株式会社モーゲンテック代表吉松さん
こんにちは。エクサテクノロジーズの清水です。
今回は株式会社モーゲンテック代表の吉松さんにお話しをお聞きしました。
モーゲンテックとは、誰かの「戯言・妄言」を技術で形にしたい、という思いからきているそうです。
吉松さんは現在、宮崎大学の地域資源創成学部を休学しながら、会社の代表と、専門学校の講師を並行して行っています。そんな吉松さんの幼少期から、企業を決めたきっかけまで、いろいろお聞きしました。
01.小さいころからPCが身近に
自分のことを「雑食」と称されるほど多趣味な吉松さん。唯一小さいころから続けているのがゲームで、小さいころのお父さんの姿が関係しているのではないか、とのこと。
「僕の親父が割とパソコン好きなんですけど、そういう背中を見て小さいころから、なんか勝手に触ってましたね。」
「あの時はちゃんとゲームしてましたね(笑)。小学校3年くらいの時に、当時スペシャルフォースっていうFPSゲームがあって、僕のタイピング能力はそこで鍛えられましたね。姉の技術の教科書の裏にあるタイピングの表を借りて『ありがとうございました!』ってすぐ打てるようにしてました。」
今ではVRや3DCGをお仕事にされている吉松さんですが、教科書を見ながらローマ字を覚えるというのは、やはり誰しもが通る道のようです。
しかし、当時を振り返ると、ゲーム以上に重要なことがその時間にはありました。
「ずっとゲームしてても怒られなかった家庭環境が、今の自分の人格を形作っているって痛感することはあります。」
「よく言えば『自由』、悪く言えば『放置』。勉強も過度に悪い点を取らなければ何も言われなかったですね。」
そんな家庭環境の中で、自分のやりたいことを追い求めていったそうです。
02.人生を変えた高校3年間
中学を卒業した吉松さんは、鹿児島県の公立高校に入学します。この高校は、ゲーム・スマホ禁止で大学入学を目指す厳しい校風の学校でした。それは、普通の高校生にとってはもちろんのこと、中学3年生までゲーム一筋の吉松さんにとっては、とてつもなく厳しい環境でした。
そもそも、なんでこの学校に入学することになったのでしょうか?
「その学校は、全国から生徒を募集する関係で受験日が早いんですよ。それで、本番の練習で受けてみたんですよ。僕は勉強を1回もしてないので、当然落ちるんですけど、不思議なことに繰り上げ合格しちゃったんですよ。後日聞いた話だと、スマホ・パソコン禁止で女の子もいないって環境が苦しかったらしく、合格者がどんどん抜けていったんですよ。」
当然成績は赤点以下からのスタートで、その時初めて「勉強しなくては」という危機感を持ったそうです。この時の悔しい思いは、後々の人生に大きく影響を与えます。
もともと理系の学部を目指していた吉松さんですが、進路指導の先生の勧めもあって、宮崎大学地域資源創成学部に入学を決めます。その際に、吉松さんはある意思を持って宮崎の地に立つことになります。
「『ずっと勉強し続けよう』って意志だけは持ち続けたまま入りましたね。反骨精神っていうんですかね。高校の文化祭で、のび太のコスプレをしたんですけど、『見た目も成績もそっくりだ」ってバカにされて、あれだけは二度と受けたくないと思って。」
03.VRとの出会い
こうして勉強への強い思いを持ったまま、大学生活を送る吉松さん。一見すると、今のお仕事のVRとは縁がないように思いますが、どこで出会ったのでしょうか?そこにはいくつもの偶然が折り重なっていました。
「ゲームが好きで、大学でも施設を借りてゲームの大会を開催してて、それをもっと本格的にしたいなと思って3年生に上がるときに休学したんですよ。」
「スポンサー企業とかも見つけて。宮崎ってスポーツの国と言われてるじゃないですか。だからeスポーツの国でもいいじゃないかって持論があって、計画してたんですけど、コロナに直面して。さあ、休学してる1年間暇確定、何するって時にVRとか3DCGに出会ったって感じです。」
まさに、ピンチをチャンスといった形ですね。当時はVR上でゲームの大会を開催する事例があったようで、それを真似するために勉強を開始したそうです。
「結局それ(VR上でのゲーム大会)は出来なかったんですけど、VR空間を作るという技術だけは何とか得ることができたので、休学中はずっとそれで遊んでいました。それが今の会社の起業につながっていきます。」
こうしてVRの技術を手に入れた吉松さん。もしコロナがなかったら、とお聞きすると
「VRとかやってないですね。ずっと宮崎でeスポーツの大会とかやってたと思います。」
コロナに直面しながらも、絶望せず新たな領域に切り込んでいった吉松さんの姿勢からは、学ぶことが多いのではないでしょうか。
04.俺、大学向いてないな…
吉松さんの大学入学までをお聞きしてみましたが、お次は、吉松さんの大学生活をのぞいてみたいと思います。
1年生のころは、勉強への固い意志の下、学問中心の生活だったようです。
「会計学とか統計学とか、理系的な科目はみんな絶対に苦手って言いだすから、俺は得意になっとこうと思って、めちゃくちゃ勉強してましたね。資格も取って。」
勉強の傍アルバイトもやられていて、
「入学して半年くらいは飲食店のアルバイトしてたんですけど、やっぱ俺むいてねぇってなって。途中から家庭教師と塾講師をやってました。勉強やった結果、自分で勉強好きって言える人になってたので。」
そして2年生に上がった吉松さんは、大学を飛び出し起業するきっかけとなるeスポーツ大会を開催します。実は、この大会でのトラブルが吉松さんを起業へと駆り立てることになります。
「地域デザイン等(宮崎大学内の施設)でeスポーツを開催したんですけど、そこに偶然学長さんが通ったんですね。その情報が、管理者の方に伝わって、注意されちゃったんですよ。」
「その時に初めて『俺、大学向いてないな』って思って。学校の中でeスポーツは将来性が無いなってうっすら気づいたんですよ。だから外でやろう、どうやってやろうって考えるうちに、さっきの話に行き着いたんですよ。」
常にやりたいことが先頭にある吉松さん。普通の人であれば諦めてしまう困難に直面しても、あらゆる手段を使ってそれを乗り越えていきます。
05.VRの魅力は
吉松さんは、VRを使って宮崎市の繁華街のニシタチを再現したり、入学式を開催したりと、様々なイベントを企画しています。吉松さんからみたVRの魅力とはいったい何なのでしょうか?
「一番の魅力はコミュニケーションだと思っています。リアルとそんなに変わらないですけど、アバターがあるじゃないですか。みんなそれが本当の姿ではないとわかっているけど、見た目の偏見を取り除いて、中身でコミュニケーションが取れるのが魅力的だなって。」
VRの作成をはじめ、広報や集客、運営なども自分一人でおこなう吉松さん。いったい、その原動力はどこからきているのでしょか?
「自分が楽しめるものであるかどうかを考えながら判断していたところはあります。もちろんターゲットを設定して、そこに合わせたものを提供するっていうのももちろん大事なんですけど、最初のうちは自分が楽しめるイベントじゃないと結局人も集まらないなって思ったんですね。」
「もう一つは、『すべての波に乗る』って表現してるんですけど、ちっちゃなチャンスでも乗っていくんですよ。そしたらいつの間にかでっかい波が来てるんですよ。なんでしょうね、これだけは不思議なもので。それは個人的に信じてやってます。」
06.大学生ににメッセージ
最後に、頑張る大学生にメッセージをいただきました。
「いろんなところで、よく『お前がやれ』って言いますね。『こういうサービスあったら便利だよな』ってツイートして終わるだけじゃなくて、『お前がやれ』って。何事も自分の話のように生きていくことが、最大のメッセージだし、自分が重要にしてることですね。」
何かを始めるときに、ついついどの道が最適か迷ってしまいがちです。ですが、それで迷ってしまうくらいならば、まずは動いてみることが案外近道だったりしています。これはプログラミングに限らず、資格の勉強などにも通ずることではないかと思います。
07.まとめ
今回は、株式会社モーゲンテック代表の吉松さんにお話をお聞きしました。何事も自分発信にすること。常に「楽しい」を原動力にする吉松さんの人生観が溢れる時間でした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。