マーラーの3番 (2)
第2楽章は飛ばして,第3楽章。
なんといってもポストホルンだ。
ポストホルン。郵便馬車で使っている信号用のホルンだが,いわゆるホルンに近いのか,トランペットに近いのか,どんな楽器を使うのかは演奏者によって違うらしい。Youtubeで見られるものだと,いわゆるホルンを小さくしたような形状だ。
バーンスタイン・ウィーンフィルの映像などで見られる。
ポストホルンといえば,モーツァルトにセレナーデ・ポストホルンというのがあるが,モーツァルトの時代にはバルブはないので倍音だけで曲もできている。
マーラーの時代はどうだったか。バルブのないポストホルンでは演奏は至難らしい。N響の津堅さんが,番組でむずかしいと言っており,その演奏がYoutube上に残っているが(1987年)確かに苦労が伺える。(1時間1分あたりから)
そこで,肝心の演奏だが,マーラーお得意?の,「遠くから聞こえる」設定だ。舞台裏であったり,2階席であったり,いろいろ。映像化されているものではポストホルンが映ったり映らなかったり。
そんなこともあり,やはりライブでの演奏を聴き(見)たい。レコーディングだと,少しでも瑕疵があれば再テイクで編集されているかもしれないからだ。ホールの違いや録音の違いも結構影響する。
前述のように,バーンスタイン・ウィーンフィルの演奏(50分付近から)はポストホルンが大映しになっているために,映像を見ない方が「遠く」の感じがわかる。音量バランスはそうなっている。演奏はさすがに見事で,淀みなく進む。
アバド・ルツェルン(49分付近から)も,名手ぞろいのオケなので,ポストホルンもうまい。どこで吹いているのかはわからないが残響が多めだ。
ウィーンフィルもルツェルンも,うますぎてそのまま聞き流してしまいそう。
Andrés Orozco-Estrada・hr交響楽団 の演奏(51分過ぎから)は,ポストホルンは映らず,どこで吹いているのかもわからないが,音量は結構大きく聞こえる。テンポはかなりゆったりめなのだが,これがいい。たとえば,始まったばかりの次の楽譜で,記音の上のレの音。やわらかくて実にきれい。
さらに,次の楽譜で,上のソの音。跳躍した上の音が実にきれい。まるでオペラ歌手のようだ。断然イチオシである。