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雑踏

火曜日。昼の15時。駅近くにある漫画喫茶の狭い一室に閉じこもるように時を過ごす。

無造作にトートバックを漁り、透明なケースを探す。指に当たったケースをカバンから引きずり出し、色んな種類の薬が入ったそのケースを開けて消炎鎮痛剤を取り出す。紙コップに入ったメロンソーダで薬を胃の中まで流し込んだ。こんな飲み方、お母さんにバレたら怒られるな。甘ったるい液と辛さから開放される安心感で死んだ体が生き返った気がした。
ひとつため息を。悔しいほど女々しいのだが、送ったメッセージの返信が来なかった。

期待しすぎていた。それだけを生きがいに生きていたといっても過言ではない。私は結局の所、ただ1人の人間でしかなくて自粛中の暇つぶしでしかなかったのだ。勝手に見られていた気になっていたが見てもなかったんだ。涙も流れない。頭が痛いだけだ。残ったのは虚しさと寂しさ。

2時間も早くこの狭い部屋を出た。もう一度自分自身と向き合って色んな事を考え直さなければならない。自分自身を助けてやれるのは自分しかいない。深いため息をつく。

わかってる。答えは出てる。自分なんかどうでもいい。ただ君の隣にいたいという思いが溢れに溢れてそれ以外考えられなくなっている自惚れていた馬鹿だ。

人混みの中に入る。ただ1人の人間でしかない。私は今日も、時間潰しだけの女として好きでもない男に抱かれに行くのだ。

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