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星降る夜のセレナーデ 第43話 秋葉原

秋葉原へ向かう車の中で志音ちゃんは学校での出来事を話してくれた。
少しずつ話せる子が増えて来ているらしい、しかし歳が一歳違うと価値観が合わなくて困っている。都会育ちで歳上だと、話の輪に入るのは難しいようだ。
テレビを買うのも、少しでも話が合わせられるようにする為の努力みたいだ。

「志音ちゃん、大変だね」俺はなぐさめた。

「仕方ないよ、私が喘息になったからだし…………」少しだけ俯く。

俺は何とかしてあげたいと思ったが、どうする事もできない。せめて志音ちゃんに優しくする事しか思い付かなかった。

車は秋葉原へ到着する。駅近くの駐車場へ車を置いて待ち合わせ場所へと向かう。
既に小池さんは待っていてくれた。

「こんにちは小池さん、今日は忙しい中付き合って頂きありがとうございます」俺は深々と頭を下げる。

「こんにちは、俺も楽しみにしてたから大丈夫だよ、気を使わなくても」手を振ってくれた。

志音ちゃんは俺の横にくっついて、ペコリと頭を下げた。

「志音ちゃんこんにちは、ずいぶん綺麗になったねえ」小池さんはニッコリしている。

「…………………」志音ちゃんはゆっくりとうつむく。

「じゃあ早速パソコンを選びに行きましょうか」小池さんは案内してくれた。

大きなビルの売り場で並んでるパソコンの中から、「これがベストかな」そう言ってある機種を推薦している。

「じゃあパソコンはこの機種にします」そう言って店員さんに手続きをお願いした。

「モニターはコレなんかどう?」小池さんは少し大きめのモニターを指差す。

「そうですね、これなら見やすいですよね」俺はスタジオに置いた状況を想像しながら決めた。

その後、違う階で周辺機器やケーブル、ソフトなどを購入した。

一通りスタジオの買い物が終わったので、志音ちゃんのテレビを探す。売り場へ行くと可愛いピンクの液晶テレビがあった。

「志音はこのテレビにする」嬉しそうに見た。

「了解!」俺が支払おうとすると自分の財布を出している。

「志音の溜めたお小遣いで買うの!」そう言って店員さんへ支払った。

荷造りされたテレビも持って駐車場へ向かう。全ての荷物を車に載せる。

「お腹すいたんで、食事しませんか?」小池さんが誘ってくれた。

志音ちゃんを見ると、少し元気がない。俺は東京にきて人も沢山いるし調子が悪くなったのかもしれないと思う。

「すみません、食事に行きたいんですが、帰ってやる事が待ってるんでまた今度お願いします」頭を下げた。

「そうですか、残念ですけど、またの機会に」小池さんは察してくれたようでニッコリ手を振って帰っていった。

俺は志音ちゃんと車に乗り込む。

「大丈夫志音ちゃん?具合悪く無い?」

「うん………多分大丈夫…………」俯いた。

「じゃあ急いで帰ろう」俺は車を走らせる。

関越自動車道に入りしばらくすると志音ちゃんは少しだけ元気になった。

「モヒくん………ごめんね…………みんなでご飯が食べれなくて………」申し訳なさそうな表情だ。

「何にも問題ないよ」俺はニッコリした。

「本当?」

「うん」

志音ちゃんは優しい顔になった。

「モヒくんありがとう、やっぱりモヒくんはモヒくんだ」ニッコリ俺を見ている。

「???……………」俺は意味が分からず首を傾げる。

二人は無事にログハウスへ辿り着いた。

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