知識
はじめまして
この一文から始めさせていただきます。
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情報が詰まったカプセル錠が開発される。そんな話をいつどこで聞いたのかあまり覚えていない。テレビ番組かYouTubeかSNSか噂話か忘れてしまった。実際に開発されているものか、夢物語かということもあまり覚えていない。そのカプセル錠は、パソコンにUSBを差し込むことでデータが転送できるように、カプセル錠を飲むだけで情報がインプットされるというものらしい。例えば今は勉強して身につけている理科の知識が欲しいとき、その種類のデータが入ったカプセル錠を飲むだけでインプットされるらしい。しかし、カプセル錠を買うにはお金が必要なため、今でも問題になっている親の収入による教育格差がより顕著になってしまうという懸念があるようだ。
今回話をしたいのは教育格差ではない。知識をつける過程についてだ。試験勉強をしている時に、夜寝て朝起きたら試験範囲のこと全部暗記してないかなぁなんて現実逃避をしたことがある人もいるのではないだろうか。最近、本を読んだり、アニメを見たり、映画を見たりと遊んでいるだけなのに時間が全然足りなくて、内容が一瞬で分かる魔法ないかななど本末転倒なことを思ったりする。
こんな妄言を吐きそうになる時に、一度立ち止まってよく考える。過程を無くして、知識を得るということだけに注力して良いのかと。たしかに教育において暗記をするということも重要だろう。しかし、教育の本質は知識があるだけの子を作りだすことではなく、人間として社会的に育てることだろうと考える。3月のライオンという漫画で、学校の先生のセリフに次のような言葉があった。
『教育』か……『教育』とはうまい事言ったもんだよ…――『教える』に『育てる』か…『育』の字が無けりゃ とっくに放り出してるぜ こんな事…
3月のライオンは本質をついた名言が多く、好んで読んでいるが、このセリフは屈指の名言である。
本や漫画、映画などのエンタメコンテンツに触れていると、私の寿命がきて触れられないままの作品がこの世に星の数ほどあるのだろうなと悲しくなる。そこでカプセル錠のようなものでもあればと考えることがある。しかし、そもそもエンタメコンテンツはそのものを楽しんだ結果、内容や結末を知るのであって、知る過程を省いてしまっては、エンタメコンテンツそのものを否定していることになるだろう。
だからといってカプセル錠が悪かというとそれは違うだろう。パソコンのスキルやチェーン店のマニュアルなど覚える過程はどうでもいいから、すぐに知識を得たいということは世の中に往々にしてある。この手もものには何の躊躇いもなく実戦投入できそうだと考えたが、一つ引っかかったことがある。体力的に負けていても知識が豊富なベテランは重宝されてきたが、カプセル錠の登場で入社1日目の新人と入社30年目のベテランが同じ知識量ということが起き得るかもしれない。そしたら体力の衰えたベテランがきられてしまうということがあるかもしれない。
自動運転技術が発展しても事故の責任は誰が取るのかという問題が議論されているように、急速な技術の発展に現実社会が追い付かないということは今後ますます増えていくだろう。未曽有の事態に対応するマニュアルの情報が入ったカプセル錠が開発されることを願うばかりである。
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手の届く範囲にいるあなたが
幸せでいることを願います