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梅酒の色と化学オンチの探究心

梅酒、液体の上層がうっすらと色づいてきた。

15日目 美味しく漬かるよう今日も心の中で声援を送る

梅の実の成分が溶け出しているのだろうか。
梅酒といえば透き通った黄金色、熟成されたものならば濃い琥珀色だ。
ほのかな酸味のある琥珀色の梅酒を思い出すと、それだけでじわっとツバが湧いてくる。

青い梅の実を白い砂糖と透明のアルコールに漬け込んで、なぜ最終的にあの色になるんだろう?

そう思ってなんとなく調べてみたら、面白い研究の話が出てきた。

毎年母親が漬ける梅酒の色が変化していくことに興味をもって、それがなぜなのか調べたそうだ。

研究の要約PDF

超ざっくりまとめると、ポリフェノールの抽出・酸化と、氷砂糖が加水分解されて果糖になり褐変するためらしい。
褐変というのは、リンゴやレタスを切って置いておくと切り口が酸化して茶色くなっていく変化のことだ。
要約を読んでいて、梅酒の氷砂糖が溶けていくのは梅の実の酸によって加水分解されているためだと分かったのが面白かった。

そうか。
今まさにウチの梅も、その酸っぱみで氷砂糖をジワジワ溶かしていっている最中で、溶けた氷砂糖が果糖になっていき、ポリフェノールとやらの濃度が上昇しているところなのだなあ。

化学がさっぱりなので、正直全部ふんわりイメージの世界だ。

どうして酸が氷砂糖を加水分解するんだろう…と、続きを調べようとしたが、まったく分からない言葉と化学式が無限に出てきて大いに怯んだ。
理科全般は子どもの頃から苦手科目である。
知恵熱を出す前にやめておこう。

それにしても、料理が化学というのは本当にその通りだなあと思う。
お菓子作りなどはまさにそうで、湯煎したクリームが固まったり、一定の温度で放置したパン生地が膨らんだりするのは、みんな化学変化だ。
水に溶いた片栗粉をまぜて加熱した麻婆豆腐はトロトロになるし、カチカチの米を水から炊くとふっくらゴハンになる。
化学変化、不思議だ。

なにが不思議って、化学式を見ただけで睡魔に襲われるほど理科が苦手なわたしでも、料理は一人前にできるということだけども。

現象が起こる理屈なんて知らなくても、行為として日々くり返すことで技術を習得しているわけだ。

逆に考えると、日常的にくり返している行為や当たり前に起こる変化に疑問を覚えてそれを研究するというのは、秀でた発想と探究心があってこそできることなのだろう。
研究者というひと達は、実に好奇心のかたまりなのだと思う。

梅酒の色の変化に興味を持てたわたしの探究心も、まだまだ捨てたものではない…のかもしれない。


では、また。

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