舞台版ゲキドルの劇中劇が最高だった話
今更ながら舞台版ゲキドルの感想、随分と長い間ツイッターの固定ツイートに設定していたのですが、いつまでも固定しておく訳にもいかないのでnoteで感想をまとめます
ゲキドルについて簡単に話すと割と謎のアニメです、声の収録や漫画版のメディアミックス(これについてはよく知らないので語れることがない)などが5年前にあったのですが、何故かアニメは放送されず令和になってから放送されたという意味不明なもの、劇中劇が実在するものだったり、そもそものストーリーが過去の別作品のリメイクらしかったり、色々謎があるんですが、内容は大雑把にいうと劇+SFで構成されています、舞台版はSF的要素はほぼオミットされているので純粋に劇団もののお話になっていますね
しかしずっと待っていたんですが円盤の情報は全く出てこないのでまあ出ないんでしょうね、配信があったので映像的には収録できるものがあるはずなのですけど
・ラストの劇中劇シーンが熱い!
いや割とこのシーンを語りたいってだけなんですよね、そもそもストーリー自体は色んな要素をアニメ版からオミットしたものなので、舞台版の要素としては演出や演技といった面が大きなウェイトを占めてくるのは必然といえるでしょう
色々あって主人公の守野せりあが所属する劇団アリスインシアター(以下アリスイン)とライバルキャラ(?)の雛咲いずみが所属する劇団スーパーマテリアルシアター(以下SMT)がアリスインデッドリースクールという同じ劇を上演して対決するのですが、この劇中劇シーンがマジで最高だったんです
その劇中劇であるアリスインデッドリースクールは実在する劇です、BS11での1話放送時に本編終了後にデッドリーのアニメ前半だけ放送されたのを見てなんだこれ?ってなった人も多いのではないでしょうか(自分もその一人です)、ちなみに定点カメラ映像ですがYoutubeで実写版の劇本編を見ることができます
https://www.youtube.com/watch?v=YIDwwMqb5T8
普通にフルでの動画なので長いです、期間限定公開って書かれてますがなんかずっと公開されてますね、漫画版もあるので話の内容を知りたいだけならそっちの方が敷居が低いかもしれません
・リアルタイムで生身の人が演じるということ
ここでちょっと前提となるストーリーの話、何故舞台でそういう演出だったのかに深く関わっているので少し触れていきます
アリスインの練習用ロボットのドールというキャラがいるのですが、ロボットなので決められた演技を決められたようにしか演じることができません、このドールをSMTの支配人がアリスインから引き抜いてきてSMT側のデッドリーで主演の一人をすることになるのですが、もう一人の主演であるいずみは舞台は生物で生身の人間が演じるから意味があるものだ演技を相手にぶつけてそれを受けて返すから舞台が成り立つんだと猛反対します、しかし他のメンバーたちからは皆が同じ方向を向いてさえいれば大丈夫だと切り捨てられてしまいます
演劇では人と人がその場で向き合って演じるので予め決められた演技しかできないロボットのドールじゃ成り立たない…いずみの意見が正しいとつい思ってしまいそうですが、例えば声の収録現場ではどうでしょうか、元々は複数人スタジオにはいって一緒に収録していたみたいですがコロナの影響で最近は一人一人別に収録しているらしいですね、それで完成したアニメで別々に収録したから違和感があるなんてことあるでしょうか、そんなことないですよね、大丈夫なんです同じ方向さえ向いていればっていうのも理屈としてまた真なのです
・二つの劇団によって同時に上演される演出
この劇中劇ですがメインステージと右上の方に設置されてたサブステージの両方を使って同時に行われます
デッドリースクールの登場キャラクターは主役の漫才をする二人をはじめとしてみんなペアで構成されているのですが、主役の二人だけは例外的にアリスインのせりあとあいり、SMTのいずみとドールが同時に演じて(つまり主役の二人は二つのステージに同時に存在する)、他のキャラはペアの二人をアリスインとSMTがそれぞれ一人ずつ演じます、キャラの立ち位置がメインステージとサブステージで離れているのでお互い演技をぶつける相手が見えない中で台詞をかわしていくことになります
つまり(劇中劇の主演を除いて)舞台全体が同じ方向を向いてさえいえば大丈夫という理屈からなるステージとして作られていきます、これを見てまず感じるのが、演出として面白いのもあってうおおおっと熱くなるんです、なんかすごいものを見せられていると、メインステージに立つ演者が台詞を発すると、次の台詞をサブステージにいる演者が発する、そして次の演者が…とメインステージとサブステージの離れた場所で同時進行される二つの劇を一つのステージとして見せる演出に驚かされて夢中にさせられるんです
主演を除いてと書きましたが、主演の二人はメインとサブの両方に存在してお互い相手が見える状況で演じます、ただしSMTの主演の片方はロボットであるドールなので相手の演技を受け取ることはなく決められた通りに演じるだけです、つまりアリスインのステージが生身の人間同士が演じる生の舞台を表していてSMTのステージが同じ方向を向いていればという舞台を表しています、なので劇中劇のスタートはステージ全体でSMTの舞台を表現していてそのすごさに圧倒させられるわけです
しかし劇中劇が進むにつれてSMTのメンバーが一人また一人とメインステージの方に降りてきてお互い見える状態での演技へと移り変わっていきます、劇中劇も後半になってクライマックス…劇の登場人物たちの感情の高まりも最高潮に達するところで生の人間が演じる本来の演劇をぶつけられて、見ている観客はやはり生で演じる直接の感情のぶつけ合いが見ていて楽しいと再び圧倒されるんです、最終的にSMT主演の二人を除いて全員がメインステージに立ち舞台全体がアリスインの舞台へと変わるわけですね
・同時に存在する主演の二人(四人)
先ほどは舞台全体の話をしましたが劇中劇の主演の二人についても少しだけ書きます
ステージ全体がSMTからアリスインのステージへと変わっていく中、アリスイン側の主演の二人とSMT側の主演の二人はお互い最初から最後まで自分側の演技をし続けます、同じ劇中劇を同時進行していく中で同じ台詞を持つ登場人物が同時に存在しているので、台詞をどちらか片方が喋ったりはたまた同時に喋ったり、その喋る台詞が登場人物を演じているゲキドルのキャラクターの立場にリンクしていたりと、主演の二人(四人)を見ていてもすごい感情が揺さぶられます
最後ステージ全体がアリスイン側になるのだけれど、口では生身の人間じゃなくても大丈夫といっていた他のメンバーたちは生の人間の舞台にどんどん加わっていくのに、SMT側でドールと演じていたいずみだけは最後まで人間同士の演劇には加われず一人孤独に終わっていくのがすごく切ないです、ストーリー的にもここで心を折られるいずみの心情が表されていてうっとなってしまいますね
という訳で舞台版ゲキドルについての感想でした、いや劇中劇のシーンについてしか書いてないんですが本当にこれが最高で舞台版やってくれてよかったと感じた部分だったんですよね、舞台やった時期もよくわからなくてアニメ放送中でブルーレイ買った人だけは最後まで見れるって状況(放送中に前話収録のブルーレイが出るってなに?)だったんですが、舞台ではSF要素カットされてるのでかえってこのタイミングでよかったのかな?その辺はよくわからないです
今から見て!といっても見れないのでマジで円盤化してくれないかなー運営さん(?)お願いします!