経営者が感じる「孤独」
社長たちに共通する辛い孤独感の理由と解消法をご紹介いたします
孤独は、多くの経営者が抱える悩みの一つです。「社員の生活がかかっている」「責任が重すぎる」など他の社員とは共有できない悩みを抱え、孤独感を感じている方もいるのではないでしょうか。
孤独な状態が長期に及ぶと、そのストレスから心身の不調が現れたり、思考能力が低下して経営にも影響するため、できるだけ速く対処しなくてはいけません。
〈目次〉
1.経営者と社員の価値観の差が孤独感を強くする
(1)経営者の価値観
(2)社員の価値観
2.経営者が孤独を感じてしまう4つの理由
(1)自分一人で決断しなければならない場面が
多い
(2)友達との付き合い方が変わってしまった
(3)悩みを相談できる相手がいない
3.経営者が孤独に陥ると生じるリスク
(1)心身への悪影響
(2)適切な経営判断ができなくなる
(3)経営がワンマンになりやすい
4.経営者が孤独を解消するためにできること
(1)没頭できる趣味を見つける
(2)意識改革で孤独をポジティブに変換する
(3)信頼できるメンターを見つける
(4)不健康な生活になる
1.経営者と社員の価値観の差が孤独感を強くする
経営者が孤独を感じる具体的な理由については後述しますが、まずは孤独感を強くする根本的な要因が社員との関係にあることについて言及していきます。
当然ですが、経営者と社員では立場や価値観が異なり、その価値観のギャップが社員との関わり合いに摩擦を生んでしまうのです。
では、具体的に経営者と社員ではどのような点において価値観が異なるのか、それぞれ解説していきましょう。
(1)経営者の価値観
まず経営者の立場についてですが、経営者は企業の「最高経営責任者」であり、最終的な決定権を持つ者を指します。それはつまり、業績が悪化しても誰のせいにもできず、逃げることができない立場にあるということです。
また、雇用主として、社員とその家族の生活を守る義務もあります。
このような環境が経営者の主体性を育み、「経営上起こりうるすべての事の原因・責任は自分にある」という価値観が形作られていくのです。
(2)社員の価値観
社員の場合、どれだけ意欲的に働いていようとも、実際は労働者の立場で、会社のことを第一に考えられる人は多くはありません。
自身の生活の維持・向上や、キャリアアップを一番に考えて働いている人がほとんどです。自由な意思決定をする権限もありませんから、必然的に責任感が弱くなり、悪い出来事が生じた場合、その原因の大半は他者にあるという思考になりやすいのです。
このように、経営者と社員の働く目的の不一致や、価値観のギャップがあることで、お互いにコミュニケーションが希薄になり、結果的に経営者の孤独感を強めることにつながっています。
2.経営者が孤独を感じてしまう4つの理由
ここからは、経営者が孤独を感じる4つの理由について掘り下げていきます。
・自分一人で決断しなければならない場面が多い
・社員との立場の違いから理解を得られない
・友達との付き合い方が変わってしまった
・悩みを相談できる相手がいない
孤独に陥る原因を明確にしなければ、解決の糸口は見えません。まずは、自身の孤独の原因として何があてはまるかを考えてみましょう。
(1)自分一人で決断しなければならない場面が
多い
前項の「経営者の価値観」でも触れましたが、経営者は「最高経営責任者」と呼ばれる立場であることから、最終的な意思決定を下さなければならない場面が頻繁にあります。
決断の結果により、業績が悪化した場合はもちろんですが、社員が不祥事を起こしてしまった場合などであっても、経営者はその責を負わなくてはいけません。
立て直しが困難なほどに経営が傾いてしまえば、社員の生活、ひいてはその家族の未来にまで影響を及ぼすことでしょう。誰にも相談できずに、このような重圧に一人で耐えている経営者は、孤独を感じやすいと考えられます。
(2)友達との付き合い方が変わってしまった
経営者になると、学生の頃から付き合っていた友人たちともスケジュールや話が合わなくなり、疎遠になってしまうことは少なくありません。
会社員同士だった頃には、言い合えていた会社の愚痴を言えなくなり、経営者目線の悩みは理解されないこともあります。苦労を分かち合えなくなるだけでなく、嫉妬心から嫌味を言われてしまう可能性があります。
これまでのような友達関係を続けられなくなることは、息抜きできる環境が減ってしまうため孤独感も強くなります。
(3)悩みを相談できる相手がいない
経営者は重い責任を背負う立場上、安易に人に心を許したり、弱音を吐くべきではないと考える人が多く、責任感の強い人ほどその傾向が強いです。
また、安易に人を信用しないだけでなく、「裏切られたらどうしよう」と、疑心暗鬼になり、社員はもとより、経営者仲間や家族にも腹を割って離せなくなり、孤独感を募らせてしまうようです。
3.経営者が孤独に陥ると生じるリスク
経営者が孤独に陥ると生じるリスクには、以下のようなものが挙げられます。
・心身への悪影響
・適切な経営判断ができなくなる
・経営がワンマンになりやすい
・不健康な生活になる
孤独な状態を放置し続けていると、取り返しのつかない事態を招く恐れもあります。重大なことと捉えてリスク対策をすることが大切です。
(1)心身への悪影響
孤独を感じる状態が長期間に及ぶと、メンタルに支障をきたすようになります。
メンタルヘルスの悪化は自身では気付かないことが多く、身体に不調が現れて初めて、うつや適応障害といった精神疾患を患っていることが発覚する場合がほとんどです。
(2)適切な経営判断ができなくなる
メンタルヘルスの悪化が招くのは身体の不調だけではありません。判断力や記憶力が著しく低下し、適切な経営判断ができなくなるリスクも孕んでいます。
(3)経営がワンマンになりやすい
孤独に会社経営を続けている人は、人間不信に陥りやすい傾向にあります。そうなると、部下を信用できず会社の指揮を単独でとってしまう、いわゆる「ワンマン社長」になってしまう可能性が高くなります。
ワンマンな状態になってしまうと、社員の不満が募る可能性が高いです。結果的に社員が退職し、人手が足りなくなるなど悪影響が広がることも考えられます。
(4)不健康な生活になる
孤独感が強くなると、不健康な生活習慣に走ってしまう人も少なくありません。孤独を紛らわせるように暴飲暴食をしたり、喫煙本数が増加したりといった行動が続けば、体調を崩しやすくなりますし、無気力になり、運動不足になる人も多いです。
不健康が常態化していると、生活習慣病のリスクも高まり、事業の継続も難しくなります。
4.経営者が孤独を解消するためにできること
経営者が孤独を解消するためにできることとして、以下の5つをおすすめします。
・没頭できる趣味を見つける
・意識改革で孤独をポジティブに変換する
・信頼できるメンターを見つける
・経営者同士の交流会に参加する
・ワークライフバランスの改善
孤独な状態が長く続くと、前述のようなリスクにさらされる可能性が高くなります。孤独の原因がわかったら、それに合った解消法を試してみましょう。
(1)没頭できる趣味を見つける
仕事と同じくらいの熱量で打ち込める趣味があれば、孤独感が軽減されます。経営者に多い趣味には、「ゴルフ」や「旅行」「読書」「音楽」などがありますが、夢中になれるものなら、どんなものでも構いません。
体を動かす趣味なら、健康維持や体力の向上、睡眠の質の改善といったメリットも得られるため特におすすめします。
(2)意識改革で孤独をポジティブに変換する
孤独であるということは、何も悪いことばかりではありません。多忙な経営者には、一人静かに考えを巡らせる時間を持つことも必要だからです。
孤独な時間を有効活用し、会社経営に必要な思考整理の時間に費やすことで、ビジネスを成功へと導きやすくなります。孤独な時間も必要と考えポジティブに変換するマインドセットを身に付けることが大切です。
(3)信頼できるメンターを見つける
経営の悩みや楽しさに共感して、第三者の目線でアドバイスをくれるメンターを見つけることも一つの手です。
悩みを解消してくれるプロフェッショナルであり、利害関係がない相手であることから本音で悩みを打ち明けやすいため、信頼できるメンターを確保しておくとよいでしょう。
(4)経営者同士の交流会に参加する
経営に関する悩みや喜びを分かり合える仲間を増やすことで、孤独感が軽減されることもあります。交流の場所や方法には以下のようなものがあります。
・地元の商工会議所などで催されるセミナーに参加する
・経営者が集うオンラインサロン参加する
・知人からの紹介
・SNSで同じ悩みを持つ経営者を探す
経営者同士の集まりに参加すれば、孤独を解消できるだけではなく、人脈作りや経営ノウハウの習得など、さまざまなメリットを得られます。
参照元: 「ベンチャー.jp」Webサイト
以上