概説/ 「ゲシュタルト心理学」と「ゲシュタルト療法」
〈目次〉
1.ゲシュタルト心理学
2.ゲシュタルト療法
1.ゲシュタルト心理学
ゲシュタルト心理学は、心理学の一学派で、形態心理学ともいう。
一つの図形のように個々の要素の総和以上のまとまりのある形態をゲシュタルトという。
ゲシュタルト心理学は、精神や意識をゲシュタルトとしてみる立場から考察する心理学である。
人間の精神を、部分や要素の集合ではなく、全体性や構造に重点を置いて捉える。
この全体性を持ったまとまりのある構造をドイツ語でゲシュタルト(Gestalt :形態)と呼ぶ。
ゲシュタルト心理学は、ヴントを中心とした要素主義・構成主義の心理学に対する反論として、20世紀初頭にドイツにて提起された経緯を持つ。
精神分析学や行動主義心理学に比べると、元々の心理学に近いと言える。
特にユダヤ系の学者が多かった事などもあって、ナチスが台頭してきた時代に、同学派の主要な心理学者の大部分がアメリカに亡命した(例外的にヴォルフガング・ケーラーのみはバルト・ドイツ人出身)。
その後、同学派の考え方は知覚心理学、社会心理学、認知心理学などに受け継がれた。
自然科学的・実験主義的アプローチや、全体性の考察に力学の概念を取り入れた事など、現代の心理学に与えた影響は大きい。
2.ゲシュタルト療法
ゲシュタルト療法は、精神分析医フレデリック・パールズ(Frederick S.Perls)とゲシュタルト心理学者であった妻のローラ・パールズ(Laura Perls)によって創られた。
「ゲシュタルト」とは、「まとまった」「全体性」「統合」という意味を表すドイツ語である。
ゲシュタルト療法は、人間は外部の世界をバラバラな寄せ集めとして認識するのではなく、“意味ある1つのまとまった全体像として構成し、認識する”というゲシュタルト心理学の視点を基本にしている。
◻️ゲシュタルト療法では「気づき」を大切にする
フレデリック・パールズ(以下パールズ)は、ゲシュタルト療法を「今、ここ」中心の「実践的な心理療法」であると表現している。
それまでの伝統的な心理療法は、クライアントの過去に問題があると考え、その問題を解決するために生育歴などを分析して解決することが目標であった。
しかし、パールズは、クライアントの本当の問題は、昔あった問題を「今、ここ」に引き続き持ち続けていることに原因があると考えた。
ゲシュタルト療法の目標は、クライアントが現在の「未解決な問題」を手放し、明日や来年、もしくは将来起こってくること、そして、「今、ここ」のいかなる問題にも対応し得る方法を身につけることにある。
このことから、ゲシュタルト療法では、「気づき」を大切にしている。
参照元: 「ウィキペディア」、「ホリスティックコミュニケーション」Webサイト