![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/89635763/rectangle_large_type_2_0302558597d30fccc15d1f1b16bb769f.png?width=1200)
Photo by
tomekantyou1
夜道の向こう側
いつもの時間に家に帰った。
玄関を開けて見るとリビングに横たわる同居人。近くに転がる酒の缶が多数。瓶に入った錠剤は1粒。同居人は泡を吹いて意識を失っていた。
あーあ。やられた。
一緒に手を繋いで飛び降りようね。抜け駆けはダメだよと何度も言ったのに。
とりあえず近くにあった45lの袋を持ってきた。すごく重くて1人じゃ袋に入れきらなかった。手足を身体に近づけて体育座りにしてラップで巻いた。今度は少しだけ簡単に袋に入った。
引越しの時に使った代車に乗せて車の助手席に乗せた。
少し長い距離を走る。
街灯のない暗く細い道。
曲がりくねった道。
暗くてよく見えない道を登ったり下ったりした。
先なんてよく分からないのでとにかく走った。
着いた頃には水平線上に鮮やかなオレンジ色の光が満ちていた。
車を降りると波の音がよく聞こえる。
助手席のドアをあけると目が合った。
「おはよ」
「…おはよ。帰ろっか。」
「はいよー、よく寝た〜」