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坂本龍一は死なない

「わたしはあなた方を見捨てて孤児とはしない。あなた方のもとに帰ってくる。もうしばらくしたら、世はもはやわたしをみなくなるだろう。しかし、あなたがたはわたしを見る。わたしが生きるので、あなた方も生きるからである。」

「これらのことを話したのは、わたしの喜びがあなたがたのうちにも宿るため、また、あなた方の喜びが満ちあふれるためである。」(ヨハネ福音書14章、18−19節、15章11節)

今夜、坂本龍一さんの訃報に触れた時、僕は偶然、キリストの復活にまつわる文章を読んでいました。若き日、遠藤周作さんと同じ船でフランス留学された今は亡き、井上洋治神父の著作集の第1巻です。

処刑前夜、死への恐怖と不安の苦悩のただ中にあるキリスト。それでも弟子たちに喜びと平安を残していこうと語りかけ続ける。

死の間際まで、神宮外苑の樹木伐採についてメッセージを発信され、戦う人々に寄り添い、光を届け続けられた坂本龍一さんの姿と重なります。

坂本さんは、生前のインタビューで(新潮2022年7月号)で、SF作家のカール・セーガンと音楽家カルロス・ジョビンのことばを取り上げ死後の世界について語られています。

「セーガンやジョビンの想像力、そして死んだらお星様になるという素朴なファンタジーを、いまのぼくは決して否定したくありません。」

坂本龍一さんは、死なない。彼の生きる姿は、世界中の多くの人々の内側で、ますますその重みと広がりを増していく。まちがいない。