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星降る夜のセレナーデ 第19話 才能

タイヤ屋さんへ到着すると、タイヤ交換にしばらく時間がかかる事が判明。
その間、皆んなで食事をする事にした。すぐ近くに回転寿司のお店があったので入る。

「真人くん、何でも好きなものを遠慮なく食べてよ」

「ありがとうございます」

それぞれに注文して食べ始めた。志音は卵やお肉の寿司などを食べている。

「あれ?志音ちゃん魚が苦手なの?」真人くんは不思議そうに見ている。

「ううん、回らないお寿司屋さんならお魚も食べるよ」そう言って茶碗蒸しを食べ始めた。

「志音は高いお寿司やさんでしかお魚は食べないのよ」美夜子が眉を寄せる。

「良いじゃあないか、志音は本当に美味しいものが解ってるんだから」私は弁解した。

「へ〜、そうなんですか?………………」真人くんは不思議そうに志音を見た。

志音はすでにデザートに手を出している。

タイヤ交換が終わると駅ビルのお店へ行って買い物をした。
買い物が終わると、志音が映画館がある事に気がつく。

「映画館があるよ、志音この映画が見たい!」ポスターを指差す。

志音のわがままに引っ張られるように4人はアニメ映画を観る。

映画が終わると、エンドロールが表示された。

私は真人くんの肩をツンツンと指で突くとスクリーンを指差す。
スクリーンには『音楽 白河一樹』の文字が表示される。真人くんは驚いて固まった。

場内が明るくなると「一樹さん、凄いですね…………」彼は何度も瞬きしている。

「大した事ないよ」私は笑った。

「そうだよ、とーたんは大した事はないよ」志音も笑った。

「俺は映画に名前が出るような人と仕事してるんですね…………」神妙な顔をしている。

「そのうちモヒくんの名前も出るかもね」志音が笑った。

「え〜!!それは無理ですよ」真人くんは手をひらひらと振った。

「でも、とーたんはモヒくんは覚えが早いから先が楽しみだって言ってるよ」志音が真人くんを見た。

「えっ……………」真人くんは固まる。

「私は嘘は言わないよ」

「一樹さん、俺そんな才能なんて無いですよ」慌てている様子。

「才能は自分で決めるもんじゃ無いよ、他の人が判断するもんさ」私は笑った。

「そうなんですか?」

「音楽制作、モヒくん!」志音が高らかに宣言した。

「モヒくんって……………」真人くんは少し困ったような顔をした。

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