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星降る夜のセレナーデ 第23話 初詣
元旦の早朝ママと志音は早くからおしゃれしている。私は日曜のお父さんをテーマに服を選んでいた。
「おはようございます!」真人くんはジーンズにジャケットというラフな格好でやってきた。しかし首には志音からプレゼントされたマフラーが巻かれている。
「おはようモヒくん、どう?似合う」志音はかわいいワンピースで髪はツインテールにしてニッコリした。
「おっ!志音ちゃん、かわいいねえ」
「そう?」真人くんの一言で志音はとても嬉しそうな笑顔を見せる。
「ママもセレブみたいでしょう?」志音は自慢げに言った。
「はい、とても綺麗です」真人くんは頷く。
「大丈夫よ、そんなに気を遣ってくれなくても」美夜子は笑った。
みんなで車に乗り込み秩父神社へ向かう。神社に到着すると、すでに多くの人が並んでいた。
「志音、人が多いけど大丈夫?」美夜子は辺りを見回して不安そうに言った。
「ママ、大丈夫だよ」自信ありげだ。
真人くんは志音をガードするようにして歩いてくれた。
やっと自分達の番が来てお賽銭を投げるとみんなで手を合わせる。
「これで今年も良い年になるぞ!」私は拳を強く握った。
それを見た美夜子と志音はクスクス笑っている。
その後は出店でたこ焼きや綿飴、味噌ポテトなどを買って車へ戻る。
志音が無理をしないように早めにログハウスへと帰ったきた。
「モヒくん、出店で買って来たのを食べようよ」志音は袋から出している。
「ねえ、味噌ポテトって美味しいの?」志音は串に刺さった天ぷらのような物を不思議そうに見ている。
「小さい頃から当たり前のように食べてたけど………」真人くんは改めて味噌ポテトを見つめた。
「食べてみたら分かるんじゃない?」美夜子が笑った。
「うん」志音は恐々一口ほうばった。
「う〜ん………甘じょっぱい…………」
「どれどれ」私も一つとって食べてみる。
「美味しいじゃないか、素朴で懐かしい味がする」
「これまでみんなが食べてるもんだと思ってました…………」真人くんは不思議な表情だ。
志音はもう綿飴をちぎって食べている。
「志音、甘いもの食べすぎると太るわよ!」美夜子の一言で志音は小さくなった。
真人くんはそれを微笑ましそうにみている。
私は今年一年良い年になるような気がした。