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ルーベンス/ バロック美術を代表する画家


ピーテル・パウル・ルーベンス(1577-1640)は、フランドル地方(現在のベルギー)で活躍したバロック美術(※)を代表する画家である。

※バロック美術とは、17世紀にヨーロッパで主流となった美術の様式。前代のルネサンス様式の均整のとれた美しさに対して、規範から逸脱して豪壮さや華麗さを競った。

日本では、児童文学の名作『フランダースの犬』の主人公・ネロ少年が、あこがれていた画家で知られている。

アニメ フランダースの犬


ネロと愛犬・パトラッシュが、ノートルダム大聖堂にあるルーベンスの作品《キリストの降架》を観る、感動的なラストシーンは有名だ。

キリストの降架


ルーベンスはルネサンス美術を開花させたイタリア絵画の伝統と、北ヨーロッパの絵画の特色である写実的な油彩画の技法を融合し、ダイナミックで色彩豊かな美しい画面を作り出した。

そうしたルーベンスの作品は、ヨーロッパ中の宮廷や教会で人気を博した。

ルーベンスは、ドイツのウエストファーレンの小さな町ジーゲンに生まれた。10歳のときに、母の実家があるベルギーの第2首都・アントウェルペンへ引っ越すと、そこでさまざまな画家に弟子入りし、画家修業に励んだ。

23歳のときにルーベンスはイタリアへ渡り、古典美術や新しいバロック表現などを学んだ。31歳でアントウェルペンへ戻ると、アルブレヒト大公の宮廷画家となった。その後、ルーベンスは、各国の宮殿で仕事を行い活躍したのである。

45歳のとき、フランス皇太后からパリに建設中のリュクサンブール宮の装飾の依頼を受けた。そのとき描かれたのが、《マリー・ド・メディシスの生涯》という作品だ。

マリー・ド・メディシスの生涯


本作は、当時のフランス王妃であるマリー・ド・メディシスの生涯を描いた24枚の連作である。

ルーベンスは自身がもっていた神話の知識を総動員させて、神々しく描いた。本作はバロックを代表する作品のひとつといわれている。

仕事に恵まれ、順風満帆な人生を歩んでいたルーベンスだが、49歳のときに最愛の妻・イザベラが死去。深い悲しみの底にいた彼を慰めたのは、イザベラの姪であるエレーネだった。

当時53歳だったルーベンスはエレーネと再婚した。その後、エレーネと幸せに暮らし、62歳でこの世を去った。


アニメ フランダースの犬
オープニング曲 よあけのみち 
(YouTube)

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