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クリエイターはオリジナリティよりセオリーが先だろう
若いクリエイターは、世界の広さや奥行きを知らない面があって、自分的に斬新なアイデアがあるとそれを表現しようと躍起になりますが、実はそういうことって、既に誰かがやってたりするんですよね。
「どうしてこういうものが無いんだろう?」「しめしめ、これはチャンスだ!」と思うかもしれないけど、先人はそれをやって失敗したからもう手をつけない事柄になっているかもしれないのです。
特に、みんながやりたがるような流行のクリエイティブって、履いて捨てるほどクリエイターがいるのです。そんな中で真にオリジナルなアイデアって、そう簡単には見つけられません。
美しさとはなにか?
クリエイティブに関わる人にとって、機能を満たした後に見えてくる課題として「美しさ」というものがあると思います。
太古の昔から、クリエイターの最後の関心は「美しさ」だったのではないでしょうか?別の言葉で言うと「洗練」とか「感動」とか「極み」とかいうもので表されるようなものです。
美しさとは、いろんな解釈があるかもしれないけど、ある程度常識的なイメージがあるし、美しさにとって「斬新」は必要条件ではありませんね。
別に新しくなくていいのです。
それより、美しさには幾つかのセオリーがあると思います。
よく「様式美」と言われますが、様式というのは、クリエイターが試行錯誤した末に手にしたセオリーでもあるのです。
伝統的なクリエイティブ(笑)には、必ず様式という名のセオリーがあるのですね。
様式は、ある特定の分野に限ったものもあれば、比較的広い分野に通じるようなものもあると思います。どこかの分野で様式を体得すると、他の分野にも応用が利く場合もあります。
より良いものを求める人が美しさを身にまとう
先にも書きましたが、機能を満たす(用を足す)と、その先に求めるものは「美しさ」なのです。
多くの人が美しいものを手にしたい、体験したいという欲求を持っているし、多くのクリエイターもまた、美しいものを生み出したいと願っている。
だから美しさを追求することにはメリットがあり、価値も生むのです。
美しさと斬新さとどっちがハッキリしているか?
「美しいものをイメージしてください」
「斬新なものをイメージしてください」
どちらがイメージしやすいですか?
美しい方じゃないですかね?
斬新なものって、イメージしにくいと思います。だからこそ斬新なのですが。
そして、美しいものにはセオリーがあるけど、斬新なものにセオリーがあるかどうかは、分かりません。
もし分かるとすれば、それは斬新なものを生み出した人だけが知っているものだと思います。
(もしかしたら、美しいものも最初は斬新だったのかもしれません)
実利を求めるならまずはセオリーのあるものを
クリエイティブに利益を求めるなら、まずは分かりやすいセオリーを先に体得して、美しいものを生み出すことが先決ではないでしょうか。
それだけでも、多くの人の欲求を満たすことができるし、多くの常識的な人によって高く評価されるでしょう。
その後に、斬新なものや個性的なものを生み出してもいいのではないでしょうか?その頃にはすでに美しさのセオリーを知っているから、斬新なものも美しくできるはずです。
そうすれば、さらに感動され、評価されることでしょう。
美しさの追求は永遠
どんな活動も、最後の欲求は「美しさ」であるかもしれません。
美しさには際限がないから、それを追求するだけでも立派なライフワークとなるでしょう。
そして美しさには、その下に「美しくなる以前の姿」が必ずあって、お互いに密接に関係しているのです。
斬新なものは、しばしばその関係を断ち切って、せっかく過去に先人が積み上げてきたものを台無しにしてしまうことがあります。そこに美しさを求めるなら、初めから築き直しになるのですね。
それは本当に、メリットのあることなのでしょうか?
満足ができることなのでしょうか?
クリエイターだからといって「創造」にこだわると、大事なものを見落とすかもしれませんよ。