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お客様は神様か?
~お客様は王様です。ただ王様の中には首をはねられた者もいる。~
この言葉は私の好きな言葉の一つです。
三谷幸喜さん脚本のドラマ「王様のレストラン」での一コマです。
最近、厚労省で、カスタマーハラスメント対策企業マニュアルが発表されています。
そもそもサービスを受けるときに企業側に何か怒ってやってもらうことは想定しにくいと私は思うのですが、カスタマーハラスメントが社会問題化するということは世の中の人の中には、お客様は神様ですのような考え方をする人が少なからずいるのかもしれません。
ところでカスタマーハラスメント厚労省マニュアルが出たよという話を聞いたときに思い出したことがあります。
それは私の子供の頃のエピソードです。
私の実家は商売をやっていて、定休日は火曜日でした。火曜日になると毎週ではないですが、同業、同種のお店、または近所のお店に食事をしにいくことが多かったんですね。
両親は商売人ですので、お金をただ貯めるという発想ではなく、仕事を振って振られてという考え方があったようです。そこで、近所のお店に食事に行くことで、火曜日以外に自分のお店にも来てもらう。そうやって経済を回すということをしていました。
ある日、居酒屋兼寿司屋というスタイルのカウンターメインのお店に行ったときの話です。
夜の7時頃に家族4人でガラガラと横に開くふすまタイプの扉を開けたら、威勢のいいかっこいい男性の声が聞こえた。
「いらっしゃい」
当時私は小学4年生だったので、その声に
ビク!っとなる。
お客さんがいっぱいだ。
そう思った瞬間、その声の主は、「ああどうも、いらっしゃい」と急にトーンを落として父に声をかけた。この人が店主だ。そして奥のカウンターの席を4人分、片づけて案内してくれた。
そして4人で横に並んで座った。しかし、いっぱいのその店内では注文もできない。そんな状況があった。
「忙しそう」と私が何気なくつぶやいた。すると母親が
「商売人の子だねー」と言った。
そう、忙しい店内をみて気を遣い、注文ができないと思うことは、つまり小学生でありながら毎日自分の親が、無秩序に注文を受け、
「ハイただいまー」
と何とかやっている現場を見ているからだという。
ホールスタッフはじめ、寿司を握る店主へ気を遣ってしまう。
これがサラリーマンの家だとこういう発言にならなかったのかもしれない。
サービスを提供する側もされる側も、同じ。
~お客様は王様です。ただ王様の中には首をはねられた者もいる。~
この言葉は私の好きな言葉の一つです。