Let's Dance / David Bowie * 1983 EMI
職場のビルに入ってる三省堂書店パトロールで、なんとクインシーとマイケルが表紙のミュージック・マガジンを発見。80年代推進委員会がざわめく事必至の内容で、末席会員の私も、これは見逃せんぞっとパラパラっとチェック。すると、これまで見た中で一番共感できる80年代洋楽ベスト100が掲載で小躍りです。そうそうって頷きながらコレは買ってじっくり読もうと購入です。当時から何にもエエと思えない1位のTears for Fearsを除いてはほぼ自分の感性と合致で、急にまた魅惑の80'sサウンドをふんふん♪と聴きながら、鯵フライ&ビールでご満悦です。で、何が天晴れかと言うと3位にマーヴィンの「その時歴史が動いた」と言いたい“Sexual Healing”、ストーンズは定石のStart Me Upじゃなくて“Emotional Rescue”、バカラックの最高曲というのも頷くNYシティセレナーデこと“Arthur's Theme”、TOTO“Aftica”やブロンディ、シーナ・イーストンの選出曲も絶妙で、かつてコレらの曲が同列で並んでるのを見たことがない内容。分かっとるやないか〜となっちゃいます。そして80年代大気圏突破の象徴といえる、デヴィッド・ボウィのこの大ヒット。この頃のボウイは映画「戦場のメリー・クリスマス」も当たり、時代の寵児的な存在。ダイアナ・ロス、マドンナ、パワー・ステーションと大活躍だったシック一派は、本作ナイル・ロジャースのイノベーション的貢献でも革新でした。これは黙ってるわけにはいかんぞっ、てことで80年代の象徴作です。
もちろん選出曲はタイトル曲の「Let's Dance」で堂々の5位。イントロのア〜ア〜のコーラスと共に新時代幕開けです。このリヴァーヴも新鮮なサウンドに、スティーヴィー・レイ・ヴォーンのブルージーなギターが絡むという斬新な構図にもティーンは狂喜乱舞。なんか知らんけどワクワクする新しい音でした。この曲を含む、冒頭の3曲は三種の神器と言われた(←嘘です)ほど。無敵の冒頭疾走曲「Modern Love」はナイル・ロジャースのGカッティングから鮮烈なオマー・ハキムのドラムになだれ込むこの上ないツカミ。鶴光も有楽町から指摘した“穴はチカラ”とボウイの空耳声が聞こえたキャッチーなアップ。あまりにも気に入って、ライヴ・ヴァージョンがB面に入ったドーナツ盤も買いました。そして東洋女との接吻ビデオ・クリップがインパクト大だった「China Girl」は、ルーファスの“Sweet Thing”にもルーツがある曲で、これも本作のアイコン・ヒット。他の注目だったのはジョルジオ・モロダーとの「Cat People」でしたが、少し前に出たシングルの退廃的な雰囲気が無くなり、正直少しがっかりでした。でもスティーヴィーの躍動的なギターだけは聴きモノです。また、シングルにしてはやや地味だった「Without You」、エスニックなリズムで従来っぽさも残した「Ricochet」、Metroってバンドのカヴァーという「Criminal World」なんかは、印象としてはやや薄い感じ。最後は、軽薄なダンス・ポップ「Shake It」で終わるのも徹底していて良いです。
「ポップに迎合してやったぞ、と言い放ったようなボウイ。見事、鼻タレのティーンは皆ハマりました!」