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僕はプロだから

数年前、旅先のカナダ・バンクーバーで一人の宝飾職人と出会いました。

何気なく通りかかった滞在先ホテルのショーウィンドウに飾られたネックレスが私の目に飛び込んできたことがきっかけでした。

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鮮やかな朱色に輝く珊瑚礁と、深い青空を思わせるターコイズのコンビネーション。
その対照的な色使いを見事な作品にしつらえている作り手の顔が無性に見たくなり、奥のギャラリーへと入っていくと、人の気配を感じた彼は「Hi!」 と気さくな挨拶と優しい眼差しで私を迎えてくれました。容姿、ファッションいずれも30代半ばくらいかなぁと勝手に想像。

ギャラリーに並ぶ彼の作品を眺めながら会話をするうちに、私の英語に違和感を感じたのか、日本語で「日本の方ですか?」 と聞かれ、お互いが日本人であることが判明し、何とも言えない安堵感というか親近感が湧いてきました。

彼は20歳で単身カナダへ移り住み、そのまま30年以上もバンクーバーで過ごしているそうだが、とても50歳を過ぎている様には見えない若々しさに驚く私に、彼は 「若く見えるのは、好きな仕事を続けているからですよ!」 ですと。

彼の作品はどれも一点モノ。

大振りで大胆なデザインに仕上がっており、日本ではなかなかお目にかかれないような個性的なものばかり。

作品のイメージが最初からあるというよりも、作りながら感覚的に仕上げていくのだそうです。

「自分の作品を手放すのが惜しいと思うことは?」の問いにはこの様な返事が返ってきました。

この右手でモノを作り、左手でお金に変える。自分の作品を認め、お金と引き換えてくれる人がいる。それこそが仕事を続けていく上で非常に重要なんだ。手に入れたそのお金でまた原石を買い求め、その原石はこの右手で新たな作品へと姿を変えていく。プロというのはこの繰り返しが大切なんだ。

この言葉をきいて「なるほど~」と思いました。

自己満足だけではいずれ仕事を続けることが出来なくなってしまうかもしれない。
対価を払っても良いと思ってもらえる「仕事のしかた」をするのがプロ。

今後の自分の「仕事のしかた」を問われている気がしました。

バンクーバーを発つ日の前日、出会いの記念にと、10分で首が疲れてしまいそうな程(苦笑)大きくて重たい、漆黒のとても美しいネックレスを譲ってもらいました。

帰国後、たくさんの方に「うわぁ!素敵なネックレスですね💕」 とベタ褒めされたのが彼のネックレスです。

本当にちょっと肩が凝ってしまう重さなので、最近はちょっと出番がありません(苦笑)

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