EduA 3月22日号 ちょっと待って
朝日新聞の Eduについての異論「算数の「線分図」は必要か」を2週間前に書いた。
こんどの3月22日号は「特集 親子で挑む 算数つまずき攻略法」である。
読んでみて,はじめは「な〜んだ」と思った。
「重要単元「これだけは押さえよう!」」に,つまづきポイントとして5つが示されている。
1 計算
2 図形
3 割合
4 速さ
5 場合の数
である。
確かに,こどもがつまずきやすいものだ。
しかし,「なぜ」「どのように」つまずくのかは書かれていないし,どうすればよいかも書かれていない。
たとえば,「割合」については
「もとにする量」「比べる量」など言葉が難しいので,意味を理解するのが厳しそうなら,式の立て方から先に取り組む手もあります。困ったときには,問題文の言葉をヒントに式を立てる「法則」が使えます。問題文に「の」があれば「×」(かける),「は」は「=」(イコール)に置き換えます。
として,置き換えを示した図も描いてある。
え? そんな機械的な置き換えでいいのか? と思ったら,そのあとにちゃんと書いてあった
ただし,法則に合わない問題文もあるので,読み替える力が求められます。
つまり,法則が使えるかどうかを判断しなければいけないわけで,これではなんの解決にもなっていないではないか。その判断ができるくらいなら,こんな「法則」などなくても解けるわけだから。
ということで「な〜んだ」と思ったのだけど,そのあとに出てきた「カリスマ教育YouTuber 葉一さんに聞く」のYouTubeを見に行って,考え込んでしまった。小学校から高校までほとんどの単元についての説明が動画になっている。今のコロナウィルスによる休校期間中に家庭学習をするのによさそうだが・・・
まず5年生の「単位量あたりの大きさ 応用編」を見た。
一見すると,教科書にある線分図の横の表を使った説明で,よさそうだ。
たとえば,教科書の例は次のようになっており
ここでも,同じような図を書いている。
しかし,その説明を聞いて,考え込んでしまったのである。
①は「となりが□だったらかけ算」という説明。なぜかけ算なのかという理由は何も説明されていない。
②は「となりが□」でもわり算。上の方が□だから。
「こうやるんだよ」とはいうが,なぜそうなるのかの説明が一切ない。
「もしかして」と小学校6年生の「速さの表し方①基本編」を見た。
危惧した通り「みはじ」でやっている。
しかも,「速さの意味」については何の説明もなく,いきなり「みはじ」で,これを覚えて使おう,というのだ。
EduA はターゲットが中学受験のようだ。上の2つの記事は,小学校の現場の教師のものではない。「重要単元「これだけは押さえよう!」を書いた安浪さんは塾講師。紙面のスペースが多ければもっと丁寧に書いたのだろう。いかんせん,ちゃんと書くにはスペースが狭すぎる。
しかし,これでいいのか,とは朝日新聞には問いたい。
ここで,「なぜ? 何が悪い?」と思われる方もいるだろう。
その回答として,「前半は何も言っていないのに等しい」「後半は数学教育界では「みはじ」はよくないものとして批判されている」とだけ書いておこう。「みはじ」がなぜよくないかは,ここで説明するより,検索してもらう方がよいだろう。