北海道一周秘境駅めぐり⑤ 旭川駅~張碓駅跡~銀山駅
こちらの記事の続きです。
初回はこちら。
特急カムイに乗って札幌へ
この日は朝6:46発の特急に乗り、まずは札幌を目指します。昨日より1時間半も出発が遅いので朝はゆっくりですね(当社比)。
北海道第一と第二の都市だけあって旭川~札幌間はしっかり栄えていて、北海道らしいところは農地の広さくらいでごく普通の車窓風景でした。
乗車時間がちょうど2時間ほどだったので前夜に放送された「オードリーのオールナイトニッポン」をタイムフリーで流し、うとうとしている間に札幌に到着。北海道は3度目なのに初めての札幌です。
張碓駅跡
札幌からは函館本線の小樽行に乗り込み、石狩湾を臨みながら走っていきます。いわゆる「山線」と呼ばれる区間です。
そして、この道中にもかつて秘境駅がありました。張碓駅です。
牛山隆信氏の秘境駅ランキングにおいて、あの小幌駅に比肩するといえばその凄まじさが分かっていただけるでしょうか。
断崖絶壁のふもと、線路との間のわずかなスキマに建てられており徒歩での訪問がほぼ不可能な駅でした。
ではなぜここに駅があったのかといえば、かつてはここで土砂の採集を行っていた他、目の前にあった海水浴場へのアクセスも担っていたから、とのことです。
無理矢理に徒歩でアクセスしようとすると線路沿いを歩いていくしかなく、また駅から海水浴場に行くのにも線路を横切るしかない、というあまりにも危険な駅で、実際に当時から死亡事故が何度も起こっていたようです。
1998年に通年休止駅となった後も鉄道マニアによる訪問が後を絶たず、死亡事故が起こったことで廃止・駅舎の解体が行われました。
現在ではほぼ跡形もなくなっており、さすがに車窓から駅跡の確認はできませんでした。不自然な空間だけは確認したような気はするのですが。
銀山駅
小樽駅からはなんと座席に座れませんでした。秘境駅訪問しに行って列車に立って乗ったのは初めてです。夏休みシーズンの小樽~余市間といえば、観光客がそりゃたくさんいるでしょうけども。
余市駅を過ぎると乗客の数は落ち着いて無事座席を確保し、しばらく乗っていると銀山駅にたどり着きました。
銀山駅は山の斜面に位置する集落の高台にありました。駅舎は比較的新しく、とんがり屋根からこのあたりが豪雪地帯であることが伺えます。
駅舎を出た辺りから集落が一望できます。人の気配はありますが、ひっそりとした雰囲気です。
かつてはこの近くに銀鉱石の取れる鉱山があって多くの人で賑わい、この駅も運搬に利用されたとのことですが、今やその面影はありません。
女代神社
集落の真ん中を突っ切る斜面を下っていくと神社が現れました。
調べると、銀鉱山の開祖が兵庫県豊岡市の出身で地元にある女代神社を分祀してもらったとの謂れだそうな。
女性守護の神様ということで家族の健康を願うついでに、旅の安全を祈りました。夏に北海道を旅するのは命懸けなので……🐻
雑貨屋に命を救われる
北海道とはいえ、真夏のよく晴れた日にウインドブレーカーを着て歩き回っていればさすがに汗だくになります。
用意してきていた水も飲み干してしまい、フラフラになりながらGoogleマップを見るとなんと近くに商店があるとのこと。
列車が来るまであと30分ほどあるので行ってみることにしました。
「個人商店かくあるべし」というお店が現れました。
このあたりに住んでいる人は基本的には自動車で買い出しに行くのでしょうが、急に切らしてしまった生活雑貨や足りない食料品はここで買っているのでしょう。あとタバコかな。新聞販売店も兼ねているのがポイント高いですね。
地元にもこんなお店があったなあ。近くに中学校があるので、もしかしたら中学生のたまり場になっているかも知れません。
こちらでペットボトルの飲み物を2本購入し、なんとか命を繋ぎました。
さようなら銀山駅
駅に戻り、駅舎の中をじっくり観察してみます。
この銀山駅を含む「函館本線・山線」は北海道新幹線の札幌延伸に伴って廃止になることが決まっており、それを惜しむ地元の方やこの土地で生まれ育った方、そして銀山を愛する旅人たちからメッセージが寄せられていました。
千羽鶴もよく見たら新しい。近くに学校があるだけに、この駅に思い出を持つ方は多いようです。そんな駅がまたひとつ消えていく。
新幹線が開通すれば便利になりますが、思い出のよすががなくなってしまうのは淋しいものです。
駅ノートにも「山線」廃線を惜しむ声がたくさんありました。僕もその中の一人として、コメントを残しました。
センチメンタルな気分になっているとあっという間に列車の到着時刻がやってきました。車両は安定のDECMOです。
山も花も空も、そして砂利が敷かれただけの無骨でだだっ広いホームも、地元民だけでなく旅人に愛される駅舎も大好きな駅でした。
そう簡単には実現しないだろうけど、また来たいなあ。
列車に乗り込み、次は比羅夫駅を目指します。
(追記)続きです。