「生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける」(紀貫之『古今和歌集』あるいは、坂本龍一さんによって解き放たれた五感)
この夏(2022年)、斎藤真理子さんの「韓国文学の中心にあるもの」ではじめて知った1948年済州島での大量虐殺事件(済州4.3事件)。その事件をテーマにした映画「スープとイデオロギー」をYCAMにて鑑賞。
その凄惨な体験を生きながらえるも、戦後、国家とイデオロギーに分断された大阪のある家族の物語を長女であるヤン・ヨンヒ監督が、ホームビデオで記録した作品。生者にも死者にも均等に刻一刻、過ぎゆく時の流れ。否応なく消えゆく記憶。遺されたものは、すべての悲しみを鶏一匹まるごと煮込ん