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北海道一周秘境駅めぐり⑧ 昆布盛駅~根室駅

こちらの記事の続きです。

初回はこちら。


昆布盛駅

東根室駅を出発して15分、昆布盛駅にたどり着きました。

この日の花咲線はとにかく霧

国道沿いの森の脇に静かに存在する駅です。

ホームはざらざらした古いコンクリートで非常に狭く、近くに住む人々の便宜のため簡易的に作られたことが伺えます。

国道の交通量はそれなりにあり無数のクルマが走り去っていきます。そのため秘境感はさほど感じませんが、周囲に人家がまったくないため交通量の少ない夜の時間帯は本物の静寂が味わえるのではないでしょうか。

しばし雰囲気を味わった後にホームから出ると、そこにクルマが1台停まっていました。先客のようです。

待合室を見るのは後回しにして、先に近くの集落に向けて歩き始めました。

昆布盛集落へ

駅から集落へは400mほどの道のりです。

クマに怯えながら雑木林に囲まれた道を歩くと、深い霧の中から集落が見えてきました。

集会所らしき建物。現住建造物ばかりなので集落の様子は写していません

昆布盛集落は港に面した斜面に家が建ち並んでいる典型的な漁村で、今でも何十名かが暮らしているようです。

秘境駅の周辺では廃屋がお馴染みですが見られず、まだまだ現役の集落という雰囲気がありました。

落石漁港・昆布盛漁区

道を進んだ先にはだだっ広い漁港が存在していました。

船はあれども人の気配はなし

船の姿はあれど人影は見えず、漁港は不気味なほどに静まり返っていました。

写真の通りの濃霧のため漁に出られないのか、それとも訪問したのがちょうど人のいない時間帯だったのか……

広い漁港を一人で見て回っているとどこからかやってきたトラックが走り去って行き、ここが決して廃漁港ではないことが分かりました。

待合室へ

駅へ戻ると「先客」のクルマはすでになく、静かな昆布盛駅に戻っていました。

木陰に佇むプレハブの待合室

プレハブのような待合室の扉を開けると、埃っぽい臭いとともにプーさんが出迎えてくれました。

蜂蜜はここにはありませんよ

例によって待合室は虫の死骸だらけ。試しにベンチに腰掛けてみましたが、周囲が死骸だらけではやはり落ち着きません。

写真では分かりづらいのですが、この待合室は床が異常に盛り上がっています。果たして地下には何があるのでしょうか……長い年月のあいだに木が反り返っているだけかも知れませんけどね。

駅ノートにはそれに突っ込む書き込みだらけでしたが、自分はあえて触れずにメッセージを残しました。

根室駅

昆布盛駅での2時間の滞在を終え、やってきた列車に乗り込んで根室にやってきました。最東端の終着駅です。本日はここに宿を取ります。

根室駅。生活利用者はそれなりにいるようです

駅から5分ほど歩いた箇所には「根室本線終点」の看板があり、これを見ながら東の果てへとやってきた感慨に浸りました。

東の果ての線路

看板を見ると稚内駅からは900km近く離れているようです。2日前の早朝に出発して旭川・札幌・釧路を経由し、随分と遠くまできたものです。

街を彷徨う

夕食は「根室花まる」と決めていたのですが、そこはやはり夏休み。帰省や観光でやってきている人も多かったのでしょう。広い店内は家族連れでいっぱいで、なんと2時間待ちとのことでした。

諦めて街に出ると、まだ19時なのに開いているお店が全然ありません。クルマや人の通りが少なくひっそりとしており、街灯も少ないのでまるで深夜のようでした。

街の中心は駅ではなく漁港の方向にあるので、朝が早いのですかね。

そんなわけで夕食難民になって街をさまよっていると、なんと道路にキタキツネがいるじゃないですか

暗い中あまりにも普通にいるのでキツネには近寄るまで気付かず、突然の出来事に面食らいました。

僕が我に返る頃にはキツネは静かにその場を去ろうとしていました。慌ててスマホを構え、後ろ姿だけはなんとか撮影することができました。

真ん中あたり、道から草むらに入るキタキツネをなんとか撮影成功

僕の間近にいて冷静な様子だったので、人には慣れているようです。なお、感染症の危険があるのでキタキツネには触ってはいけません。向こうからぶつかりに来ていたら大変なことになるところでした。危ない。

その後も難民として彷徨い居酒屋にいくつか振られた結果、スーパーマーケットに隣接する寿司屋のお世話になりました。

肉厚のハマチ(?)
お腹いっぱい

彷徨った果てにたどり着いた上、この日は朝も昼もコンビニ飯だったのでお寿司とビールが染みました。満腹です。

翌日は花咲線の始発に乗ります。5時には宿を出るので、まっすぐ宿に帰ってゆっくりと眠りにつきました。

(追記)続きです。


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