自殺する前夜に酒を交わした
月が綺麗な夜だった。満月だった。
何故か今、成人になってから1度も会っていない母の隣にいた。
会わなくなってからの7年間の話。私からは一切しなかった。母の隣にいる事が、何だかとっても嬉しくて、何年も何年も積み重なっていた重い石のような感情が、深い息と共にいつの間にか無くなっていた。
母は突然お金の話をした。母は今月の家賃を払うのを辞めたという。
その分のお金で殺人業者を頼んだ。と淡々と話した。
殺したい人は
母、自分自身だった。
母は殺人業者に依頼して 今宵の19時に自らの命を絶たせて貰うそうだ。
「そうなんだ、お疲れ様。」
「お互い、人生やり直せたらいいね」
私の気持ちは晴れやかだった。
親が自殺する前夜に酒を交わした。
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