解説/ 名古屋名物「きしめん」の特徴と歴史
〈目次〉
1.名古屋名物「きしめん」の特徴
2.きしめんの定義〜うどんとの違いは?
3.きしめんに似た平打ち麺料理
・ほうとう(山梨県)
・川幅うどん(埼玉県)
・おっきりこみ(群馬県)
4.きしめんの歴史
5.きしめんが名古屋名物になった理由
1.名古屋名物「きしめん」の特徴
きしめんの最大の特徴は何と言っても幅広く平べったい麺です。
麺が薄いため、ムロアジという魚介出汁のつゆが麺にしみこみやすく、しっかりとした濃い目の味付けとなっています。
濃い味が好きな愛知県民の好みにもマッチしており、県民のソウルフードとして名古屋市民を中心に多くの方にとってなじみの深い郷土料理となっています。
食感はツルツルなめらかで、コシが弱いため食べやすい点も特徴的です。
愛知県内のスーパーマーケットでは、冷凍麺や乾麺として市販されており、家庭料理や学校給食のメニューの1つとしてよく食べられています。
2.きしめんの定義〜うどんとの違いは?
きしめんは、うどんの1種とも言われている食品の1つで、「平打ちうどん」とも呼ばれています。
きしめんもうどんも小麦粉に塩と水を加えて練った生地から作られるため、材料に大きな違いは無く、味も大きくは変わりません。
「きしめん」と「うどん」の明確な違いは麺の幅と厚さにあります。
日本農林規格(JAS)が定める「乾めん類表示品質表示基準」においては、「幅を4.5mm以上とし、かつ、厚さを2.0mm未満の帯状に成形したものにあっては『干しひらめん』、『ひらめん』、『きしめん』又は『ひもかわ』と記載することができる。」とされています。
一方で、うどんの場合は「厚さを1.7mm以上に成形したもの」とされています。
うどんときしめんでは、明確に形状が異なることがJASによって定められており、きしめんの方が茹で時間が短くコシが弱くなっています。
飲食店やスーパーで販売されている一般的なきしめんは、幅7〜8mm程度、厚さ1.0mm程度のものが多く、JASが定める基準よりも、もっと幅が広く、厚さが薄い麺となっています。
3.きしめんに似た平打ち麺料理
ちなみに、きしめんのように平べったい形状をした麺料理は全国各地にいくつも存在しており、具体的には下記が存在します。
・ほうとう(山梨県)
・川幅うどん(埼玉県)
・おっきりこみ(群馬県)
・ひもかわ(群馬県桐生地方)
それぞれの地域によって、味付けや具材等は異なりますが、どれもきしめんのように平べったい麺を使用する点では共通しています。
きしめん好きという方は、他の地方の平打ちうどんをチェックしてみるのもおすすめです。
4.きしめんの歴史
きしめんは、江戸時代から食されていたことが複数の文献から判明しており、江戸時代の「東海道名所記」や「好色一代男」にも登場しています。
きしめんの起源には諸説あり、江戸時代に芋川(現在の愛知県刈谷市)名物だった平打ちうどんがルーツとの説が有力です。
きしめんと似た幅広で薄い麺の「ひもかわ」は、芋川の訛りとも言われており、現在でも群馬県桐生市では「ひもかわうどん」という名称で郷土料理として親しまれています。
5.きしめんが名古屋名物になった理由
きしめんが名古屋で広がったのは、以下の理由からと言われています。
・名古屋人は合理的な志向が強かったから
・名古屋人が濃い味付けの料理が好きだったから
きしめんは、通常のうどんよりも茹で時間が短いため、燃料や時間を節約でき、合理的で倹約家な名古屋人に浸透しやすかったと推測されます。
また、中部地方にはかつてから味噌を好む濃口嗜好があると言われており、味が染み込みやすいきしめんは中部地方で受け入れやすかったと考えられます。
参照元: 「tabemaro」Webサイト
以上