった 目は曇る 目が曇るときたくさんの指図を受けながら僕は往く 街の裏、その青年は昨夜にも見たような気がするがその裏 手ざわりが手付かずの繊維問屋街を一噛みして抜ける 今は昔 蛍の光が流れてきたら店を出る それって窓の雪だねと言う

          『秘密裏』(短歌7首連作)