100本以上のnoteを公開してきたベーシックさんが語る、結果が出る採用広報とは?
note proユーザーインタビュー第2弾は、株式会社ベーシックさんです!
◇事業内容
SaaS事業
・オールインワン型BtoBマーケティングツール「ferret One(フェレットワン)」
・フォーム作成管理ツール「formrun(フォームラン)」
メディア事業
・Webマーケティングメディア「ferret(フェレット)」
ミッション
「問題解決の集団として、情熱を妨げる世の中のあらゆる問題解決をやり抜き、多種多様な企業が強みに集中できる世界を創造する」
今まで、さまざまな企業の採用広報担当者に話を聞ききましたが、こんなに採用広報が成功している企業はほとんど聞いたことがありません。笑
また、人事、広報だけが記事を執筆するのではなく、多くのメンバーがnote執筆に携わっています。
今回は、株式会社ベーシック 人事広報部に所属し、広報機能全般を担う長田華凜さんに、なぜ、こんなにも記事が読まれるのか、なぜ多くのメンバーが記事を執筆してくれるのかなど、note運用ノウハウを聞きました!
noteは採用課題への特効薬
ーまず、noteを始めた理由を教えてください。
理由は大きく3つあります。
①会社としての知名度が低く、母集団形成に課題があった。
人材紹介会社頼りの採用に課題を感じ、2019年1月からリファラル採用を強化していたものの、「企業認知の低さ」に問題がありました。
②離職率を低下させたかった
カルチャーマッチしないことが原因で、離職率もかなり高い状態だったため、これをどうにかして引き下げたいと思っていました。
③通過率・内定承諾率を高めたかった
優秀な候補者にベーシックの魅力が伝わり切らず、途中で選考を辞退したり、内定を出しても承諾されなかったりと、一時期の内定承諾率は50%を大きく下回るような状態が続いていたため、この改善をしたいと考えていました。
ー明確な課題があったんですね。採用広報での具体的な効果を教えてください。
数値に現れてる効果は大きく3つあります。
①自社の採用サイトからの直接応募が3倍
noteを通じて、それまで届かなかった層にも会社名が知られるようになり、認知が広がりました。
②離職率の改善
早期離職の理由で多かったのが「カルチャーのアンマッチ」でしたが、情報発信により、早期離職の抑制効果が見られ、半分以下に減少しました。
③内定承諾率の改善(エントリーから内定承諾までの到達率:概ね2倍、内定承諾率:1.5倍)
事前に、挑戦できる環境であることや、ミッションや業務内容への理解を進めてもらえるようになったことで、求職者の意向度が向上し、内定承諾率も高まりました。
ー改めて聞くと数値的に見てもかなり効果が出ていますね、、、笑
そうですね!その理由として、
・編集部ではなく、社員からの発信にこだわって運用していること
・拡散手段としてTwitterを用いていること
が挙げられると思います。
SNSでシェアされ、多くの人に読んでもらうためには「共感」が重要だとされています。その点を踏まえると、企業の編集部ではなく、テーマに対する想いを持っている社員が直接発信する方が熱量が伝わり、SNS上で共感を生むことができると考えています。
さらに、ベーシックでは約3分の1の社員がTwitterを活用しており、そのフォロワー数を合算すると約6万人に上ります。想いが込められたnoteが公開されたらSlackの全社チャンネルで共有し、Twitter上でシェアする仕組みができているため、上記3つの効果が生まれているとも考えています。
巻き込み力の秘訣
ーすでに100本以上の記事が公開されていますが、なぜメンバーはここまで記事を書いてくれるのはなぜでしょうか?
記事を書いてもらうためには、執筆する人の心理的安全性を確保し、執筆の熱量を下げないことが重要だと思っているので、その仕組み作りを徹底して行っています。
ー具体的にどんなサポートを行っているのですか?
①編集のサポートを行う「バーチャルnote編集部」を設ける
初めてnoteを執筆・公開する際は、 「自分の文章を世の中に見せるのが恥ずかしい、内容を認められないんじゃないか」などの不安を誰しもが感じると思います。そのため、広報を中心とした編集部が、執筆前の構成の壁打ちや、執筆した文章の校正など、公開前に徹底的にサポートしています。
②全社Slackで成果を共有し続ける
ベーシックではあくまで採用広報目的としてnoteを運用していることを全社にも伝えたうえで、執筆の協力を仰いでいます。そのため、採用の進捗状況そのものや、その中における内定承諾率や通過率の向上などの数値情報、また特定の社員の発信によりベーシックという存在を知ってくれた話、ベーシックの風土や考え方に共感してくれた話などのポジティブな反応を、全社Slackや社員全員が参加する全社会議などの場で定期的に共有しています。
これにより、「初めてでもそんなに反響があるんだ」「採用を助けるためにこれからも続けてみようかな」といった雰囲気を醸成し、まだnoteを書いたことのないメンバーの背中を押すことに繋げています。
ー確かにそこまで徹底サポートすると書いてくれるメンバーが増えそうですね!具体的にどんなnoteを書いてもらっているんですか?
現在は主に通過率・内定承諾率の向上、つまり意向度を高めることを目的にnoteを運営しており、「入社エントリ」を中心にnoteを執筆してもらっています。これまで100本を超える記事を書いてきた反応を踏まえ、入社エントリが最もそれらの数値に影響すると感じているためです。こちらはあくまで任意ではありますが、入社直後の面談にて、人事から新入社員に執筆を依頼しています。
▼「入社エントリ」に関する記事
当初、意向度向上ではなく認知度拡大(母集団形成)を主な目的としていた際には、「取り組み」や「マインド」に関する記事を多く執筆してもらっていました。ベーシックは全社的にノウハウの共有を積極的に行う風土がベースとしてあるため、「取り組み」については今でも定期的に発信されています。
▼「取り組み」に関する記事
▼「マインド」に関する記事
noteが出来上がるまで
ーnoteを作成するに当たって、構成や編集に10時間くらい割いているとお聞きしました。noteを公開するまでの手順をぜひお伺いしたいです。
まずは各自で構成を考えて原稿を書いてもらっています。ただ、先ほどもお伝えした通り、構成を書くのが難しいという方もいますのでその時はミーティングを開いてどのように書いていくのかを一緒に話し合っていますね。
原稿を書いてもらったら私の方で編集をしていくのですが、3,4回差し戻しをした結果、初稿から完成までに文章量が2倍になることもあります。そのあと人事と広報を管掌している役員の角田が確認をして入稿、公開という形になります。公開後はnoteを書いたメンバー自身が全社のSlackでシェアの呼びかけを行い、Twitter上でシェアをするようにしていますね。
ーご紹介していただいた手順はどれくらいのスパンで行われるのでしょうか。
初稿の共有から公開まで2ヶ月ほどかかりますね。
例えば、4月入社の方の場合、入社エントリnoteの公開日を6月末に設定します。そこから逆算して2週間前までに入稿、2週間前までに原稿の最終確認、それまでの期間で添削する、という風にスケジュールを設定すると初稿の提出は5月の初旬になります。メンバーの進捗状況を把握しながら適宜スケジュールを調整していっていますね。
ー編集業務を行う上で心がけていることを教えてください。
採用担当・採用広報担当間で求職者が求めていることをすり合わせ、その上で入社後の仕事内容や会社の雰囲気、ベーシックらしさがしっかり伝わるようにすることを心がけています。
そのために、内定承諾時や入社時の面談において、意思決定の決め手となったこと等を採用担当が新入社員にヒアリングし、常に一次情報を取ることを心掛けています。
中でも、求職者の方が仕事を選ぶときに重要視していることは、入社後の業務内容や会社の雰囲気であるため、その魅力を手厚く伝えるようにしています。かといって、業務内容を伝える際にタスクベースの内容ばかりを記載してしまうと、細かすぎて逆にイメージが湧きにくくなる場合もありますし、抽象的すぎると実際の業務が伝わらなくなってしまうので、そのバランスをとることはいつも意識していますね。
会社の雰囲気を伝える際には、カルチャーや制度を併せて伝えることも心がけています。例えば、ベーシックは挑戦を推奨する会社だと言う社員がいるとします。その場合、ベーシックのコンピテンシーの1つである「TRY&LEARN」、つまり失敗しても良いから挑戦し続け、失敗を学びに変えて進化させていくという考え方が定着しているからだ、という内容も併せて伝えるようにしています。
このように社員の活躍の理由や言語化された内容を、すでに定めているカルチャーや制度とセットで語ることで、なぜその社風であるかを納得度高く伝えるようにしています。
採用に込める想い
ー最後に長田さんがnoteに対してコミットできる理由を教えていただきたいです。
弊社はミッションとして「問題解決の集団として、情熱を妨げる世の中のあらゆる問題解決をやり抜き、多種多様な企業が強みに集中できる世界を創造する」ことを掲げており、最終的には「Webマーケティングの大衆化」の実現を目指しています。これは現状、”難しい”と言われているマーケティング業務を誰でも簡単にできるようにすることによって、出会うべきなのに出会えていなかった企業と企業が繋がる社会にしていきたいというものです。
ただ、これはとてもチャレンジングなことで、その実現に当たって多くの仲間が必要であり、今年度は昨年度の約2倍の人数を採用することを目標に置いています。そのための資金調達も昨年度末に行っています。
だからこそ、採用広報として引き続きnoteにて直近の入社メンバーのリアルな声をタイムリーに伝えると共に、2021年12月にリニューアルした採用サイトの更新や採用サイトからnoteへの導線を強化することで、採用強化に努めたいと思っています。
ーお忙しい中取材を受けて下さりありがとうございました!
取材を終えて
今回長田さんに話を伺ってみて、一つ一つのnoteを丁寧に時間をかけて作られている印象を受けました。
それから社員にもnoteを書いてもらうためにはやはりサポート体制をしっかりと持つのが大切になってくるのではないでしょうか。社内で読書が好きな方や情報発信の好きな方にサポート業務をしてもらうのも一つの手かもしれませんね。
我々note研究所でも今回話を伺ったノウハウを参考により質の高いコンテンツを提供できるように努めてまいります!
引き続きのご支援よろしくお願いいたします。
最後までお読みいただきありがとうございました。
▼オススメ記事はこちら