宇宙法を勉強したい(ちょっと興味を持っている)方へ おすすめの書籍を紹介
3年くらい前の知り合いから「宇宙法について勉強したいのでおすすめの本を教えてほしい」と連絡があった。宇宙法に対して、関心は持っていたがどのように深めていけば良いか分からないという。彼に返信の文面を打っていたら、とてつもない長さになってしまった。さてどうしよう、と明け暮れていたが「宇宙法について知りたい!」という需要って世の中的に結構あるのかもしれないと思った(ほんと?)。そんなわけで、返信の文面をnoteに公開する。夏休み(じゃなくてもいいけど)の宇宙法の勉強の参考にしてほしい。
確かに宇宙法の勉強をしようと思ったとき、Amazonで「宇宙法」と調べるとスピリチュアル系の書籍が出てくる。つまり目的の本になかなか辿り着けない。しかし法律の「宇宙法」について学術的もしくはビジネス的な観点から説明された書籍は、数が限られるものの確実に存在する。
ということで以下文面。
お久しぶりです。宇宙法の勉強ですね、私もまずは小塚先生の書かれた書籍を読むところから始めた記憶があります。宇宙法の概説書は数としてかなり少ない印象なので、私も苦労しました。いくつか参考になるかもしれない情報をお送りするので適宜参照していただければ、と思います。(書籍名にはAmazonのリンクを貼ってあります)
①既に持ってらっしゃる『宇宙ビジネスのための宇宙法入門』(小塚荘一郎・佐藤雅彦編著)は、2024年4月に第3版が出版され、内容に改訂が入っています。近年の動向が追加されているので、新しいバージョンを読んでみることをお勧めします。
②お持ちになられている書籍以外で、私のおすすめは以下です。
・『世界の宇宙ビジネス法』(小塚荘一郎・笹岡愛美編著)
米国、欧州諸国などの国内宇宙法を紹介し、商業有人宇宙飛行など近年の宇宙開発のトピックを法的視点からまとめています。海外宇宙法の情報を日本語で読める、貴重な書籍です。
・『これだけは知っておきたい 弁護士による宇宙ビジネスガイド』(第一東京弁護士会編集)
見開き2ページで読みやすい。政策の視点もあり。宇宙ビジネスと国内宇宙法全体の大枠を理解するには良書。
・『宇宙ビジネスの法務』(大久保涼・大島日向編集)
上述書籍(『これだけは知っておきたい〜』)の内容をより詳しく知りたい場合に参照すると良い(と思う)。こちらも宇宙ビジネス寄りの記述だが、法体系(総論)と衛星サービスや民間宇宙飛行など(各論)でまとめられていることが特徴。
・『宇宙ビジネス新時代!解説「宇宙資源法」ー宇宙ビジネス推進の構想と宇宙関連法制度ー』(小林鷹之・大野敬太郎著)
日本で宇宙資源法がどのように制定されるに至ったのかを詳細に描く。法律が出来上がるまでの過程ってなかなか可視化されないので、議員の方たちの動きも含めて興味深い。
・『宇宙法システムー宇宙開発のための法制度』(龍澤邦彦著)
1987年出版の書籍。宇宙法界隈では有名。記述が濃く読み応えある。既に絶版(?)中古で3万円するので、図書館でぜひ。
③ ②で紹介した書籍はかなりビジネス寄りの書籍でした。いっぽうで学術的な観点からも宇宙法を学ぶ書籍や論文などを紹介しているデータベース「SPL Platform(宇宙法政策プラットフォーム)」(東京大学未来ビジョン研究センター作成)もあります。日本語の文献目録や書籍、海外の書籍やニュースサイトなどがまとまっているので(必ず)チェックしてみてください。
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とりあえずはこんな感じです。宇宙法関連の書籍を読んでから論文を読んでみる流れが勉強になるかと思います。楽しんで勉強してください!
宇宙法と宇宙政策の書籍や論文などを羅列したサイト、いつか作りたい。