西新宿にあった伝説のロックビデオ店AIRsを覚えていますか?
この面白い!
海賊版ビデオ店「AIRS」を知ってますか?
2021.05.05 Wednesday
先日、ラモーンズが居た東京を歩いて動画に収めた【聖地巡礼ツアー・東京編】の続編「裏話」を公開したけど見てもらえましたか? 今回は新宿西口にあった海賊版ビデオ店「AIRS」のことを中心に1995年にスポットを当てて編集してみました。今日はそのことを書いてみようと思います。
まず「海賊版」という単語は分かるかな? 正規版ではない、英語で言うと「BOOTLEG」。このオフィシャルじゃない動画をVHSビデオにダビングし商品として販売していたお店が新宿の西口にあったのです。
どこにあったかは、前回の【聖地巡礼ツアー】を見てもらうと「ああ、あそこか」ってわかると思うけど、今だったら信じられないかもしれないが、そんな非正規版のライブ動画やプロモーション動画は売り買いされていたのです、YouTubeのない時代に。
この感覚、伝わるだろうか? 例えばU2が、例えばKISSのニューヨーク公演のライヴ映像が「こっそり撮影されて」販売されていた。普通に。活字にすると、あきらかに正しくない感じがしてくるが、でも…みんな分かっていた。それが良からぬことだって!? (笑)。
でもYouTubeの無い時代に、自分の大好きなバンドの新作ライブは見たいし、新譜の曲やっているのか知りたいし、そもそも「来日しないからせめて動いているところだけでも見たい」という完全な受身だったから、分かっちゃいたけど、やめられず、むしろありがたくて「AIRS」に通っていたかもしれない。
80年代、日本には無かったMTV(番組)がスタートしたことで、バンドはプロモーション・ビデオというものをこぞって作るようになった。テレビで流してもらえるからね。でも日本でそのPVを見られるとしたら、メジャーなバンドがメインで、かつ洋楽を扱っている番組でたまに見られるだけだった。
そんな時代だったから、新宿西口は乱立するレコード店とこの動画が見られる「AIRS」はロック・ファンにとってスーパー貴重な店だったしエリアだったのです。これは来日したミュージシャンにとっても同じだったらしく、みんな海賊版の店なのに楽しそうに物色していたそうです。
今回と前回、サポートしてくれたRAMONESファンクラブ・ジャパンの会員(というか、もはやスタッフ)で、元「AIRS」店員の堀内君が動画の中で説明してくれているんだけど、新宿西口を歩いて「私と堀内君の記憶」を一緒にシンクロさせながら、「西新宿の小滝橋方面は怖くて行けなかった」新人スタッフでラモーンズを一度も見たことの無いYOKOと思い出した記憶を記録してみた。何しろ25年前のことだからもう記録しないと忘れていくのみ。でも歩いていると不思議とあれこれ思い出すもんなんだよね。
リアルにラモーンズを見たことがないYOKOが動画の中で「警察に捕まるかもしれず逃げた」というセリフには笑っちゃったけど、でもそれも「うん、うん」と頷く。特に80年代は、レコード店、海賊版ビデオ店、旧新宿ロフトもあったあの「エリア西新宿」は、新宿LOFTに向かう気合の入ったファン、洋楽ファンのコレクター、パンクス、メタラー、などなど、人種のるつぼという感じで混沌としていた。何というかニューヨークのマンハッタンの人種が入り混じってる感じのような、独特の空気が流れていた。
ただ、その空気も時代によって変化していく。 動画の中に今も昔もかわらぬ柏木公園を挟んだのは、ここだけは変わっていなかったから。この少し怪しげな公園で、買ったレコードを整理する(?)マニア達と、危ないものを売っていそうなおっちゃんがいた(笑)。決してのんびりは出来ず、公園のくせに清々しさも無いんだけど、ここがレコード漁りの途中の休憩所みたいな存在だった。なんか、DEE DEE RAMONEがドラッグ所持で捕まったNYのワシントン・スクエアにも似てるな...なんて思いながら撮りました。
RFCJの会員以外にも、メールやメッセージをくれたロック・ファンの皆様、見てくれてありがとう。その中で長谷川さんの「時間の経過と共に街が変わるので、位置関係や写真を残しておくって、役に立たなくても誰かがやらないと、いかんのだ」と表現してくれた感想を読み「うん、それ」って思った。
誰かのためというよりも、自分の記憶の記録だが、シェアして楽しんでもらえたら幸いです。来週はこの「AIRS」で売れていた「ラモーンズの海賊版ベスト5」を店内にいる感覚でバーチャル体験してもらう動画を作っているのでこちらもお楽しみに。チャンネル登録とイイね、よろしくお願いしまーす。
古き良き時代の西新宿
日付: 5月 07, 2021
畔柳ユキさんのブログがおもしろい。
いやーーー時代だよね。この映像20分ほどですが、ぜひご覧ください。すごく良いから。
この店員の彼が熱く語るところを聞いて、私も胸熱。いやー いい話聞かせてもらった。
こういう話を聞くといつも思い出すのは音楽ライターの赤尾美香さんのお話。もう随分前に赤尾さんとブルース・スプリングスティーンの映画を見に行った時。赤尾さんが教えてくれたのだ。例えばブルースがあぁやってステージにあげたり、リクエストをかなえてあげたり、特別扱いするファンについて、他のファンは自分でなくても全然かまわないんだって。本当に赤尾さんの話はちょっとした目ウロコだった。
主催者としては、常に他のお客さんからクレームが出ないようにというのを気を付けている(笑)。だから「みんな同じに扱ってもらわないと」「一人だけ特別扱いされてもこまる」とか思っちゃうわけなんだけど、本当のファンの心理って違うんだ、と。(でも、それを思うにつけ特別扱いされたいなら高額なVIPパスを買いなさいとか言っちゃう音楽業界のシステムって本当に乱暴だよな…とも同時に思ったり。アーティストとファンの夢をバカにしてる…。それはさておき…)
だからこの元店員の彼が興奮気味にジョニーの来店の話をするのを聞いても、みんな嬉しくなってしまうわけなのだ。いやー ユキさん、さすが。ファンの心理をよくつかんでいる。私もグッときてしまった。こんな魔法の1日が、この彼の一生を支えているんだね。いい話だよ。
ちなみにこのブートレッグのお店AIRSはピーター・バック先生もご愛用で、会員証まで持っていた(笑)。ここにも何度か書いたことがあるエピソードだけど、面白い話なので、また書く。それはある雨の日だった。DIGというシンコーミュージックの雑誌の取材で、ロビン・ヒッチコックとマイナス5の御一行は編集部からお小遣いをもらい、西新宿の中古レコード店に繰り出したのだ。そして小滝橋通りにあるタリーズでみんなでその戦利品を囲んでわいわいとやる…という内容の取材だった。みんな楽しそうで、ロビンなんぞは「このレコードは色が綺麗だから買った」とかある意味「受け」をねらっていたが、私はロビンよりもピーターの中古屋ハンターとしてのプロフェッショナルぶり(餌箱をあさる様子とか)にめっちゃ感動していた。ピーター、慣れてる…(笑)。どんなお店に入っても、さっとコーナーの位置を読み取り、餌箱を効率よくあさるピーター。かっこよかった。
そんなふうに西新宿をうろうろしていた時、ピーターが「オレはあの店にも行きたい」と言って、AIRSさんでスポーツバックいっぱいのDVDを購入していたのだ。ただしブート屋さんということで、このショッピングは雑誌には掲載されない。でもピーターはほくほく顔で嬉しそうだった。ちなみにマイナス5は日本の直後のオーストラリアのツアーのあと、日本経由でのフライトに乗り継ぐ旅程になっていたため、彼らはオーストラリアから日本にまたやってくることになっていた。成田で一泊することになっていたので、「その荷物、オーストラリアに持っていって往復する必要ないよ、成田にまた持ってきてあげるよ」と私はそのスポーツバックをピーターから数週間ほど預かったのだ。それを見ていた(直後に来日した)グレン・ティルブルックが「どれどれ」とピーターのバックをあさり、2枚ほどDVDの内容を自分のパソコンに落としていたのは内緒にしておこう(笑)
しかし男の子って中古盤屋が好きだよね。中古盤屋めぐりこそ、男の子の遊びだ…と思うよ。
そんなふうにブートを前にして中学生みたいなピーターやグレンは可愛かった(爆)
そうそう、ブートといえば、某ブート雑誌がグレンを大きく取り上げてくれるという話があがった時があった。私がその話を嬉々として五十嵐正さんに伝えると、タッドは「雑誌がグレン勝手に載せるのはいいとしても、インタビューともなれば記事に協力したことになるわけだから気をつけなさい」と厳しく忠告された。あれには本当に感謝している。こうやって大先輩たちのアドバイスを受けながら、こういう音楽業界を泳いできたわけだな、私も。
ちなみに自分はブートというものは、あまり買ったことがない。唯一覚えているのはジュリアン・レノンの綺麗な色のライブ盤で、音質もまずまずだった。でも何度も聞いた記憶はない。LPが2,500円くらいの時代に3,000円くらいしたと思うが、バイトもしていなかった学生の自分としては大きな買い物だった。でも自分はコレクターではない。そもそもLPやCDの所有枚数もたいしたことないと思う。
それにしても…と思う。このブートのお店の経営者たちは、今いったいどうしているんだろう。例えば先日紹介した「洋楽マン列伝」に載っているような人たちとは、まるで一線をかくすわけだが、彼らこそ自分自身のリスクをかけ、音楽業界にコミットしていたことは事実である。そういう人たちのリアルな、すごい話もたくさん聞いてみたくなった。…というか、そっちの方が興味あるよな。サラリーマンやってる中で偶然ラッキーにもそのポジションを与えられた人たちよりもよっぽど興味がわく。
とはいっても、それはあくまで日陰の場所なのだ。そこがポイントだ。そういえば大好きな漫画『この女(ひと)にかけろ』で出てきたヤクザまがいの商売をする女性(黒田)と銀行員の主人公の女性の某ベンチャー企業をめぐる対決を思い出させる。あの時も銀行員の彼女の上司は言った。黒田みたいな存在は勝ったとしてもあくまで日陰の存在なのだ、と。そして日陰の存在の人たちは、本当はお日様の当たる場所で堂々と仕事をすることを望んでいるのだ、とも。ブートレッグの悲しさがここにある。
でもレコード会社に力がなくなった今、こういう世界の話をどっかの音楽メディアで連載してくれたらいいのになぁ、と思ったりもした。「洋楽マン列伝」よりももっと面白いものができるように思う。
音楽文化はこの時代に生きたみんなの財産なんだから。これらのことがすべて過去のことになったとしても、その魔法は今も私たちの中に生き続けている。
AIRSが閉店する
10年くらい前にアルバイトをしてたAIRSがついに閉店するという報せが。
YouTubeの普及で完全終了したブートレグCD/DVDの聖地だった西新宿の、知る人ぞ知る名店。コレクターズアイテムの豊富さから海外アーティストの来店も多く、ジミー・ペイジやデヴィッド・ボウイ、レイ・デイヴィス、ブライアン・メイといった超大物や、フジロック・サマソニの開催翌日にレッチリ、オアシス、ビースティー、ベックなんかがやって来ては、大量のDVDと引き換えに自身の写真とサインを残してくれるという、まさにパラレルワールドなお店でした。
僕も短いバイト期間ながら、リアム・ギャラガーにiPodの裏にサインをねだって怪訝な表情をされたりとか、少なくない思い出があります。もう長くはないと思いつつ、やはり残念。
まだ思いつき段階ですが、AIRSありがとうさようならな意味を込めて、来店アーティストの生々しい話やら、あのアーティストはこのタイトルを欲しがった、みたいなエピソードを現&元スタッフに聞くトークイベントみたいなのができないか、ただいま画策中。
もし実現できそうなら、またお知らせします。
YMAのサイトに 植松哲平が選ぶ8枚「哲平のコレ〜2015年のコレ良くない?良くないコレ?〜」 って記事をアップしました。
あっ!
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
エアーズ閉店・・・時代ですね( ゚д゚)
大学時代に西新宿のブートとって言えば
レコードならキニーで
ビデオならエアーズ
でしたよ(笑)
他にもたくさんたくさんあったけど、
間違いなく二大巨塔でした。
新宿レコードはブートっていう括りではないよね
で、そのエアーズがとうとう閉店しました
私が行ってたエアーズは最後の店舗の前の前?の店舗
そう、時代はまだビデオでした(笑)
高い((((;゚Д゚)))))))
ビデオなのに視聴ありだったから行く度に買いもしないのに、何本か視聴してた
たまに買う。
当時だから、映像は悪かったねぇ~。
それにしてもコピー(つうか、ビデオだからダビングか?)だから、劣化していくし
それでも、youtubeなんていうお化けが出来る前だからライブ映像はブートでしかお目にかからなかった時代
重宝しました❗️
ジミー ペイジに成り代わって、お礼を言わせてもらうよ
本当にありがとうございました❗️❗️
時代だから仕方ないんだろうけど、
気持ち的には地元の商店街の老舗のお店が店をたたんだような寂しい気持ち(>_<)
どんどん世の中が、実態の無いものに変わっていくのが怖いです。
なんて、ブログしてますけど♪(´ε` )
最終更新日 : 2016-04-22
contact
VHSテープを巻き戻せ!
https://www.uplink.co.jp/vhs/
観ました。
顔たち、ところどころ
もそうだったけど、UPLINKは凄く良い映画をチョイスしてくれる。写真でこんな生き方、闘い方ができるのか、と、JRというアーティストに心底感銘を受けました。
「VHSテープを巻き戻せ!」も良いタイミングで観た。レコード、カセットテープ、ビデオテープ、時代に合ってないでしょ?ヴァイオレット・エヴァーガーデンに出てきた、手紙、自動手記人形も時代に合ってない。ドキュメンタリーの中でも、VHSはやがて消えゆくだろう、いやそんな事関係ない、自分は集め続ける、超大物からカルトな人まで語っていてとても面白かったです。
でも不思議・・・時代に合っていない、多くの人が違うものを求めるから、旧メディアや手法が廃れていく、とする。そこに何の疑問も持たずに「大事なのは適応力」という側面だけ観ていると、何にでも何処へでも安価にアクセスできるような自由?みたいなものや、それにより20~30年前とは比べものにならないほどすべてが進化しているように錯覚しそうだけど、果たしてそんなに飛躍的な便利さや、そして肝心な「豊かさ」が得られているだろうか・・・それが多くの人に開かれているだろうか、と考えたりします。
再生するだけでテープそのものも劣化してゆき、それの子、ダビング先のテープなんて今の基準じゃコピーとは言えないくらいの代物で画質が劣化。でも、学生のときにレンタルビデオ屋でバイトしたり、新宿のAIRSというトンデモな店に通ったりしたのは、自分にとっては大切な記憶です。
おぇ・・・と、えずきながら入荷処理をするビデオがあったり、市場に出回る前の作品を最速で!というような快感のみを頼りにダビングしてガッカリしたり笑、何度ダメだと言っても一般作品に挟んでアダルトビデオをレジに持ってくる少年の兄弟がいたりwww
自分自身、もうVHSはこれくらいしかなくて(アダルトを含めればこの数倍はありますが・・・)、ほぼ処分してしまったのを、こういうときに後悔するんだけど、確かにほとんど観なくなってしまっているし、保管場所が・・・だからコレクターは狂っていて最高です。マニア達の、ズラリ整然としていてもドッサリ汚くても、大量のビデオテープに囲まれた生活を映像で観ると羨ましくて仕方ない。
10代の頃、西新宿のAIRSというお店に結構通っていました。この名を聞けば思い出す人も沢山いるような有名店で、今となってはあらゆる意味であり得ない凄いお店。ライブを盗撮したビデオや、音源や映像のブート盤を大量に扱う店だったんですね。しかも、クオリティはピンからキリまであって、例えゴミ画質のものを買ってしまっても「金返せ!」って言い難いところがまた良い。みんなもどういう店でどういうつもりで買ってるかわかってるから笑。
それだけだと「まあそんな時代もあったね」というお話なのですが、この店がヤバいのは、時の超大物ミュージシャンが来日公演ついでに店に遊びに来てたこと!Enuff Z’nuffなんて店内でアコギでライブまで始めちゃって、しかもその映像をまたAIRSが売っているというwww 冗談みたいなことが起きてた。他にどんなミュージシャンが訪れてたかはググってみてください、驚くから。
今ではそんなお店の存在とミュージシャンとの関係性自体があり得ないけど、想像するだけでもSNSで「著作権的にアウトですよね?」「ミュージシャンにも責任ありますよね?」「まっとうに商売している人たちが可哀想」だなんて書き込みが何十万シェアとかされるんでしょ?正直嫌な時代ですよ。
AIRSに向かうまでの道のりで、当時のバンドのボーカルの奴と
これを歌っていたら(嫌なガキ)、お洒落な中年女性が近づいてきて(やべー絶対怒られる・・・と思いますよね)、
「あなた達素敵な歌声ね!」
と笑顔でお声掛けいただいて、本当に嬉しくてそいつと舞い上がってました。(京都では「やかましいわガキども!散れ!」の意)
この時のボーカル、サミーヘイガーも素晴らしいですが、エディーのギターってライトハンド奏法だけじゃなくて、リフやオブリが「音楽」そのものでその他大勢のギタリストと一味も二味も違って革新的なんですよね・・・自分も影響受けてますし、大物ではB’zの松本さん、パッと聴き関係無さそうなJUDY AND MARYのTAKUYAさん、その他多くのギタリストが多大な影響受けてます。AIRSでヴァンヘイレンのアレなビデオにもお世話になったな・・・
と、自分はVHSどっぷり世代だったのもあって、このドキュメンタリーには結構喰らいました。最後に、我が道を行きまくり、30年近くモンスタムービーを撮り続ける男闘呼・デビット・ロック・ネルソンの叫びを張ります。(もちろん泣いた)
いいなと思ったら応援しよう!
![えづれさんの「インターネットの良き未来をつくるnote テクノロジーでの未来予測」](https://assets.st-note.com/poc-image/manual/preset_user_image/production/i04f97ff72d86.jpg?width=600&crop=1:1,smart)