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炭酸リチウムで鬱転
双極性障害の診断が出てから1ヶ月と少し。
最初の1ヶ月は眠剤のみで過ごしたが、9月末から躁の気配を感じ、10/1から炭酸リチウムの服用を開始した。
もちろん少量からスタートしたが、止める間もなく状態が悪化し、気づいたころには鬱転していた。
炭酸リチウム服用後の変化
気分的な変化はほとんど感じていなかった。
「躁転したと思ったけれど、意外と勢いがないな。薬の効果かもしれないな」と思っていた程度だ。
躁鬱が発覚した時点で既に記憶障害や理解力低下の症状が出ていたが、それらが改善する気配も特になかった。
しかし、炭酸リチウムを服用して3日を過ぎたあたりからだろうか。
振り返ってみると、日々のあちこちで不注意を起こしていた。
ぶつけたり、転んだり、忘れたり、わからなくなったり、破綻していたり。
30歳を目前にして、膝に巨大な痣までつくってしまった。
お出かけでトラブル連発
炭酸リチウムを服用して6日目。
友人と遊びに出かけたが、一日中失敗の連続で、「自分の脳が信じられない」「自分の脳に付き合いきれない」とまで思うに至った。
今でも覚えている出来事だけ、時系列順で紹介する。
ミス①
友人の行きたいお店を、Googleマップで見せてもらった。
わたしも地図が苦手だが、友人はわたし以上に地図が苦手なので、代わりに案内しようとしたのだ。
今いる場所の近くにある2つのお店を地図の中にも見つけた。
それらの位置関係を確認し、向かうべき方向を割り出して歩き出した。
しかし、真逆の方向に進んでいた。
なぜ間違えたかを考えたが、順番はこうだ。
どこにあるかは知らないが、名前だけ聞いたことがあるお店Aが地図に記載されていた
直前に寄ったお店Bを地図で探したら、地図上にもお店Bを見つけた
お店Aがどこにあるかを知らないのに、勝手に「お店Aはあそこで、お店Bはここだから…」と決めつけて地図を読み、目的地の方向を割り出した
実際のお店Aは、わたしが思い描いた場所とは違う場所にあった
なぜ、勝手にお店Aの場所を脳内で決めつけてしまったのか、自分でもわからない。
ミス②
下北沢から新宿に移動することになった。
下北沢には小田急線と京王井の頭線が通っている。
小田急線から新宿に行く場合は、乗り換えなしで行ける。
京王井の頭線から新宿に行く場合は、明大前で乗り換えるか、渋谷でJR線に乗り換える必要がある。
しかし、なぜか小田急線から行く場合に渋谷乗り換えが必要と思い込み、「新宿までどうやって行く?」と友人に聞いて驚かれた。
言われてから「小田急線なら乗り換え不要」に気づき、自分が怖くなった。
ミス③
夕飯のお店は、わたしが以前別の友人と行ったことがあるチェーンのバルに行くことに決まった。
新宿西口店のサイトを開くと、住所や地図のリンクはあるのに電話番号がない。
「電話番号が書いてない!」と言った直後に、画面のど真ん中に大きな字で電話番号が記載されていることに気づいた。
躁鬱発覚前からよくある不注意ではあるが、やはり不注意であることに変わりはない。
ミス④
行きたいバルの新宿西口店に電話をかけ、「10分後に伺います」と予約して電話を切った。
そして、以前行ったときの道順を思い出しながら、「とりあえず駅の南口に出よう」と友人に伝え、南口まで歩き、お店に向かって歩き、お店に着く直前で「ここ南口だ…」と気づいた。
以前から、そのバルが新宿に複数店舗あることは知っていた。
今回、自分が新宿西口店に電話をかけたことも認識している。
しかし、どうやら「電話をかける店舗と、足で向かう店舗を揃える必要がある」という認識が欠けていたらしい。
ミス⑤
自分がおそろしくなりながら、改めて新宿西口店をGoogleマップで開いた。
現在地から8分かかるようなので、新宿西口店に再度電話をかけ、「道を間違えてしまい、あと10分ほどかかります」と謝罪した。
そしてなぜかGoogleマップを閉じ、一旦頭の地図をリセットするかのごとく、歩いて南口に戻った。
駅を経由せずにGoogleマップに従って店舗に向かえばよかったのに、何も考えずに地図を閉じ、南口に戻り、西口辿り着いたところでようやく新宿西口店の地図を再度開いたのだ。
自分でも、自分が何をしているのかよくわからない。
ちなみに、この日一緒にいた友人もADHDで普段ミスが多いため、わたしがミスを頻発する状況を、イライラするどころかむしろちょっと嬉しそうにして楽しんでくれていた。
ありがたい。
連日夫婦喧嘩で大号泣
炭酸リチウムを服用して6日目、友人と遊んで帰宅後に夫と話して大号泣。
翌日、また夫と話して大号泣。
だけど、その時の状況を正しくここに書き記すことができない。
なぜなら、それほどまでに頭が混乱していたから。
最初は普通に会話をしていた。
しかし、夫と意見の食い違いが発生して、徐々にヒートアップ。
その途中で、自分の脳が情報をうまく処理できずに混乱してきたのを実感した。
「だめだ、混乱してるから今話すのは一旦やめよう」
そう伝えたけれど、夫は「わかったよ。あとで話すのはいいけど、△△△~」と続けて何かを言ってきた。
そこでわたしはパニックになった。
夫が続けた言葉は、どうやら前の話題とは直接関係のないことだったらしい。直接関係がないから、わたしに通じると思ったらしい。
だけどわたしは、「夫が続けた言葉が前の話題と関係あるか」を判断する脳を持ち合わせていなかった。そもそも、言われた単語が何一つ頭に入ってきていない。
わからない話をする夫に、とっさに返す言葉も出てこない。
「ごめん、今何を言われたのか全然、ひとつもわからない」
そう伝えても、夫は「前の話題とは関係ない話だよ? じゃあまず、○○は▢▢。これはわかる?」と、話すことをやめてくれない。
そして突然、わたしの号泣が始まった。
夫も驚いたと思うが、わたしも泣きじゃくる自分の声に驚いた。
号泣時にわたしが感じていたことや思っていたことを、順不同で挙げてみる。
夫が何かをわからせようとしてくる
夫はわたしの勘違いを一つずつ丁寧に正せば、わたしにも理解できると思っている
夫は丁寧に論理的に話せば、わたしにも理解できると思っている
いくらわたしが「わからない」と伝えても、「一つずつ分解して考えればわかる」前提でしか返事がかえってこない
だけど、わたしの脳は思考回路がめちゃくちゃになっていて、いくら丁寧に説明してもらっても混乱するだけ
思考回路に、大量の落とし穴とワープがある感じ。どこに欠落があるか、どこに飛ばされるかも毎回ランダムで、矯正のしようがない
「わからない」と諦めることが苦しい
今まで夫婦で会話する際は、「わからない」を放置することを徹底的に避けていて、絶対にお互いがわかるまで話し合っていた
今だって、理解するのに時間がかかるとしても、可能ならば理解したい
だけど、夫に丁寧に説明されるたびに脳が混乱する。これが数回繰り返されると、「今わたしには理解できないんだ」と悟り、絶望的な気持ちになる
こんな挫折は初めてで、耐え難い
自棄になって「わからないし考えるのも面倒」と投げ出しているように見えるかも、と思うとストレス
夫に、自分がいかに「わからない」かが伝わらない
「丁寧に筋道立てて説明されても全く理解ができない恐怖」は、夫には一生伝わらないだろうな
少しでも夫に伝わるように、自分なりに比喩を用いたりして「今わたしの脳はこんな状態」を話してみるが、その比喩にもやはり瑕疵があり、そこを夫に突かれる
普段なら用いた比喩に瑕疵があっても、再度頭を使ってリカバリーできるが、今は脳がそこまで器用に動かない
頑張って考えてひねり出したって、どうせまたどこかに抜けがあるだろうと思ってしまう
その結果、「頑張って伝えようとしたが伝わらなかった」という沈んだ気持ちだけが残る
夫が「いったん話すのをやめよう」をわかってくれない
夫の頭は正常なはずなのに、なぜわたしの言葉を理解してくれない?
「いったん話すのをやめよう」というわたしの提案すら、何か欠落していたり、おかしな発言になってしまっているのか?
夫には既に、上記をもっと詳細に文面にして伝えた。
根気よくわたしと話し、わかろうとしてくれる夫には言いづらかったが、
「あなたは、わたしが今いかに物事を理解できないかを知らないし、知ることもできない。まずはこのことを理解してほしい。聞かれたことにはなるべく丁寧に答えたいけれど、わたしの今の脳では的確に伝えることもできない」
とハッキリ伝えて、その言葉を受け止めてくれたので、わたしも少し安心した。
炭酸リチウム服用停止
2日連続で、突然の大号泣。
こんなこと、リチウムを服用するまでは経験がなかった。
さすがに異常だし、ここ数日のミスの多さからも考えて明らかに鬱転している。
この薬を処方される際、主治医には「数日飲んで様子がおかしくなったら服用を止めて、電話をください。気分が落ち着くのはよいけれど、気分が落ち込んだら飲まないで」と言われていた。
そのことを丁寧に思い出しながら夫に相談して、服用開始から1週間でリチウムの服用を中断することになった。
リチウム断ち翌日の一日
リチウムを断った翌日とは、この記事を書いている、まさに本日のことである。
特に大きな出来事もないが、備忘録として今日一日を記載してこの記事を締めよう。
せっかく整ってきていた睡眠リズムが大きく崩れ、普段より2時間ほど遅く起きた。
その後昼食を摂り、また3時間お昼寝してしまった。
起きる気力すらわかないほどの鬱は初めてかもしれない。
お昼寝から起きてようやく、少し動けるようになった。
とはいっても、食洗器をまわした程度で、あとはひたすらスマホ。
夜になって、ようやく文字を打つ気力がわいてきて、この記事を書いた。
本日は以上。
また大きな変化が訪れたら、記事にしようと思う。
願わくば、躁が再び来てくれますように。