【投稿企画】 イギリスに住むなんて想像してもいなかった
私は今、何故かイギリスのロンドンに住んでいる。
イギリスのことが大好きだったわけでもなく、イギリスに来るまではヨーロッパを訪れたこともなかった。
私は日本人の両親のもとに日本で生まれ育ったので、いわゆる帰国子女ではない。幼いときから英会話教室に通っていたわけでもなく、英語学習に関しては、義務教育と普通科高校の教育がベースだ。
私の初めての海外はアメリカで、大学に入ってからのことだった。というか、アメリカの大学に進学した。単純に日本とは異なる文化を体験したかったというのもあるが、実際のところは日本の大学受験から逃げただけである。何故なら、望めば何度でもやり直せる TOEFL の試験の方が、精神的にも肉体的にも楽だったからだ。
アメリカの大学への入学は比較的簡単だったものの、よく言われているように、卒業はそれなりに大変だった。英語ネイティブの学生たちが毎晩のごとく遊び倒しているのを横目に、私は図書館に夜遅くまで籠もって、大量の課題に取り組んでいることが多かった。
それ故に、大学時代をもう1度やり直したいかと聞かれると微妙だけど、今では良い思い出になっているし、あの頃に頑張っていて良かったと思う。アメリカ留学という道を選ばせてくれた親にも感謝だ。
大学卒業後は日本に戻って就職した。アメリカの大学で学んだ知識を日本で活かしたい、なんて当時の私は言っていたかもしれないが、これもまた「逃げ」の結果である。優秀なクラスメートのスキルを目の当たりにして、同じアメリカの土俵で戦っていける自信が無かったのだ。
そうして日本で働いてしばらく経ったころ、メールボックスに気になるタイトルのメールが届いた。
そうだ、マイナビの転職サイトに登録していたんだった。
今に繋がる全ては、この1通のメールから始まった。
内容を確認してみると、イギリスのロンドンを拠点とする日系企業からのスカウトメールだった。
当時、どのような「スカウト希望条件」を設定していたのかは覚えていない。今確認してみると、希望勤務地は「指定なし」になっている。あの頃は、日本国内の地域をいくつかと「海外」を指定していた気もする。
いずれにせよ、スカウトメールが届いたのだ。「イギリスかー、ヨーロッパは行ったことないから良い機会だし、駄目だったら日本に戻ってくればいいや」ぐらいの気持ちで、メールを受け取ったその日のうちに、求人に応募していた。
それからはトントン拍子で面接が進んでいった。そして、応募から約1ヶ月半後、内定をいただいた。
転職先は決まったものの、イギリス政府から就労ビザを発行してもらわないとどうしようもない。とはいえ、ビザ申請手続きの大半は会社任せだったので楽だったし、私がアメリカの大学を卒業していたおかげで、英語の能力証明の試験を受けずに済んだのはラッキーだった。
振り返ってみると、就労ビザの発行までに3ヶ月ほどを要していた。ビザ発行後に、当時働いていた会社を退職したり、引っ越し等の調整をしたりするため、更に約1ヶ月半がかかった。最終的には、求人に応募してから約7ヶ月後にイギリスに飛び立つこととなった。
それから何年もの月日が流れ、その間に永住権までも取得して、今現在もイギリスで暮らしている。住めば都、とはよく言ったものだ。
お世話になった日系企業にはもう勤めていないけれど、あのときのスカウトメールがあったからこそ、今の この生活がある。
人生、何が起こるか分からない。
2024年が終わりに近づいてきている今、私の人生において、1つの大きな決断をしようとしている。これが吉と出るか凶と出るか、それはきっと数年後、数十年後に #想像していなかった未来 として振り返ったときに分かることなんだろう。