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緋色の空 #毎日ネタ出し72日目

【タイトル】

緋色の空

【あらすじ】

こんなに走ったのはいつぶりだろうか。日頃運動してなかったせいかな。もう足も肺も心臓も限界を迎えている。でも俺は走り続けなければならない。太陽が昇るまでにあいつの元へと辿りつかなければならないからだ。

俺は今までそうとうちゃらんぽらんな生活をしてきた。酒にタバコにギャンブル。自堕落な日々を過ごし、周りに誇れるものは何もない。ただ自分の欲望のままに生きている。ただそれだけだった。

しかし、唯一俺が大切にしていた存在がある。それは、こんな俺に寄り添ってくれている彼女だ。

コイツは、俺が言うのも何だか本当に物好きである。こんな最低野郎のそばにいるなんてどうかしている。学生時代からの付き合いだから横にいてくれるのか、それともただのバカなのか。

それでも内心は嬉しかった。誰かがそばにいてくれる。だからこそ生きていけるのだ。そして、気持ちは少しずつ変わっていく。今までは自分本位の生活をしてきたが、彼女を守りたい、楽させてあげたいと思うようになった。

だから、就職もしようと思った。結婚するにはやはり金は必要だから。でも、今までこんな生活をしてきた俺を雇ってくれる会社なんてどこにも存在しない。

気を落とし、一人での飲み歩いているとき一人の男のと知り合う。彼は俺にないもの全てを持っていた。つまりは金持ちだ。

どうしてそんな金持ちになれるのか聞くと、個人でビジネスをやっているらしい。さらに彼は俺にこう言った。

「君ならすぐに成功できるよ。色々と教えてあげるから、一緒にやってみないか?」

彼の話では、最初に色々と頑張れば、年収一千万を超えるのも夢ではないらしい。俺はその話しに飛びついた。これで彼女と結婚できる。そう思い、彼の言うことを何でも聞いて頑張った。

でも、今思えばこんな上手い話があるはずない。

その後どうなったかと言えば、高額な商品を仕入れるだけ仕入れて、全く売れない日々が続いた。さらには、毎月のノルマもあるので、商品は彼から仕入れ続けなければならない。

「頑張れば売れるよ!」

彼は俺にそう言い続けたが、とうとうそんな日はやってこなかった。年収一千万を目指したはずが、いつしか借金を背負うことになってしまったのだ。

そして最悪なことに、俺はサラ金から金を借りた。最初は何とかやりくりしていたが、徐々に支払いは滞る。その度に膨れ上がる利息。

そして、サラ金は家まで取り立てに来るようになった。私は逃げて逃げて逃げ続けた。

しかし、ある時家に帰ると一枚の紙が貼られていた。

「夜明けまでに百万持ってこい。そうでなければ彼女を売りに飛ばす」

私は血の気が引いた。恐らく、借金を取り立てにきた奴らと彼女が鉢合わせし、連れ去られたのだ。冷静に考えば、警察に行っても良かった。でも俺はそうはしなかった。

恥を捨て、知っている奴ら全員に電話をし金を借りた。もちろん断られる方が多かったが、それでも頭を下げつづけ、五十万円まで集めた。俺はその金を持って走り出す。

気づけば時間は3時を過ぎていた。夜明けまでもう数時間しかない。

だから俺は走る。夜明けまでに彼女の元に辿り着くため。金が足らないのはわかってる。でも、彼女だけは助けなければならない。俺のせいで危険な目にあっているなんて絶対に許せない。

足がもげてもいい。心臓が飛び出てもいい。俺はとにかく前へと進むだけだ。

徐々に明るくなっていく空を横目に、私は走り続けるのであった。

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