「ninaru小学生」の初期プロットが完成するまで。
エバーセンスの坂上洋一です。2022年10月リリースを目指して現在開発中の新プロダクト「ninaru小学生」の制作内部をお伝えしたいと思います。
↓前回はこちら。
今回は、「小学生の親向けのプロダクトをつくるぞ!」と決めてから、実際に開発プロジェクトが始まるまでを、時系列を追ってお話ししたいと思います。
①2022年1月13日:新開発を社内発表
上期方針発表会で、社内に対して新プロダクトをつくることを発表しました。
この時点で決まっていたのは、
●ninaruの名を冠すること
●小学生の親に向けたプロダクトであること
のみ。
僕の頭の中にぼんやり構想があるだけで、すんごいフワッとした状態でした。なのでこの宣言は、自らに発破をかけるためというところもありました。
②2月:小学生の親御さんにN1インタビュー
今回フォーカスする「小学生の親」に該当するメンバーは社内にもたくさんいました。その全員(15人)に、時間をもらって1対1でインタビューしました。目的は、小学生の親が持っている楽しさ、つらさ、不安とはどんなものかを感覚的につかむこと。プロダクトの具体的な機能について提案をもらうことは想定していませんでした。
個人的には、この「感覚的につかむ」というのがけっこう大切なんじゃないかなぁと思っています。求めたのは、具体的な答えではなくて、もしかすると本人も認識できていない課題や感情をつかむことです。
で、何をつかんだのかというと、小学生の親になるということは、小学生になる前から、漠然とした不安や、具体的な負担がたくさんあるんだなぁ、ということでした。小学生になる前の不安と、小学生になってからの負担は特に大きいなと感じました。
インタビューの内容は録音/録画せず、気になったことだけをメモしておき、一部は個人情報が分からない形で他のメンバーにも情報共有しました。エバーセンスのメンバー(出向しているメンバーも含め)はこういうワガママにも喜んで協力してくれるので、本当にありがたい!
③3月:ひとりで抱えて、練る、つくる
インタビューだけでなく、本を読んだり、SNSを見たりと、徹底的にインプットしたあと、最初のプロットをつくりました。ここは基本ひとりで、誰かにアドバイスを求めることはしませんでした。
おじいちゃん(社長)や他のメンバーに相談することは簡単なんですけど、「まずは自分で考え抜く」ことが大切だと思っているからです。そこで芯を作らないと、誰かの意見に流されまくってしまい、何が一番大切なのかわからなくなるので。
昭和生まれで鉛筆(≠シャープペン)と紙が好きなので、一番最初の落書きは手書きです。「こういう機能をつくろう」「ってことはこういうボタンがあった方がいいよな」「あれもあった方がいいな」「いや、要素多すぎてゴチャるな」みたいな感じで、要素を増やしたり減らしたり。なんとなーく全体像が見えたタイミングで、adobe XDに移しました(XDはほぼ初体験)。
僕はデザイナーではないしデザインセンスもスキルもないのでキレイにつくることはできません。でもキレイである必要はないんです、この時点では。最初からキレイだと、本質的な問題(=大切なことが伝わっていないとか、使いにくそうとか)が隠されてしまうリスクもあると思っています。
④4月:初期プロット完成~そして開発へ
こうして、初期のプロットが完成しました。もっともっとたくさんやりたいことはあったのですが、主な機能は3つに絞りました。
「キレイである必要はない」なんて言っては見たものの、やっぱりヒドイ見た目ですね。けど、恥をしのんで公表します。完成形はホントにいい感じのUI/UXになっているので、後々のお楽しみに!
ホームには、一番たいせつな機能だけ。
とっても当たり前のことですが、アプリを起動して最初に見ることになるホームには、一番たいせつだと思っている機能だけを入れました。
学年と日付によって、ママ・パパが持っている不安や負担は異なります。年長の秋であれば、就学前健診のことが気になるかもしれないし、1年生の夏休みなら、宿題をやりたがらなくて困っているかもしれない。完全に個人にフィットさせることはできないけれど、「そのとき一番多くの人が不安や負担であること」を想定しながら、メッセージをつくるのが大切だろう、と考えました。
学習チェックは親が習熟度を理解しやすいように
学習チェック(このときは「ドリル」と言っていた)の機能は、「学校生活が辛くならないために勉強が遅れすぎ/苦手になりすぎないようにしたい」という思いが多くの親にあるんだなぁ、というところから考えました。授業がわからなくなりすぎちゃうと、学校に行くのがつまらなくなっちゃいますもんね。
「学校生活が辛くならないくらいには勉強ができていて欲しいな」という方にぴったりなくらいの機能を想定しました。
スケジュールは親に特化した仕様に
午前授業、学童、習い事、長期休みなどなど、子どもの予定はとても複雑。しかもまだ子どもが一人で何でもできるわけではないので、送迎などの予定が頻発。さらにさらに、「今日の習い事の送迎はママ担当」、「明日の送迎はパパ担当」のように、夫婦間で担当分けをすることも多く、予定管理がごっちゃごちゃに。
多くの小学生の親にインタビューしたことでわかったのは、「スケジュール管理が上手い人と下手な人のコンビはトラブルが起きがち」ということでした。上手い人同士だとトラブルは起きないし、下手な人同士だとお互い下手な気持ちがわかるから何とかなっている。ただ、上手い人と下手な人の組み合わせだと、永遠にその溝が埋まらずトラブルになり続ける、と(我が家がその実例。もちろん僕が下手な方)。
そこで、家族共有が可能、かつ、担当分けできるスケジュール機能を考えました。かんたんスマホみたいなもんです。世の中にスケジュール管理ツールってたくさんあって、どれも多機能だけど、多機能すぎて使いにくさもあるんですよね。
タネの見た目はこんなにショボいけれど…
今回noteを書くにあたり、久々にこの初期プロットを見返したのですが、公表をためらうほどのショボさに愕然とします。このプロットから今あれほど素晴らしいモノになっているだなんて…と、メンバーの皆さんには感謝しかありません。
前述した通り、ここまでは基本ひとりで考えました。でもここからは、任せられる部分は任せて、いろんな人の意見を聞きながら進めようと決めていました。機能のそれぞれにPOを任命して、煮詰めていってもらうことにしました。そのお話は、次回以降のnoteで。
ninaru小学生のリリースまでをすべてさらけ出すnoteは、まだまだ続きます。次回からは、開発に携わっているメンバーにバトンを渡します!