吉野家のニュースで考えた「上司へのウケ演技」の責任と対処法
吉野家のニュースは目を疑ったけれど、そこからもうなんか牛丼全体がクスリのイメージになってしまって食べづらくなりました。
私は結構牛丼好きなのですが、吉野家はもちろん他の牛丼も、脳が「クスリくらい有害なもの」みたいな連想をしてしまい、食欲が失せてしまう。頭ではわかっていてもイメージは強烈なので、わざわざ足が向かない。牛丼界全体に影響を与えている。最悪です。
こんなこと吉野家以外の牛丼屋にとって最悪以外の何でもないので、イメージを捨てる努力をし、時が経てば行きます。
女性蔑視と言われているけれど、女性蔑視以前の問題だとか、女性蔑視も包含した大きな問題だとか、そもそもあの言葉を使っていなかったとしても考え方が古すぎるとか、色々あるけど今回私が思ったのは
おじさんとおじさん以外の人間の笑いのツボってギャップありすぎるよね〜。ということです。
おじさん、と一括りにしてしまうと良くないので、ここで言うおじさんとは、ハラスメントがダメというよりダメな時代だ、という認識をしているタイプの、つまり人権意識低めの、役職や権力のある人です。
私も含め、私の友達の会社も、多くは上記で定義したおじさんが会社に居ます。あるあるです。私の周りだけだったらごめんなさい。
こういう人の発言で本気でウケたことはというと、皆無です。気を遣って笑っています。愛想笑いだと気付かれないように本気でウケている風に演技をして笑っています。手前味噌ですがその演技が非常に上手いです。円滑な人間関係のためです。ていうか会社員だと、男女、年齢関係なくそういう場面を見たことがあります。上司の、そのもっと上の上司へのウケ演技も見覚えがあります。「上司がウケると思って言っていること」を察知し、本気でウケている風に笑う。ここまで0.1秒です。脊髄反射です。弛まぬ努力です。
どうしても、おじさんにインタビューをしたわけではないので想像上の話になってしまいますが、もちろん、演技だと見抜くおじさんもいらっしゃることでしょう。けれど、私が周りのおじさんを見ている限り、多くは、「演技だろうが本気だろうが、どうでもいい。この場の空気が、自分の発言によって、和んでいる」「ウケたから、いいや」という認識をしているのかな〜と思います。そしてその認識が、より、おじさんのおじさん化を助長し、より、おじさん界隈とそれ以外との笑いのツボの分断を生み、そのことに気付かぬ内に死を迎えます。
もちろん「面白くはないけどハラスメントではない」という発言に笑うことは何の問題もありません。しかし、
アウトな発言は糾弾されるべきだという考えがこれだけ広まっても、
『本当はハラスメントだけど、上司がウケると思って言っていることに笑う、というのが癖になっているし、いちいち指摘をしていたらキリがないため、適当に笑って流している場合が殆どである』という現状が無いでしょうか。
この現状が行き着いた先が、今回の吉野家の常務の発言だったのではないのでしょうか。
実際、会場ではウケていたと記事で見ました。おじさんがウケると思って、あえて汚い言葉を使用した。ほとんどの人は前述の癖通り、(偉い人がなんかウケ狙いで下品で尖ったことを言った)ということで笑ったかもしれませんが、勿論(面白くもないしヤバすぎるしキモすぎるしヤバすぎるしキモすぎる)と本気で引いた人も居て、だから今回の報道に繋がったのでしょう。
ウィル・スミスの件の、クリス・ロックの発言も一緒で、会場ではウケていた。
我々は、もうこれ以上、彼らに、
(ウケたから、いいや)
と思わせてはいけません。
アウトな発言は、スベらせなければなりません。
芸人さんが年齢的にはおじさんでも若い人にもウケるのは、芸人さんは私たちの上司ではないため、客は気を遣う必要がなく、面白くなかったらスベらせることが出来るからです。
ウケに忖度が無いからです。より純粋なウケ/スベり のジャッジのもとで笑わせる側が反応を敏感に察知し、客層や時代に合わせてウケることを選択していっているからです。
Funny という意味での「面白い」という感情は本来非常に繊細で、例えば芝居の世界では観客を泣かせるより笑わせる方が難しいなんて言われています。
人を笑わせる側にはサービス精神が必要なはずで、そのサービス精神が人を傷つけたり不快にさせたりするなんて、悲劇です。
サービス精神だからこそ、やっぱり上司をスベらせるわけにはいかないというのもわかります。私がよくやっているオススメの方法は、聞こえなかったフリです。(絶対面白くないけどウケると思って何か言いそうだぞ)という雰囲気は察知出来るので、その1秒前から隣の人と話したり、何か作業をしたりして、丸まま聞こえなかったフリをします。
そしたら大体2回は言わないので、リアクションをしない、が可能になります。
おじさんおじさん言っちゃって中年男性全員が不快な思いをするかもしれませんが、ここで言うおじさんとは前述の定義の人のことですので便宜上「おじさん」という単語を使ってしまったこと、ごめんなさい。
もちろん、一般人にも本当に面白く鋭敏な中年男性もたくさんいらっしゃると思います。
また、役職持ちにどうしても男性が多いため中年男性の呼称を使いましたが、当然女性の権力者にもそういった人は居るという前提があります。