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「サンマ」の生態・漁場・漁獲量について
サンマの捕獲量が減少傾向にあります
〈目次〉
1.サンマの生態について
2.サンマの漁場の変化
3.サンマの漁獲量の変化
4.今後のサンマは
1.サンマの生態について
サンマは、日本のはるか沖合の公海を回遊し、秋になると日本近海に近づいてくる性質があります。
冷たい海水に生息するため、下記の図のように夏場は薄黄緑色の海域で育ち、秋や冬になるとオレンジ色海域の産卵場・生育場へ南下します。
サンマの群れの一部は、成長しながら青矢印のように回遊し、成魚となる秋頃に日本近海に現れます。そのためサンマは秋が旬といわれるのです。
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サンマは浮魚(うきうお)という種類に分類されます。
浮魚は海洋の表層を遊泳する魚のことを言い、一般に青魚(あおざかな)といわれるマグロやサバ、イワシなどが含まれます。
青魚の体色は背が濃い青色、腹側が銀白色ですが、この構造だと上からは鳥などから、下からは大型の魚類に見つかりにくいと考えられています。
サンマは1年で25~30cmくらいまで成長します。寿命は2年程といわれ、同じ回遊魚であるサバやイワシと異なり寿命の短い魚です。
オキアミ類などを餌にしていますが、胃がなく、口から肛門まで消化管が一直線にあるだけです。同じ青魚で回遊魚のサバやイワシと、生態や体のつくりが大きく異なっています。
2.サンマの漁場の変化
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上の図をみると、近年サンマの漁場が早い時期に沖合へ移動していることが分かります。
日本ではサンマをEEZ(海洋法に関する国際連合条約の排他的経済水域:200海⾥・⽇本陸地から約370㎞)内で漁獲しますが、台湾や中国などは、どの国でも自由に行き来ができる公海で漁獲しています。
マイワシやサバ類は産卵場が主に日本であり、日本で生まれた魚がEEZの外側に一時的に出ていきます。
サンマは産卵場が必ずしもEEZの内側だけではなく、広範囲に産卵場があり、かつ回遊範囲も広い点でマイワシやサバ類と異なります。
3.サンマの漁獲量の変化
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日本でのサンマ漁獲量の95%以上は、棒受網漁による漁業です。
2018年までは8~12月が漁期と決まっていましたが、2019年3月に制度が改正され、漁期の制限がなくなりました。
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上のグラフは、サンマの国別漁獲量推移を表しています。棒グラフの赤い部分が日本の漁獲量です。
2000年頃より前は、サンマ漁を行っている国の中で、日本の漁獲量が占める割合は全体の8割以上でした。
しかし日本の漁獲量は減ってゆき、2019年は22.3%と、ついに3割を切っています。なお、2019年は日本だけでなく、他の国々も不漁でした。
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上の2つのグラフは、各年6~7月調査からのサンマの分布域と推移です(2020年はCOVID-19の影響で調査を縮小して実施。3区は未調査)。
2019年のサンマの分布量は165万トンと、前年2018年の235万トンより大幅に減少しています。
魚漁量は毎年増減を繰り返すとはいえ、この数字は、半世紀ぶり凶漁であった99万トン(2017年)に次いで少ないという調査結果でした。
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ただし気を付ける点として、昨年とだけで比較してしまうと、分母の数が少ないため、少しの増減で、前年比何割増の「豊漁」や「不漁」という報道になりがちです。
そこで冷静に10年前、20年前までの漁獲量とも比較した上で考えていかないと、いつの間にかサンマが減ったことに慣れてしまう恐れがあります。
4.今後のサンマは
2020年7月に国立研究開発法人水産研究・教育機構より発表されたサンマの長期漁況予報は
・来遊量は昨年を下回る
・道東沿岸の親潮第1分枝沿いでは、漁場がほとんど形成されない
・1歳魚の割合は昨年よりも低く、昨年の平均体重を下回る
でした。
2020年9月の日本の全国主要港の生鮮サンマ水揚げ量は、不漁だった前年同月比約7割減の1200トンほど。
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一方、今年7月末時点の冷凍サンマの全国在庫は、前年同月比で半分ほどにまで減ってしまっています。
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2020年10月中頃から道東と三陸で今期初の1000トンを超える水揚げがあるなど、サンマ漁に活気が出てきたニュースもありますが、小さめの魚体が多く、まだまだ厳しい状況です。
現在、北大西洋のサンマは、北大西洋漁業委員会(NPFC)による資源管理の対象になっています。
2019年7月には2020年のNPFC条約水域(公海)の漁獲可能量(TAC)が33万トンとなったものの、当初から多すぎることが認識されており、実際の漁獲量は15万トンにも満たない状態でした。
2020年に新たな資源評価に基づくTACの見直しと各国への配分が検討されることとなっていましたが、COVID-19の影響で会合は延期されています。
サンマは大衆魚として親しまれていますが、このままサンマの減少傾向が続くと高級魚になってしまったり、手に入りにくくなる恐れがあります。
サンマは魚であるとともに国際資源にあたります。上述した減少傾向の課題については、国際的な枠組みで対策を検討と実行する必要があります。
参照元: 「海と魚がもっと好きになるウェブマガジン umito.®︎」Web
以上