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美味しそうな駅

 JR中央線快速電車は高尾から東京まで24の駅がある。
 そのうちの一部の区間を、ほぼ毎日利用してお世話になっているわけだが、通過するのを楽しみにしている駅がある。

それは、朝の阿佐ヶ谷駅と夕方の荻窪駅。

 まず、朝の阿佐ヶ谷。
 ドアが開いた瞬間に流れ込むのは、焼き立てのパンのふんわりとした香り。多分あれはハード系のシンプルなパンを焼いている香だと推測する。
 慌ただしい朝の時間から逃れてコーヒーとパンを楽しむ人がそこにいるのかもなんて想像してみる。

 そして、夕方の荻窪。
 ドアが開いた瞬間に流れ込むのは、タレをつけて焼いた焼鳥の香り。炭火焼だろうか。 
 仕事を終えた人たちがビールを片手に焼き鳥を食べているのかもなんて想像してみる。

 ときたま、美味しそうな香りがしない日もあって、今日はどうしたんだろうと思ったり。毎日が同じようで実は違うことを美味しそうな駅は教えてくれる。

 ちなみに私はこの2つの駅に降り立ったことがない。現状、香りだけを楽しむずるいヤツになっているので、この楽しみを提供してくれる主の下へ一度は訪問してみようと思う。

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