カスタマーサポートデスクとの会話から世界の広さを再確認した件
最近カスタマーサポートデスク(以下CS)の対応は、日本語が流暢な外国人のスタッフさんが多い。言葉は確かに流暢、しかし根本的なものが欠けている。それは、
「日本式のコミュニケーション力」
だ。つい先日まで私はそう信じ、疑いを持っていなかった。
ところがどうやらそうではなく、というか、それだけではないことに気づき、反省するに至る経験があった。
某Aさんのアメリカサイトで本を購入した。
しかし待てど暮らせど商品が税関を通過しない。定期的にオンラインのステータスを確認するも動きがなかったが、船便での配送だったため2週間ほど待ってCSに問い合わせた。
私「商品が税関を通過しないし、何やらステータスに発送できないとあるけど大丈夫ですか?」
CS「大丈夫です。税関通貨が遅れていますがあと5-7営業日ほど待ってください」
1週間後、問い合わせるも同じやり取りを繰り返したのみで進展がなかった。このやり取りをチャットで5回程度行い、5回目でやっと
CS「なんかすっごい遅れてるから、配送料返金するね。」
私「じゃあ商品は届くってことなの?(全力で疑っている)」
CS「うん、心配しないで待ってて!私が責任もって確認するから」
…お察しの通り、2か月待っても結局商品は届かなかった。
急ぎでない注文だったこと、日本では入手困難なものだったことからのんびり構えて待っていたが、さすがにここでいったん諦め、返金処理をお願いすることにした。CSに事情を伝え返金処理を進めてもらいつつ(進んでいると思っていた)、改めて同じ本を同サイトの別店舗で購入した。
私「5月に買った本、結局届かないみたいだし発送ステータスが変わらないから返金して」
CS「いや、お客様に商品は発送されていますよ?」
私「うん、でもステータスが止まっているでしょう?」
CS「2点購入いただいていますね。送料も返送していますがなにか問題でも?」
…いやいや。
心を最大限まで凪にし、一から説明する事計4回。
ようやく1つ目のオーダーの返金依頼だと伝わった。
CS「オーケー、では返金処理しますので、数日後に確認してね」
ここからの展開はすでに想像できるでしょう。
結局配送料以外は待てど暮らせど返金されず、本の代金が2度引き落とされただけだった。3か月が経過しさすがにおかしいね、ということで再度CSに問合せし、チャットでサポートを頼む。
私「1回目の購入品、商品も届いていないし返金もされないけどどうなってる?」
CS「返金はすでに完了しています」
私「それは配送料だよね。聞きたいのは商品代」
CS「どちらの問い合わせ番号分の商品ですか?」
私「(あなたに説明するの本日3回目…)12345です。」
CS「どの問合せか確認できません」
ここで堪忍袋の緒というヤツが切れる音がした。
しかしここは温和な日本人である。FワードやSワードを避けつつ最大限の怒りを表明した。
私「なんで2件しか購入履歴がないのにわからないの?12345の〇月〇日購入分だって何度も言ってるじゃん。2回買ってるのに!本は1冊しか!!届いてないの!!!で、配送料は返金されたけど、商品代は2回払ってんの!!!!!わかる?!!!」
この不毛なやり取りを多分両手で数えるくらいの回数繰り返したのちに、返金してほしい金額を具体的に伝えることにした。
私「いい?最初に買ったのは42.76ドル、ここから配送料分の11.76ドルは返金してもらったよ。じゃあ残りの31ドルはなぜ返してもらえないの? 2回目の買い物代の57ドルは全額支払ったよ。クレカの履歴にもあるでしょう?本は手元に1冊しか届いてないの。だから私は31ドルを受け取れるはずだけよね?」
ここまで説明しクレカの明細も送ってようやく、
CS「31ドルの返金処理しまーす。数日まってね」
とだけ返事が来た。
もちろんお詫びやお待たせしました的な、ありがとうやごめんねのワードはゼロ。日本国内での出来事だったら”城内引き回しの上打ち首”ものだ。
5分ほど怒り心頭、頭から湯気を出してプンスカしていたのだけれど、そこで過去にちょこっとだけ海外で生活し、働く中で得た学びを思いだした。
「日本の当たり前は世界では当たり前ではない。日本の当たり前が世界共通なのではなく、外国での当たり前から外れているのが日本のルールとマナー(とホスピタリティ)で、だからこそ日本はユニークだ、変な国だ(笑)と思われるのだ!」
ここでハッと我に返り、ちょっと反省するに至る。
相手に伝わらなかったのは、私の伝え方が”日本的”だったからなのだ。
初めから”何をしてほしい”のか、具体的に言えば済んだのである。それを私は”返金されてない”とかなんとか、フワっとした伝え方をしていた。日本では十分以上に伝わるし、CSなり店員さんなりが察して対応してくれるのでついつい当たりまえになってしまっているが、海外ではそういう感覚は捨てて挑まないといけない。最近まで20年以上サービス業に従事し、自らが”察して対応する”側にいたこともあって、日本式ホスピタリティでものを見る癖が抜けないのである。結果、私が一人でプンスカしていただけで、向こうからすればまったくもって普段通りの対応なんだろうな、と思った。
最近の職場でも外国人とのやり取りの中で同じようなイライラを感じていたのだけれど、せっかく学んだことをうっかり忘れてしまっていた自分に気づいて少し反省した。
相手が外国人だけではない、新入社員や若手スタッフとのコミュニケーションでも似たようなギャップが生まれることがよくある。数多の指導書にもある通り、「感情やニュアンスで話さず、してほしいことを端的に伝える」スキルがいよいよ求められているなぁ、と反省したのでありました。おわり。