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「IPOは何を言うかではなく誰が言うか」

IPOを目指す上で、「その会社の株を買いたい」と思ってもらえるかどうかがとても重要になります。

そもそもIPOとは証券市場で株式の売買を自由にできるようにすることなので、買い手のいない株式を上場させても意味はありません。
ちょっと内情的な話になりますが、東証も株式会社東京証券取引所という株式会社なので、組織を運営しながら利益を出さなければなりません。東証にも社員がいて、そのマンパワーは限られているので、1年間で上場できる会社の数にも限りがあります。
だいたい毎年80~100件くらいの企業がIPOしていますが、最近は上場申請企業の数は増えてきているので、倍率としては上がってきていると言えます。
つまり、どれだけ東証に対して自社が魅力的な株式を発行できる会社なのかということをアピールする必要があるわけです。

では、どうやってこれをアピールすれば良いのかが知りたいところですが、誤解を恐れずに言うと、究極的には「何を言うかではなく誰が言うか」で決まります。

それはなぜかというと、東証の方もどのビジネスが上手くいくかなんてわからないのです。もし、東証の方たちにそれがわかるなら、きっと彼らが起業し、上場するでしょう。
銀行も同じです。誰にどれくらいのお金を貸せるのかは、ビジネスモデルがどうかよりも、その社長の過去の実績や人柄、そして人徳によるところが大きくなります。

なので、ある意味IPOは幼稚園のお受験戦争的な感じだと思ってもらえれば良いでしょう。
幼稚園児の将来性を判断すること等誰にもできません。でも、どんな親、家庭環境で育てられているかによって、その子の将来は確率論的に判断することができます。

つまり、IPOもどんな環境で経営が行われているかが重要なのです。
例えば、IPOをしたことの無い創業社長と素人社員軍団で上場を目指したとします。上場するとはどういうことか?上場は何のために行うのか?上場した後はどうなるのか?そういったことが一切わからない中で上場を目指すと言われても、東証からすればとても不安に思うのではないでしょうか?

一方で、社長自身は上場は経験はありませんが、過去に他で上場を経験したCFOやIPO準備室長を外部から迎え入れ、その方たちの意見を尊重し、社員にも上場するとはどういうことかを学ばせ、理解を深めていこうとしている企業があったとすれば、東証もとても安心して上場審査を進められるのではないでしょうか?
まして、このCFOやIPO準備室長の多くの企業の上場をサポートしたことのある有名人であれば尚更東証も安心感が高まることと思います。


ある意味、競馬にもよく似ていますね。
競馬は馬の力がとても重要ですが、どのジョッキーが騎乗するかで人気は大きく変わります。

ただ、当たり前ですが、有名な人にCFOをお願いすることは簡単なことではありません。IPOをするくらいその人にCFOをお願いすること自体が難しいこともあり得ます。


ここで一発逆転の方法を一つ教えましょう。
それは圧倒的プレゼン力を身に着けることです。
appleの元CEOスティーブ・ジョブズは圧倒的プレゼン力で他社を追い抜きました。Appleの技術力が他社に比べて圧倒的に秀でていたかと言えば、決してそんなことはありませんでした。秀でていたものは、彼のプレゼンテーション能力でした。皆が彼のファンになり、彼の言葉に魅了されました。

IPOだって同じです。先ほどから言っている通り、企業にビジネスに正しく順位を付けれるほどの圧倒的な差はありません。結局は誰が言うかです。それを逆手に取り、「どう言うか」の勝負に持ち込むことで、IPOの確率はグッと高まります。
事業計画発表会に関係者を呼び、そこでストーリー性のある事業計画を、驚きと感動溢れるプレゼンテーションで伝えられれば、そこに有名な「誰」かがいなくてもIPOは実現できるのです。


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