人事労務室の会話から#6 「育休に入った森田君、社保の免除申請した?」

上司さん「営業の森田君が育休に入ったね。まずは2週間だっけ?」

部下くん「産後パパ育休、我が社では初ですね。」

令和4年4月から段階的に施工された育児休業法の改正。
“男性版産休”ともいわれる「出生時育児休業」(通称:産後パパ育休)が創設され、育児休業が分割で取得できることになりましたが、従業員の方にはどのくらい認知されているのでしょうか。
手続きを担当される方も、まだ戸惑われることが多いのではないでしょうか。

改正前と改正後の比較 
(出典:厚生労働省リーフレット「育児・介護休業法 改正ポイントのご案内」)

上司さん「手続きは大丈夫そう?」

部下くん「社会保険料の免除申請は、本日行いました!」

育休というと、雇用保険から支給される育児休業給付金が連想される方も多いと思いますが、育休中の経済的な支援は給付金だけではなく、社会保険料が免除になることも大切なポイントです。

そしてこの、育児休業等期間中の 社会保険料免除要件も、令和4年10月から見直しが行われました。

社会保険料免除要件の改正
(出典:日本年金機構「 育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されます」)

改正前の社会保険料免除要件は、簡単に言うと
「月の末日に育児休業を取得するとその月の保険料が免除になる」
というもので、取得した日数は、問われませんでした。
そうすると、同じ日数育休を取得した人でも、月末が含まれているか否かで免除されるケースとされないケースが発生していました。

このような不公平をなくすために、追加されたルールが、
「月の末日でなくても、同月に14日以上育休を取得するとその月の保険料が免除になる」というものです。

上司さん「12月にも、また1か月取得するんだよね」

部下くん「その時は、賞与も社保料免除ですね」

前述した社会保険料免除要件の見直し。大切な改正ポイントがもう一つ。
賞与支払い月に育児休業を取得する場合に適応されます。

こちらの改正は、先ほどの月額保険料のケースとは反対で、要件が厳しくなりました。

社会保険料免除要件の改正
(出典:日本年金機構「 育児休業等期間中における社会保険料の免除要件が改正されます」)

これまでは、賞与支払い月の末日さえ育児休業を取得していれば、その月の給与に加えてボーナスも社会保険料が免除される仕組みとなっていました。
育児休業という子育てをするためのお休みの制度を、社会保険料の免除のために使われているようなケースもしばしば、、
そこで、賞与保険料は、「賞与を支払った月の末日を含んだ連続した1か月を超える育児休業等を取得した場合」に免除されることになりました。

例:12月賞与の会社の場合
12月28日~1月10日まで育児休業を取得 :免除されない
12月28日~1月28日まで育児休業を取得 :免除される
※「1か月を超える」必要があるので、12月28日~1月27日の取得では免除されません!要注意!!

部下くん「分割取得の場合の、給付金申請。ちょっとややこしそうです。」

上司さん「うん。。よろしくね。」

今回の改正は、給与・賞与計算時に大きな影響があります。
また、産後パパ育休が創設されたことで、育児休業給付金の申請も複数回になるなど、人事労務担当者の方は慣れるまで大変そうです。。

でも、改正された内容は、不公平を是正していたり、育休を取りやすくするための施策になっていたりと、前向きに捉えたいところ。

厚生労働省から出された、最新の「育児休業給付・支給手続き」パンフレットを置いておくので、部下くん頑張って!!!

厚労省(R05.08.01改訂版) 育児休業給付の内容と支給申請手続き

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