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2023年も終わるのでイクイノックスを振り返る②

あまりにも長すぎるので分割、仕方ないね(前回よりも長くなっちゃったけど)

年が明けて2023年、国内では年度代表馬に選ばれ期待値は留まることを知らない状態になっていた、年明け一発目のレースにして初の海外G1「ドバイシーマークラシック」でも断トツ一番人気、イクイノックスは世界的に見ても注目される馬になっていた。皐月賞から見てたけど、すげー馬になったなーとこの時点で思ってた。しかしただのスゲー馬ではなかった

レースが始まるとそれまでとは打って変わってハナに立っての競馬、所謂逃げに出た。これは後で知ったけど主戦騎手のルメール騎手は全く同じ勝ち方で同レースを勝ったことがあるらしいのだが(06年ハーツクライ)そんなこと当時全く知らない自分は「嘘だろ!?」と困惑しながらこのレースをみていた。
しかし、そんな不安は杞憂に終わった、最終コーナーに入るとどんどんスピードを上げていき、最終直線に入ってからは、一瞬で後続を引き離してしまったのだ。最後は鞍上のルメール騎手が後ろを振り向くわ、明らかにゴール前でスピード落としてるわ、ついでにレコードタイムを叩き出すわのやりたい放題。
海外の大舞台で他国のダービー馬とかも揃ってるのにこんな圧倒するって何?流石にちょっとドン引きしてしまった(実際2着のウエストオーバーはその後サンクルー大賞を勝利、その年のキングジョージと凱旋門賞2着でめっちゃ結果残してる)

次走は宝塚記念、もう父キタサンブラックの無念もここで晴らしちゃおうぜ、と軽い気持ちで見てたが。この時はスタートもあまりよくなく、いい形でレースを作ることができなかった。「連勝は3までか」と思ってたら、思い切っての大外勝負からの逆転勝ち。父キタサンブラックの無念を果たすとともに、青鹿毛馬初の宝塚記念制覇も達成。ようやっとる
それにしてもG1レースを4連勝するとは当時は夢にも思わなかった。だが彼の無双がまだまだ続いた

迎えた秋シーズン、初戦は天皇賞秋、まさか一年間負けなしで連覇に挑むことになるなんて一年前の自分に言っても間違いなく鼻で笑われるだろうな。
それも今回は令和初の天覧競馬という大舞台。正直プレッシャーがやばかった、相手に宿敵ドウデュースもいたからだ、負けたら最強の座が揺らいでしまうのは目に見えている。向こうの仕上がりも順調という報告がかなり上がってるし、(一応イクイノックスも馬体診断200点だったが正直負けフラグにしか見えなかった)日に日に不安が強くなる日々だった。
当日も不安な立ち上がりだった、逃げ馬ジャックドールが去年とあまり変わらないハイペース57.7秒という超大逃げ、イクイノックスもこれを追うように3番手追走。絶対ペース早いだろ大丈夫か?と思った。しかしこっちの不安をあざ笑うかのように、最終直線に入ると自分の意思で前にいた二頭の逃げ馬をあっさりかわすとそこからは完全に独走、府中の風になったイクイノックスは全てを置き去りにしてゴールイン、出したタイムは1分55秒2、絶対破られないといわれたトーゼンジョーダンの記録を破ったのである、馬体診断200点は伊達ではなかった
この時は武豊が当日負傷があったが多分乗り変わりなくても結果は覆らなかったと思う。

次走はジャパンカップ、3冠牝馬リバティアイランド、去年の春の王者タイトルホルダー、同期の2冠牝馬スターズオンアース等父のライバルドゥラメンテ産駒各世代最強格が勢ぞろいし、これにドゥデュース、イレジン、パンサラッサ、昨年王者のヴェラアズールとG1馬がイクイノックスを含めて八頭、そのうち七頭がG1を二つ以上勝ってるという強豪馬がめちゃくちゃ揃った。
肝心のイクイノックスは、前述のレコードによる反動、斤量の差等、仕上がりこそ良いと言われていたが、不安要素も今まで1番多かった(実際秋の天皇賞レコード勝ちからその年のジャパンカップも連勝したのは後にも先にもスペシャルウィークだけしかいなかった)
実際オルフェーヴルがジェンティルドンナに敗れた時のような流れで、リバティアイランドにやられるのでは?という声も多かった。
レースはパンサラッサの大逃げとタイトルホルダーの逃げを追う形の3番手でのスタート、不安要素こそあったレースだったが、最終コーナーあたりで正直いけるとは思った、前走と同じく自由に走れてたから。のびのびとマイペースで走れる展開なら最強なんよこの馬。
前走と同じく3番手追走から勝負どころでギアを上げ、あっという間に先頭に立つと、レース前特に有力視されてたリバティアイランドを4馬身差完封の圧倒、しかも上がり最速、あわやレコード。化け物か?
この時はほんとに嬉しかった、ゴールした瞬間ガッツポーズしたし実況の「この強さに異論はなかった!!!」というフレーズにもぐっと来たの覚えてる。
だけどこのレースが終わった時悟った、「有馬行かずに引退するだろうな」
その後イクイノックス引退の報が流れてきた

今まで自分は1度も競馬場に行ったことは無く、主にテレビ観戦だけで留まっていた。けどこの馬の引退式の報が来た時、最後に1度だけでいいから会いたいと思ったのだ、そして自分は、人生で初めて中山競馬場に駆けつけた。ここを逃したら間違いなく後悔するのは目に見えていたからだ

当日のセレモニー、閉まるギリギリまでファンのみんなは帰らなかった

当日はレース終了後、セレモニーが行われた、そして流れる今までのレース。どれもやっぱ強い勝ち方してるなぁと思ったのと同時に、ファンの声援や熱量も凄まじかった、自分と同じ思いをしてる人がこんなに居たのが凄い嬉しかった。
イクイノックスを追い続けてよかったと心の底から思った瞬間だった。こんな事はなかなか体験出来ない。
あらゆるライバルに打ち勝ち、負けた相手へのリベンジもきっちり果たし、勝てないジンクスを尽く破ってきた、名馬イクイノックス。どうか長生きして今度は産駒から夢の続きを見せて欲しい

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