北海道一周秘境駅めぐり⑥ 比羅夫駅~札幌駅
こちらの記事の続きです。
初回はこちら。
比羅夫駅
銀山駅から倶知安駅を経由して山線を下り、比羅夫駅に到着しました。
ここは日本唯一の「泊まれる駅」として有名で、ドラマ「鉄オタ道子、2万キロ」でも初回で取り上げられるほどです。
ただ、予約サイトはいつ見ても満室。夏休み期間なんていつから予約すれば取れるんでしょうかね。一度は泊まってみたいけどなあ。妻が付き合ってくれるかは知らない。
駅の待合室内では宿泊客と思しき外国人カップルがくつろいでいたので、写真は遠慮して早々に駅を後にし、近くのランドマークに向かって歩き始めました。
このあたりで唯一のランドマーク。ドラマ中で道子の訪問していた「ごん太」です。
ニセコリゾートの外れ、比羅夫
しばらく歩くとコテージが集まっている場所がありました。ここはニセコリゾートの外れなのです。
スキーに来た外国人や避暑を目的にしたお金持ちがこのコテージ群に泊まるのでしょう。
一介の会社員たる僕はその横を素通りし、ドラマの聖地へ向けて歩きます。
北海道最古の木造駅舎
さらに歩を進めると、見るからに歴史のある木造校舎が現れました。
ここは「倶知安町立西小学校 樺山分校」というそうで、ちょうど1934(昭和9)年に建てられた校舎とのこと。
しかも、調べてみるとこの校舎は現役で使われているようです。もちろん北海道最古。
通っていた小学校(すでに廃校)は1942(昭和17)年の国民学校時代に建てられた木造校舎だったので相当に古かったのですが、さらにその上を行く場所が現役で存在しているとは……
古い校舎は外から見る分には良いのですが実際に使うとなるとそれなりの苦労があるもので、写真に写っている子供たちに不思議な共感を覚えてしまいました。
しかし今となっては良い思い出でもあるので、ノスタルジーと古い建物を愛する気持ち、当時の苦労が混ざって複雑な懐かしさを覚えました。
羊蹄山を望む
樺山分校を通り過ぎると通りを渡って、「ごん太」まであと少しです。
道をわたった先は畑が広がっており、羊蹄山がはっきりと見えました。
「蝦夷富士」と称されるだけあって、本当に綺麗な山です。
ここまでの道程は本当に遠く、銀山駅に続いて汗だくになっていたのですがこれが見られたことで心理的にはチャラになりました。
「ごん太」
この畑作地帯を越えると、とうとう「ごん太」が現れました。
まあ写真以上のものではなかったのですが、せっかくなのでこいつと一緒に自撮りしました。
あと、クマの口から出ている水は湧き水のようで非常に冷たく、汗だくの顔を洗わせてもらいました。ちなみに飲用には適さないそうです。
ごん太にさっぱりさせてもらったので、気持ちを切り替えて駅に戻ります。
駅ノートに青春を見た
駅に戻る頃には列車の到着まであと10分ほどになっていました。
急いで駅ノートを記入したのですが、その書き込みの中に「山線廃止を聞いて、親御さんに頼み込んで神奈川から一人で泊まりにやってきた高校一年生」の書き込みがあって思わずじんと来てしまいました。
きっと一生の思い出になるだろうなあ。本人の行動力もすごいし、許してくれた親御さんもすごい。
大人になってから旅の楽しさに気付いた人間としては、ある種うらやましくもあります。
「色んなところに色んな人がいて、その土地にはその土地の日常がある」という当たり前の事実に若いうちに気付けるなんて。
高校生までって地元からほとんど出なかったり、家族旅行では観光地に出かけるだけだったりして見知らぬ土地の「日常」に触れることってほとんどないんですよね。
在来線の旅はその土地の生活を支えているものだから、何度も乗っているうちにそういう想像力が自然に働くようになるんです。
まあ、ある程度はお金の無茶が効いて全て自己責任なので果てしなく自由な大人の旅も楽しいけどね。若い頃の旅はプライスレスです。
さよなら比羅夫駅
見知らぬ高校生の青春に思いを馳せている間に列車はやってきました。
「ニセコリゾートの外れ」という微妙にハズしている感じにぴったり雰囲気で、静かに旅を楽しむにはこの上ない場所ですね。
駅が廃止になっても宿は残るかも知れませんが、ここは鉄道で泊まりに来たいです。
さて、来た道を引き返して札幌に戻ります。
札幌駅
札幌駅に来るのはこの日の朝が初めてでしたが、降りるのは夕方が初めてでした。
というわけで、がっかり名所として有名になりすぎて逆にハードルの下がっているここへ。
それから札幌と言えばこれ。
今日もサッポロビールでフィニッシュです。
旅程の半分が経過したということで重要ミッションがあります。洗濯機を回すことです。これを見越して着替えをちょうど旅程の半分の量に調整し、わざわざビジネスホテルに泊まりました。お盆のビジホは高かった。
洗濯機も乾燥機も混んでいましたが、無事にミッションを達成しました。
明日はまた朝から特急に乗り、一気に東へ。釧路を目指します。
(追記)続きです。