30日間の革命 #革命編 187日

 「もう一度白の会に復帰させてください。僕も力になりたいです。お願いします」

 馬場はそう言うと、坂本たちに向かって深く頭を下げた。坂本と加賀は顔を見合わせ驚いた。あの馬場が自ら頭を下げ、白の会に戻してほしいとお願いしてきたからだった。二人は驚いてしばらく声が出なかった。すると、

 「ちょっと、せっかく頭を下げてるんだから何か言ってあげたら?」

 と馬場の後ろから仙波がやって来て二人に声をかけた。

 「せ、仙波さん!?」

 「……さっきね、馬場君と話したの。もう私たちも意地張ってないで、素直になろうってね。……私もずーっと坂本さんのことを意識して過ごしてきたんだけど、もうそれも疲れちゃった。だから、私も最後は協力したいなって思います。……今まで色々と嫌なことばっかりしてくてすいませんでした」

 仙波はそう言うと、馬場のとなりに並び、馬場と同じく頭を下げた。

 「ちょ、ちょっと二人とも、頭下げるなんてやめてよ。元々は俺が橋梁力してくれってお願いしたんだしさ、協力してくれるって言うなら、こんなに頼もしいことはないよ。ね? 小春?」

 加賀は坂本にそう聞くと、

 「ええ、もちろん! 二人が協力してくれるなら、学生たちに与える影響力はとんでもないと思うし、本当に革命を起こせると思うの。こちらからもお願いするわ」

 坂本も笑顔で答えた。

 「ほら、小春もそう言ってるし、とりあえず頭を上げてよ、二人とも」

 坂本と加賀がそう答えると、馬場と仙波はゆっくりと頭を上げた。

 「あ、そうだ。ひ、一つだけ良いかな?」

 顔を上げた二人に加賀は声をかける。

 「あ、あのさ。こんなときにほじくり返すようで申し訳ないんだけど、今までこの革命をめぐることで、色々な人に迷惑をかけたと思うんだ。特に、手崎さんとか、江藤ちゃんとか。白の会に戻るために、そこだけはちゃんとしておきたいんだ。も、もちろん、馬場君たちだけが悪いって言う訳じゃない。俺たちも一緒に謝る。だからさ、二人に謝りにいかないか?」

 と、加賀は提案した。

 馬場と仙波は目を合わせ、少しの間沈黙した。そして、

 「……そうですね。僕は坂本先輩を超えるって目的のために、彼女たちを利用したのは事実です。加賀先輩の言う通り、まずは謝りに行きましょう」

 「そうね。私も一緒に謝りに行きます。まずはそれからね」

 馬場も仙波も、加賀の提案を素直に受け入れた。

 「よ、良かった! ならさっそくみんなを呼んでくるよ! 本当にありがとう!」

 そうして加賀は手崎や江藤らメンバーをステージ袖へと集めた。

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