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国産の「ハチミツ」について

外国産との違いについて解説いたします


ハチミツは、国産に限らず外国産のものも多く見かけますが、それぞれどのような違いがあるのか、ご存知でしょうか?

今回は、国産ハチミツと外国産ハチミツの違いについて解説します。 

〈目次〉
1.国産ハチミツ」の定義は?
(1)国産の「純粋ハチミツ」の定義
(2)国産の「非加熱ハチミツ」「生ハチミツ」の定義
(3)ハチミツの国産割合は?
2.海外と日本のハチミツの違い
(1)水分量の違い
(2)花の種類の違い
3.外国産ハチミツの安全性は?
(1)品質規格 
(2)残留農薬・抗生物質の検出
(3)製造時の衛生管理状態


1.国産ハチミツ」の定義は?
「はちみつ類の表示に関する公正競争規約」では、国産ハチミツについて以下のように定義されています。


『「国産」という文言を表示する場合 には、前条第1項の規定により同項第 3号に掲げる原料原産地名として他の 採蜜国と併せて表示する場合を除き、 その原料蜜の全てが国内で採蜜された ものでなければならない。

(出典:はちみつ類の表示に関する公正競争規約及び施行規則 第4条(3)|一般社団法人 全国公正取引協議会連合会)

ハチミツを「国産」と表示する場合は、その原料の全てが国内で採蜜されたものである必要があります。

つまり、外国産のハチミツがブレンドされているようなものは、そのほとんどが国産のハチミツであった場合でも「国産」とは表示できないのです。

国産ハチミツは外国産ハチミツに比べて水分量が多く、なめらかでさっぱりとした甘さが特徴です。

クセが少なく上品な味わいとなっているため、日本人の味覚によく合うと言われています。

(1)国産の「純粋ハチミツ」の定義
国産の「純粋ハチミツ」の定義は、その名の通り「天然成分100%のハチミツ」とされており、水あめや甘味料などの混ぜものが一切入っていないものを指します。

純粋ハチミツは天然成分100%であるため、ハチミツ本来の香りや味わいが楽しめるほか、ハチミツならではの健康効果も期待できます。

(2)国産の「非加熱ハチミツ」「生ハチミツ」の定義
国産ハチミツのなかには「非加熱ハチミツ」や「生ハチミツ」といったものもあります。

どちらも世界的に共通している定義はありませんが、一般的には、ハチの巣から採蜜したそのままの状態で加熱処理していないものが「非加熱ハチミツ」や「生ハチミツ」と呼ばれています。

場合によっては、結晶化したハチミツを溶かすために38度程度の低温で湯煎することもありますが、高温での加熱処理はされていません。

ハチミツにはさまざまな栄養素や酵素が含まれていますが、高温での加熱処理をしてしまうと、一部の栄養素が損失したり、酵素が失活したりしてしまいます。

そのため、非加熱のハチミツのほうがハチミツ本来の栄養素をしっかり摂取でき、より高い健康効果が期待できます。

(3)ハチミツの国産割合は?
現在ハチミツの国内流通量は約49.8千トンで、そのうち国産のハチミツは約2.7千トンとなっています。

つまり、国内で流通している国産ハチミツはたったの約5%で、残りの約95%は外国産の輸入ハチミツなのです。

さらに、その輸入ハチミツの66%は中国産であると言われており、日本で流通しているハチミツの多くは外国産、そして中国産ハチミツが多いということがわかります。

国産ハチミツはそもそもの収穫量が少ないということもありますが、国内の生産者が減っていることもあり、ハチミツの国内生産割合は長年低い状態が続いています。

(出典:養蜂をめぐる情勢(令和4年11月)|農林水産省)


2.海外と日本のハチミツの違い

外国産ハチミツと国産ハチミツではどのような違いがあるのでしょうか。

ここではそれぞれの違いについて、項目別に2つ解説していきます。

(1)水分量の違い
外国産と国産のハチミツの最も大きな違いは、その水分量です。

外国産のハチミツは水分含有量が20%以下と定められているのに対して、国産ハチミツの水分含有量は22%以下です。

外国産のハチミツは水分量が少ない分糖度が高いため、強い甘味と粘りのある食感が特徴です。

それに対して国産ハチミツは、水分量が多く糖度が低いため、なめらかでさらっとした口当たりとさっぱりとした甘さが魅力です。

この水分量の違いは、日本と海外の養蜂の仕方による違いも影響していると言われています。

(2)花の種類の違い
ハチミツは、採蜜される花の種類によっても味わいが大きく変わります。

国産・外国産に関わらずハチミツの花の種類はさまざまですが、日本ではレンゲの花から採取されたハチミツが最もメジャーで、上品なコクと癖のない味わいが日本人好みと言われています。

外国産のハチミツはやや癖のあるものが多く、種類によって好みが分かれやすい傾向があると言えるでしょう。

近年話題の「マヌカハニー」はニュージーランドにしか自生していないマヌカから採れるハチミツで、高い抗菌作用が期待できると人気ですが、ハチミツのなかではかなり癖が強い種類となっています。

3.外国産ハチミツの安全性は?
ここまで国産ハチミツと外国産ハチミツの違いについて解説しましたが、外国産ハチミツの安全性はどのようになっているのでしょうか ?

ここでは、外国産ハチミツを選ぶ際に確認したいポイントについて解説するので、参考にしてください。

(1)品質規格
ハチミツは各国それぞれで品質規格が定められているため、外国産ハチミツの安全性をチェックする際は、その国の品質規格がどのようになっているかを確認してみましょう。

前章で紹介した通り、基本的にEU圏内ではハチミツの品質規格が厳しく設定されているため、EU圏内のハチミツであれば安全性に問題なく安心して食べられると考えられます。

中国産のハチミツも、中国国内の一定の基準に沿って生産されているものがほとんどです。

しかし、その基準はEUのものよりも緩い基準となっているため、中国産のなかでも特に安価な商品は安全性が低い可能性もあることに留意しておきましょう。

(2)残留農薬・抗生物質の検出
ハチミツの安全性に関して過去に話題になったものとしては、残留農薬と抗生物質の検出があります。

2021年に日本で販売されていたアルゼンチン産とカナダ産のハチミツから残留農薬が検出されたことは、記憶にも新しいかもしれません。

(出典:はちみつ(アルゼンチン、カナダ産)から基準値を超える農薬の残留報道の件|東都生活協同組合)

また「中国産ハチミツに抗生物質が入っていた」というニュースは過去に複数回報じられていることから、中国産ハチミツは危険というイメージを持っている人も多いでしょう。

(出典:中国産ハチミツに対する輸入検査の強化について|厚生労働省ホームページ)

外国産ハチミツを購入する際は、こうした点も考慮したうえで選択するのが望ましいでしょう。

(3)製造時の衛生管理状態
外国産ハチミツは、海外で容器詰めして輸入されるものと、日本で容器詰めするものの2パターンがあります。

先進国で容器詰めされている商品であれば、基本的に衛生面には問題ないものと考えられますが、それ以外の国では、どのような衛生管理状態でハチミツが製品化されているのか不透明な部分も多いです。

その点、日本では食品衛生の基準がしっかりと定められているため、製造時の衛生管理の面では安心できると言えるでしょう。


参照先: 「伊豆の養蜜家 みつばちノート」Webサイト

以上

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