聴覚障害者とマスク②自己嫌悪におとしめるマスク
聾者が身近にいる私にとって、聾者の不便がよく分かる。
コロナ禍によりマスク生活が常識。
マスクが聴覚障害者にとって人格にまで影響を及ぼすほどの事だと気付ける人はなかなかいない。(私も身近に聾者がいなければ、分からない事だ。)
対話者の口の動きを読み取り、理解出来るから、マスク越しの話など解るわけない。耳が聴こえないのだから。
お店の店員さんも、アクリル板越しにマスクをしている。補聴器をつけている私の妻も、マスク越しに耳を澄ませば何とか聴こえる程度の聴力。マスク+アクリル板ではお手上げだ。
聴こえない。
聴こえないと会話が成り立たない。
外ではみんながマスク。
会社でもみんながマスク。
話が聴こえない、分からない、コミュニケーションがとれない、
常に自分のせいで相手が困っている。
迷惑をかけている。
この新しい日常が毎日続くとどうなるか、
人格否定に陥るだろう。
テレワークや在宅勤務ならマスク無く仕事にコミュニケーションがとれるが、そうじゃない聾者は常に周りを気にし、自己嫌悪に陥る。
知り合いの聾者から度々と聞くが、聾者は(補聴器をつけていれば声が聴こえる聾者に限る。)マスクをした相手の言う事を理解するために聞き返さなければならない。(マスク越しだとほとんど聴こえないらしい。)
聞き返すと、めんどくさそうに、イライラしながら、または早口で返してくる人がほとんどのようだ。
そうするとますます聞きづらい。
殻に閉じこもる聾者もいるだろう。
コロナ禍の日常は聾者にとって、自己嫌悪、自己否定、人格の否定を起こす日常。
彼等のためにも、世にテレワークがもっと浸透してくれる事を願う。