マジックは本番が練習?〜マジシャン直人のマジック講座②〜
(今回の記事は動画内の12:40〜16:45の部分を記事にしています)
僕の大好きなマジシャン直人さんが、マジック上達のコツを質問形式で答える動画をアップしていました。
非常に価値のある内容だと思ったので、自分の見解も(かなり)交えつつ何回かに分けてシェアさせていただこうと思います。
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人前での練習方法
ついに人前でマジック披露!
人前でのマジックといっても、いろいろな形がある。
結婚式やイベントに呼ばれてお金をもらってやるものだったり、お金をかけずに行うストリートマジックだったり、単に友人の前でやるものだったり。
そこが正式な場所であればあるほど緊張感は増すが、初心者であれば友人の前でもかなりの緊張を感じるはず。
そこでの注意点を直人さんはこう語る。
判断能力を鈍らせるな
緊張感があればあるほど、人は判断能力を鈍らせやすいと言う。
いつもは絶対にやらないようなことでも、場の雰囲気やお客さんのノリに飲まれてしまい、本来予定にはなかったことをやってしまう。
それが吉と出る場合もあれば、もちろんそうでない場合もある。
最もよくあるのは「もう一回やって」というやつだ。
同じ人の前で同じマジックは2度やらない。
これはマジックをやる上での鉄則である。
最初は何が起こるかわからない中でマジックが行われるので、その願書も楽しく受け入れられるが、「もう一回やって」と言った後の観客は既にマジックを単に見るという姿勢ではない。
そのマジックを見破ろうとして見てくる。
何か怪しいところはないか、そういう気持ちで見てくる観客の目線は、1回目とは全く違うものになる。
マジックは相手の油断や目線のスキをついて行うものがほとんどなので、この状態の観客に全くバレないままマジックを成功させるのは至難の技だ。
成功したとしても、1回目で現象はわかっているのでリアクションも薄い。
しかし、こんなことはわかりきっているのにも関わらず、実際マジックを見せてお客さんが喜んでくれているのを目の前にすると、テンションも上がって気分も良くなり、その「もう一回やって」を受け入れてしまうのだ。
その結果、タネを見破られ「なんだ、そんなことだったのか」とガッカリされてしまう。
マジックのタネとは大体の場合、大したものではない。
これは僕の意見だが、ここでさらに頭に入れておかなければならないのは、たとえタネがバレていなくとも観客が「今なんかやったな」「変なところあったぞ」と思われてしまったら、それはタネがバレたも同然である。
それが全く見当違いなことだったとしてもだ。
マジックというのは魔法の再現である故に、常に完璧を求められる。
100の内、たった1でもスキを見せてしまえば、それは魔法ではなくなってしまうのだ。
フィギアスケートではいくらトリプルスピンを失敗しようとも、勇敢に立ち上がれば「素晴らしかった!」と評価されるが、マジックはたった1つのミスが全体の失敗となる。
では「もう一回やって」この言葉にどう対処するのか。
もう一度やるフリをして少し変わったアプローチで他のマジックをするのか、惚けて面白おかしくその場をやり過ごすのか、いずれも日頃から準備している引き出しの多さがものを言う。
これは、直人さんの言う通り本番で培っていく他ない。
「もう一回やって」に限らず、観客のリアルな反応にどう対処するか、これがマジシャンの一番の腕の見せ所だと言っても過言ではないだろう。