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わかりやすく解説/ 「ファイナンス」とは?

ファイナンスの意味や会計との違いを分かりやすく解説いたします


ビジネスにおいてファイナンスという言葉は、ともすると財務部や経理部といった部門の中に限られた話と捉えられがちです。

しかし、ファイナンスに関する理論や考え方は、もっと幅広く、経営上の意思決定に深く関係してきます。

ファイナンスの正しい理解なくして、適切な経営はできないといっても過言ではありません。


〈目次〉
1.ファイナンスとは?
2.ファイナンスと会計の違いは?
①目的
②時間軸

③意思決定の関与
3.企業におけるファイナンスの活用場面
①投資
②資金調達
③企業価値の向上

1.ファイナンスとは?


企業の経営をおカネの面から見てみます。

まず、株式を発行して株主から事業の元手となるおカネを集めます。

集めたおカネは仕入れや製造、販売といった事業活動に支払い、商品やサービスが顧客に売れるとその代金が入ってきます。

事業活動の儲けは、さらに次の活動の資金として使うか、株主への配当などとして投資家に還元されます。

ある程度事業が軌道に乗ると、銀行からの借入でより多額のおカネを集め、商品開発や設備増強のための投資に使うこともあるでしょう。

このように、株式投資家や銀行などからおカネを集め、事業活動に投下し、売上としてリターンを得て、それを事業活動に再投資するか投資家に還元する、といった流れがあります。

ファイナンス(※)とは、この流れの中で、
①いかに資金を集めるか(資金調達)
②何にいくら投資するか
③事業への投資と投資家への還元の配分はどうするか
を判断することを指します。


※本記事では「コーポレート・ファイナンス」について解説いたします。


2.ファイナンスと会計の違いは?
企業経営をおカネの面から見るという意味では、会計(アカウンティング)も重要です。

ファイナンスと会計の違いについて、目的、時間軸、意思決定の関与の観点から見ていきます。

①目的
会計の目的は、経営状況を適切な数値によって記述、評価することです。

これに対して、ファイナンスでは、将来にわたって企業価値を効果的に高めていくためにおカネの調達や配分を考えるのが主な目的であり、ここに大きな違いがあります。

ただ、会計によって経営状況を適切に評価するのも、広い意味では企業価値を高めていくためとも言えますし、ファイナンスで投資や資金調達を判断していくには会計によって導かれた毎期の数値が欠かせません。

両者は明確に分かれるというよりは、密接に関わりあって不可分のものと言えます。

②時間軸
会計は、基本的には1年間と期間を定めてその中での活動を記録し、また1年ごとに締めた決算時での状況を記述していきます(半期や四半期ごとの報告もありますが、基本は1年サイクルです)。

一方、ファイナンスで投資の意思決定をする際は、1年ごとのキャッシュフローを見つつも、何年にもわたってその投資の効果が続く限り考慮に入れていきます。

現在という時点から将来の一定期間にわたって考える点がファイナンスの特徴です。

③意思決定の関与
会計においては、客観的に明示されたルール(会計基準)があらかじめ定められており、それにのっとって処理することが求められます。

なお、個別の資産評価や会計処理などにおいては、一定の選択肢の中で選ぶ余地があります。 

一方ファイナンスは、基本となる理論こそ世界共通ですが、会計基準のように定められた規則があるわけではありません。

とくにリスクの見積りや将来数値の予測については唯一客観的な正解はなく、当事者が一定の前提を置いて評価していくことが多いです。


3.企業におけるファイナンスの活用場面
実際に、企業経営の中でファイナンスの考え方はどのような場面で使われるのでしょうか。代表的な場面である、投資、資金調達、企業価値の向上について見ていきます。

①投資


ここでいう投資とは、株式や金融商品を買うことにとどまりません。

工場や店舗などの設備投資、システムや無形資産への投資、研究開発投資、関連会社への投資など、あらゆる局面の投資を含みます。

そして、企業として「ある投資を行うべきか否か」を判断するのは、要するに「それで儲かるかどうか」にほかなりません。

儲かるかどうかを測るための基本的な考え方が、DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュフロー法)と呼ばれるものです。

投資対象が将来もたらすキャッシュフローを予測し、それをリスクに応じた割引率で現在価値に換算するのです。

原則はシンプルですが、キャッシュフローとは何か、どの範囲まで予測に含めるのか、リスクに応じた割引率とは具体的に何%なのかなど、派生する論点は多岐にわたり、それぞれ適切な判断が求められます。

②資金調達
資金調達において重要な概念が「資本コスト」というものです。


企業の資金調達手段は大きく負債(デット)と株主資本(エクイティ)に分かれますが、それぞれコストがかかると考えるのです。

負債のコストは比較的分かりやすいでしょう。銀行借入であれば、借入利息を指します。

一方で、株主からの調達(エクイティ)にも実はコストがかかっているのです。

配当や値上がり益などで株主が期待するリターンを返さなければ、株式を売却されてしまうからです。

したがって、経営判断としては、負債と株主資本のどちらの手段でいくら調達するかだけでなく、負債コストと株主資本コストの両方を考慮したとき、最も効率的な調達額の比率はいくらかというテーマも重要になってくるのです。

なお、上記①投資の判断においても、資本コストは重要な判断材料になります。投資の収益率は、企業の資本コストを上回る必要があるからです。

③企業価値の向上
①で述べたDCF法を企業に応用すると、企業が将来生み出すキャッシュフローをその企業のリスクで割り引くことで企業の価値を算定することができます。


企業経営は、この企業価値を向上させることが極めて重要なテーマとなります。

基本的には、投資を適切に行い、効率的な資金調達に配慮すれば企業価値は高まっていきますが、急速な成長を企図したり経済環境の激変に対応したりする場面では、より抜本的でダイナミックな経営判断がなされることもあります。

例えば、マイクロソフトはソフトウェアのパッケージ販売からサブスクリプションへと主となるビジネスモデルを変換しました。

また、ソフトバンクはこれまでネット広告、携帯電話、半導体チップ設計と買収を通じてグループの事業範囲を拡大してきています。

こうした施策の背景には、これによって企業価値がどの程度向上するか、目指す企業価値向上を実現するにはどのような仕組みでの買収や資金調達が必要かといった観点からの検討が欠かせません。


参照元: 「グロービス経営大学院」Webサイト

以上

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