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【詩】お雑煮
お雑煮
小さな鍋の中で、
湯気がふんわりと立ち上がる。
自分で作ったお雑煮を前に、
少しだけ胸が温かく、でも物足りない...
母の味には、ほど遠い。
切った野菜も、煮えた餅も
見た目は似ているけれど、
あの頃の味が戻ってくることはない。
子供のころ、正月の朝に
母の手が生む魔法を見ていた。
優しくかき混ぜる手、
塩加減を確かめる顔...
そのすべてが、味に溶け込んでいたんだ。
自分で作るようになった今
ようやく気づいた。
味の秘密は、具材でも手順でもない。
母が込めていた思いが...
あの深みを作り出していたことを
イマイチな味だと思いながら
ひと口食べると...
どこか懐かしい記憶が広がる。
少しだけ似てきたかもしれない...
そんな希望を胸に抱きながら。
お雑煮の湯気の向こうに
母の笑顔がぼんやり浮かぶ。
あの頃には戻れないけれど...
この味は、確かにぼくを繋いでいる。
今年もまた、鍋を火にかける。
母のようにはいかなくても...
この味で誰かを癒せる日が
きっと来ると信じて...
By MakoCafe
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