隠れ家の不良美少女 218 後1ヶ月
武道館の配信まで1ヶ月を切った。
細かいステージセットの図面や進行台本が上がってくる。
ウイングでは東京ステージプランの橘さんと細かい詰めの作業をしていた。
奏太くんも映像設備が配信の内容と不都合がないように確認している。
「友希くん、これだけの機材になると途方もない電力が必要だよ、しかも配信となると電圧変化は命取りになる、不安材料は早く無くしたいよね」
「そうですね、やはり電源車を入れますか………」
「大型が最低4台は欲しい所だね」
「今から手配出来ますかね?」
「知り合いのリース会社に確認してみるよ」
「お願いします」
「問題はこれをたった1日で仕込めるかってとこだね」
「苦労をおかけします」俺は頭を下げる。
「ウチの晴海にある倉庫でセットを作っておいて、分割して大型車で運び込むようにしようと思うんだけど」
「なるほど、それなら早く組めますね」
「ともかく最善の方法を探してみるよ」
「ありがとうございます」俺は深く頭を下げた。
橘さんは親指をグッと立ててニッコリ帰って行った。
「友希さん、こんなライブなんて誰もやったことが無いですよね」
「だろうね、コロナがなけれが普通にライブが出来たんだろうし」
「でも画期的なライブですよ」
「まあ、こんな事はこれから先もあり得ないと思うけどね」
二人で顔を見合わせて笑った。
友里香さんと菜々美ちゃんが帰ってきた。
「「お疲れ様で〜す」」
「「お疲れさん」」俺と奏太くんは手を振って迎えた。
「これ見てくださいよ〜」菜々美ちゃんがスマホを見せた。
覗いてみると可愛い女の子が踊っている。
「もしかしてココアちゃん?」
「そうです、もうすごい数のフォロワーなんですよ」
「そう、凄いね、さすが友里香さん」奏太くんは頷く。
「彼女は将来とんでもない大物になるかもしれないわね」そう言って少し考えた。
「キナコちゃんが引退した後はココアちゃんがメインになるんじゃ無いかなあ………」
「そうなんですか?」奏太くんは少しビビリ気味に友里香さんを見た。
「私が思った以上に人気が出て来てるわ」
「キナコの妹と言うことが分かったらみんなどう思うんだろうね」俺は考える。
「おそらく悪い方には行かないと思うわ」友里香さんはニッコリした。