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ブルーインパルス大歓迎のもみくちゃ状態エアーフェスタ浜松2023

2023年10月、浜松基地で開かれた航空祭エアフェスタ浜松には発表によるとおよそ8万人が詰めかけたそうだ。当日は来場者がどんどん増えていくのがよくわかったし、快晴も手伝ってか、ブルーインパルスの駐機場所周辺は最初から場所取り合戦の様な様相だった。航空自衛隊発祥の地とされる浜松基地ではパイロットや整備員などの教育機関としての役割も大きい。そうした意味では先輩後輩が集うという点も特色と言えそうだ。

オープニングは”伝統”のT-4とT-400による編隊飛行

オープニングフライトはご存知T-4、T-400の大編隊による航過飛行で、「T」を強調して教育の場としての基地を紹介した。
続いて浜松救難隊のU-125AとUH-60Jが救難展示。

救難展示は固定翼ほどの派手さはないが、災害時にお世話になるとも限らない。U-125Aも合わせて動きを見ておきたい。

そして、早々に浜松基地の名物「お皿」を背負ったE-767が飛び立った。黒白ツートンのレーダーを見れば一目瞭然。このお皿が回っているところを見ると幸せになれるかも、と言った趣旨のアナウンスも聴かれた。それほど実際の運用を目にすることはレアなのだろう。HPによると「E-767は、優れた探知能力と飛行性能を有し、地上レーダーサイト等では及ばない国土から離れた洋上における早期警戒監視の役割を果たしています。また、地上の警戒管制組織に比べ残存性に優れ、これを代替し得る管制能力を有します。
さらに、平時における情報収集能力の向上に大きく寄与しています。」とある。基地に近い場所ではあまり見られないもののようだ。だが、回るレーダーよりも、大きな機体を捻らせて進入してくる様は迫力だった。

AWACS:E-767 実際にこの機動が必要かどうかは別にして、できることはなんでもやってしまうのだろう。空自は機種を問わず捻るのが一つの仕事のようだ。

浜松名物ではあるが、三沢・那覇にも部隊があるとのことで、E-767のほかE-2C,Dもスクランブル時に重要な役割を果たしているそうだ。このレーダーを背負っている分、操縦は難しくないのかなと思ったりもしたが、そんな心配は「一捻り」と言ったところか。さらにこちらの捻りもすごかった。

快晴のF-15がここまでモフモフになるのは個人的に初めてだった。見事な捻り。

岐阜基地からF-15が飛来して、そのまま観客の視線を奪った。会場左手から進入してきたと思えば一気にハイレートクライムや急旋回、機体の大きさを感じさせない起動ぶりを存分に披露した。

その機動、容赦なし!

そして最後に「翼を振ってお別れします。さよーならー」といったアナウンスが流れたが、機体は翼を振らずそのまま航過飛行で岐阜基地に帰投していった。あのモフモフ急旋回、ただでは終わらせないという、岐阜基地の意地だったに違いない。それはさらに続く。
会場では同じく岐阜基地から「F-2が時速900キロで進入します」というアナウンスがあったが、音が聞こえない。視界にとらえたらあっという間に通過、轟音を残して一気に上昇した。

音もなく忍び寄るというか、F-2は「聞こえた時にはすでに遅し」ということか

上昇というがいつものハイレートクライムとは違って、突き刺さるような上昇ぶりだった。

F-2でできることをお見せしましょう!と言わんばかりの高機動。岐阜基地の捻りは一味違う?!

最後はハイレートクライムで消えていったが、これまた突き刺さった。今回エアフェスタ浜松で展示飛行した2機においては、会場の反応が他の展示飛行とは違っていた。突然飛来して、凄まじい機動を見せつけて帰投していくまで、拍手や歓声はあまり聞こえてこない。呆気に取られ、その動きを追いかけるのが精一杯なのだろう、カメラを向けていても、フレームに収めるのが精一杯、あとはシャッター任せにするしかない。そして、展示を終えて見えなくなると、バラバラと拍手が聞こえ始め、周りが我に帰ったところで大きな喝采となった。度肝を抜かれた後に我にかえった、そんな時の反応なのかもしれない。
そんな驚愕の展示飛行の後、少し時間をおいてお待ちかねのブルーインパルスの展示飛行となった。ここでも大人気だ。大勢が会場を移動してブルーインパルスの各機の前に詰めかけた。場所によっては身動きが取れなくなるほどだ。そんな観客に応え、ウォークダウン前の準備でも観客にお手振り、パフォーマンス、といった広報活動に余念がない。

4番機前では伝統かつ人気のキューピッド。観客も大喜び。

浜松基地のエアフェスタは個人的には雨に降られたことがない。この日も快晴のコンディション。で悩ましいのが逆光。どうしてもブルーインパルスの機体の白を出そうとすると+11/7程度の増感で対応していたが、できたものを見るとJPEGでは機体の青がバラバラ。下手に編集すれば非現実的な色合いになって自分で見ていて嫌になる。今回はマニュアル総固定で押してみた。

いつものご挨拶ダイヤモンド・ダーティ・ローパス

課目が終わるごとに拍手が湧く。だが、1・2区分の人気曲技は観客も初期段階から分かるので、「始まった始まった」と期待に応える展示に満足そうだった。

チェンジ・オーバー・ターンはダイナミックな展開で人気の課目だ。
スタークロスは何度見ても感心してしまう。スモークの航跡の美しさもあるが、展示する基地が違っても描く図形を完成させる技量はさすがとしか言いようがない。

この航跡を捉える場面になると逆光がどうしても気になってくる。逆光というか太陽そのものの位置だ。アクセントになるといえばそれまでだが、その位置の好みは人それぞれのはず。あとは偶然まかせで一番機、もしくは編隊と絡められる事を願うしかない。これだけの天候に恵まれている事を思えばそのチャンスを逃すわけにはいかない。

サンライズと輝く一番機。(ちょいズレはご愛嬌で)
太陽がアクセントになったダイヤモンド・ダーティー・ローパス。来年は真ん中に収められるかトライしたい。驚いたことにスモークの影が観客席に、こんなに出るとは思わなかった。

岐阜基地からの「あの2機」とは対照的に事あるごとに拍手と歓声が響いた展示飛行はコークスクリューでいつものように無事に終わった。

最終課目コーク・スクリューも人気の演目。回り終わって二機揃って着陸へ旋回するところまで乱れることがない。

展示飛行は無事におわり、全機、元の位置に戻ってウォークバック。この日の飛行展示は全て終了となった。が、広報活動は終わらなかった。基地の建物に戻る隊員を観客がやんやの喝采で迎えた。もみくちゃだ。

その広報活動、アイドル級!カメラが、スマホがパイロットを追いかける。「お疲れ様でした」、慰労の言葉も絶えることがない。

展示飛行を終えても観客に大歓迎を受けるパイロット達、広報活動はまだまだ続いた。今度は、にわか「サイン会」だ。

ブルーインパルスのツアーブックに、着ているシャツに、ジャケットに、時間の許す限りファンサービスに勤める「1」ベンガルさん。順番が円滑に流れるのも観客の見事な連帯だ。
自衛隊をめぐる議論は確かにある。だが、この満面の笑みを見ると、相互理解や議論を超えた、もしくは、そうした事とは全く別次元の「時」ではなかろうか。いつまでも話題にできる思い出になったことだろう。
ファン一人一人に応じるベンガルさん。展示飛行の後でも疲れを見せなかった。

時間の許す限り、ファンに応じ、ブルーインパルスは現場を後にした。ファンも拍手で見送った。エアフェスタ浜松は、ブルーインパルス・ファンには「手が届くたまらない瞬間」を、カメラを向ける航空ファンには「捻る瞬間」を共有して終了した。次回もまた、この「時」を楽しみにファンが集うことだろう。

ベンガルさんがサインする間、誰一人としてこれに触れようとするものはいなかった。このヘルメットは「畏れ多い」、ファンの誰もが思ったはずだ。

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