アドラー心理学「共同体感覚」について
〈目次〉
1.はじめに
2. 「自己の利益」だけ追い求めてはうまくいかない
3. 「共同体」の中で生きている事実
4. 「共同体」に貢献する生き方
1.はじめに
現代に生きる私たちは、周りが競争相手のように思えて自分の利益のみを追求しようと思ったり、相手と比較して自己否定に陥ったり、敵対意識を相手に感じてしまうなどがあると思います。
しかし、本当の幸せを得ようと思ったら、自己利益の追求だけでは問題があります。
今回はアドラー心理学の考え方である「共同体感覚」について解説いたします。
2. 「自己の利益」だけ追い求めてはうまくいかない
現代の競争社会において自己の利益のみを追いかけて生きる人が少なくありません。
自分の利益だけ追い求めてしまう生き方を「私的論理」と言います。
アドラーはこの歪んだ「私的論理」では幸せになれない、「コモンセンス」が大切だと論じています。
「コモンセンス」の語源的な意味は、「コモン=共通」、「センス=感覚」です。
私たちは、色々な共同体に所属して生きています。例えば、家族や会社、国や地域コミュニティ、学校などがあげられます。
共同体の中で生きている人々が、私的論理を中心に生きてしまうと、個々人は他者から搾取することを考えてしまい、共同体はよい状態になり得ません。
共同体の秩序が崩壊してしまい、色々な所で問題が起こってしまいます。
3.「共同体」の中で生きている事実
共同体の中で、アドラーは縦の関係ではなく横の関係として対人関係を捉えると良いと言っています。
上下の関係で考えてしまうと、力関係が出来てしまって疲れてしまい、人々の関係性が上手くいかなくなってしまうためです。
例えば、会社でとても理不尽なことを上司が言っていても、部下は上下関係がありますので納得してしまったり、合わせてしまい意見を言わなくなってしまったりというケースがあるでしょう。
この場合、部下は、本来言いたいことも言えず、お互いの関係性が固定されてしまっています。
これはアドラーの理想とする横の関係とは言えません。
また、アドラー心理学は「褒めたり、叱ったりない」というのがありますが、「褒める・叱る」は縦の関係から生じています。
子供のころに「褒める・叱る」を繰り返して育てられた人は「褒める・叱る」をされないと行動できない人になってしまいがちです。
そのため、「褒める・叱る」ではなく、「ありがとう」と感謝することを大切にしましょうとアドラーは説いています。
縦の関係ではなく横の関係で繋がるのが、共同体感覚の第一歩です。
4. 「共同体」に貢献する生き方
アドラーは、私たちの生きていく上で共同体感覚が欠かせないと説いているのですが、その共同体感覚こそが対人感覚のゴールだと言っています。
他者を敵ではなく仲間としてみることが大切で、それによって自分の居場所が獲得でき、仲間たちのために貢献しようと思えます。
それが共同体感覚です。それによって幸福感を抱くことができるのです。共同体感覚のために必要なことは、以下の3項目です。
①自己受容
自分自身をありのまま受け入れて、良い所も悪いと感じるところもそのまま受け入れる事です。出来ない所もしっかりと受け入れるところから始めましょう。自己受容が出来たら「私は〇〇が出来ない。だからどういった対応から始めようか?」と考えられるのです。
②他者貢献
他者に貢献することで自分自身の幸せ感を得ることができます。また、人が自由を選ぼうとしたら色々な迷いが生まれますが、それを他者に貢献しているのだという思いを持ち続けることで、道を見失わずに進むことができます。
③他者信頼
他者に貢献するには、他者を信頼して仲間だと思う意識がとても大切です。何かをしてくれるから信頼するではなく、他者信頼は無条件で信頼することです。例えば相手が裏切るか裏切らないかは相手の課題ですので、あなたが関与すべきではありません。
人間として社会生活を送る以上、他者とのかかわりは避けられません。
アドラーは、この他者とのつながりに注目しました。1人きりで目的を遂げることは難しくても、他者の知恵や手を借りることで解決できることはたくさんあります。
自分の弱点や短所を補うために他者との結びつきを求めているのです。
アドラーの言う共同体感覚は、他者との関係委置いて自身や人類の幸福のために役立つ考え方です。
私たちは、一人で生きているのではありません。共同体感覚を持って、自己の利益のみを追求するのではなく、他者に貢献することで幸せを得ることが必要です。
またそうする事によって、人生に迷いがなく進みやすくなります。
参照元:「i DEAR」Webサイト
以上