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天井のワンダーランド

時計は13時より少し前。
目が覚めてから天井を見つめて、少し経つ。
カーテンの隙間から差し込む光が、薄く開いた目に届いた。深く息を吐く。
その瞬間、給水を要求する空気清浄機が鳴る。

人には期待しない事にしていた。
誰かに期待して傷付いたら、安易には立ち直れない。
人を信用して裏切られて傷付いた事が何度もある。愛せば愛すほど居なくなってしまった時の心の穴が大きくなる。
それを乗り越えたらまた自分自身が強くなってしまう。

だから浅い付き合いでいよう
常に明るく振る舞おう
嫌われても傷つかないように、いつも冗談を言ってる人になろう
離れられたら潔く離れて無かったことにしよう

それなのに何も上手く出来なくなっていた。
遠い存在の君に淡い期待をしている。
浅い付き合いなんて物足りなくなっている。
嫌われたくも傷つきたくもないのにストレートな言葉を使って構われにいく。
離れられたら、今の自分のキャパシティは安易に限界を超えるだろう。

あーあ。もう元には戻れないのだ。
心が死んでしまうくらいなら人の事を好きになるのはやめようと決めた2年間は簡単に崩れ落ちたのだ。理性が崩れたのは自分の方だ。今や胸の心拍数で心が壊れてしまう、本当にどうしようも無い人間なのだ。
私も空気清浄機のように安易に給水を求めて泣きたいものだ。水がないから涙もない。

「悔しいな」

そう呟き、布団を被る。私の夜は長い。

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